txt:藤本拓磨 構成:編集部

■DJI Air 2S
スタンダード版:税込119,900円
Fly Moreコンボ版:税込165,000円
問い合わせ先:DJI JAPAN

誰でも簡単に撮影できるDJI Air 2S

2021年4月に新発売されたDJI Air 2S。この機体はMini 2とMavic 2 Proの中間に位置するAir 2の後継モデルとなる。Air 2はコンパクトながら通常の動画撮影だけではなく、被写体のトラッキングや360°写真撮影、ハイパーラプス動画撮影、スローモーション撮影など豊富な機能が機体の飛行性能も良い。そのため入門機としてもよく薦めるドローンであった。

筆者はAir 2をロケハンで使用する機会も多く、デジタルズームを活かして本番撮影でのInspire 2のX5、X7のレンズ選定をイメージしたり、360°写真機能を使用することで打ち合わせ資料などでも役に立つことから気に入って使用していた。

※画像をクリックすると拡大します

小型かつリーズナブルな価格帯、必要最低限の機材が揃ったセットでの販売もあることから興味を持ってくれる人も多いのがこの機体の印象。Air 2Sではそれらを継承しつつ、これまでの機種にはない新機能としてマスターショットが追加されたのが特徴的。さらに1/2センサーから1インチセンサーに向上したのもポイントである。最新機能を取り入れたAir 2Sは「誰でも簡単に飛ばせる」から「誰でも簡単に撮影できる」をより追求したモデルでもあるかもしれない。

そこで今回は、新機能のマスターショット、フォーカストラックモードから誰でも簡単にプロのカメラ制御、ドローンの動きを簡単に再現と発表した機能を試す。またAir 2Sの撮影設定をしてて気になったポイントを主に紹介し、Air 2Sがどのような位置付けの機体か紹介したい。

誰でも簡単な方法で映像コンテンツを制作可能にしたマスターショットを検証

Air 2Sから新しく追加されたマスターショット機能。これは撮影したい被写体を様々なカメラワークによって一連で撮影する。そこで撮影された映像からショートムービーが自動作成される機能だ。

※画像をクリックすると拡大します

この機能を使用するには、動画撮影の選択をした時に表示されるアイコンからマスターショットを選択する。次に、画面上の被写体をスワイプして選択する。そうするとマスターショットの設定画面になる。今回は建物を対象に設定したところ、幅(小、中、大)、長さ(小、中、大)、高さ(小、中、大)の選択画面が出現、その設定から予想飛行時間が算出された。

※画像をクリックすると拡大します

撮影設定はマニュアルにもすることが可能であった。解像度は1080Pのみでフレームレートは選択できないこととなっていた(後ほど撮影映像を確認するとMP4、1080/30Pで録画されていることを確認した)。またマニュアル設定で調整してみると絞り調整がない分難しく感じた(この時ND16装着)。ここではすべてオートにして撮影。

※画像をクリックすると拡大します

次にスタートボタンを押すと、まず機体の位置を調整中と表示され、撮影が開始すると飛行ルートがマップ上に表示され、それに沿って機体は飛行する仕組みだった。これまでにあったクイックショットの機能を連結させた撮影と考えるとわかりやすい。この機能の注意点としては、機体の飛行高度以上の障害物がないように確認することだと感じた。

※画像をクリックすると拡大します

画面録画の内容から、マスターショットの一連の流れを確認した。ルートが表示されると録画が開始される。順番にドローニー、サークル(遠距離)、ピッチアップ+前方方向、サークル(近距離)、サークル(中距離)、ロケット、カメラ下方+前方飛行、カメラ下方+サークル、カメラ前方+下降、カメラ下方+下降の計10種類のカットが一連で撮影された。撮影が完了すると録画は停止。元の位置に帰還する。そして自動でショートムービーのプレビュー画面が出現した。

※画像をクリックすると拡大します

撮影が完了した後は、ショートムービーのテンプレートにそって動画がプレビューもできるようになる。気に入ったテンプレートを選択しアプリでレンダリングする仕組みになっていた。現状はカットの選択、順番の変更などはなく完全に自動になっていた。一連の撮影カットは一本の動画でオリジナルとしても保存される仕組みのため、気に入ったカットを後で切り出しソフトで編集できるようにはなっている。

マスターショットの画面録画はこちら。

プロのドローンの動きを簡単に再現するフォーカストラックモードを検証

次にフォーカストラックモードを検証。このモードにはPoint of Interest 3.0(被写体のまわりを自動で周回)、ActiveTrack 4.0(被写体をフレーム内に捉えたまま、機体がシームレスに自動追尾する)Spotlight 2.0(パイロットはドローンの動きを制御し、一方でカメラは被写体をフレーム内に捉え続ける)の3種類があり、ActiveTrack 4.0がAir 2と比較した時に向上したモードとなっている。

実験すると、ActiveTrackを活かせる被写体(車、自転車)が必要と考えられ今回は取り上げられなかった。その代わりSpotlightが"プロのドローンの動きを簡単に再現"すると感じられたのでこれを紹介したい。この機能は特に機体操縦への自由度も高く、これまでこの機能をしっかり確認していなかったので驚いた。

フォーカストラックモード1
※画像をクリックすると拡大します

使用方法は動画撮影画面で、トラッキングしたい被写体をスワイプする。そうすると自動で認識しスポットライト機能が始まる。また中央の写真のように3種類のフォーカストラックモードが表示されて選択できるようになる。この状態から自身で機体を操縦することも可能になっている。

もしトラッキングした被写体が人、車以外の場合は、右の写真のように機体を動かすとピンのアイコンに切り替わるようだ(Air 2ではそのような区別は表示されなかったと思う)。ピンアイコンの認識の時はスポットライト中の操縦は、上下と前後左右の動きに対しての操縦が可能で、回旋とカメラのチルト上下の動きは現状できないと確認。

フォーカストラックモード2
※画像をクリックすると拡大します

POIを選択すると、自動で被写体の周りを円を描くように飛行する。このような動きもスポットライト時でも可能だ。このときアクティブトラッキングは人と車ではない認識のため起動しないことがわかった。

フォーカストラックモード3
※画像をクリックすると拡大します

ここで筆者自身をトラッキングしてみた。先ほどとは異なりアイコンが人になる。この状態の時もっともスポットライト機能は自由度を増すと感じた。確認したところ、被写体がピンアイコンの時はできなかったが、人物の場合は回旋の動き、カメラのチルト上下も行うことができた。さらに、例えば人物を画面上で左に寄せた時は、それをキープしてスポットライトのトラッキング機能が持続することも確認できた。

ここまでのトラッキング機能の様子を画面録画して動画に収めたので、そちらを確認してもらうのがわかりやすい。

動画のように、カメラが被写体をしっかりとトラッキングを続けるのは、通常の操縦では複雑になるため難しいはずだが、いとも簡単に撮影ができてしまった。動画終盤にあった木の間で人物を追うこともできてしまうのは驚いた。また冒頭で建物を被写体にした時に広角なレンズと感じた。

スペックを確認するとAir 2Sのレンズは22mmとなっており、Phantom 4 Proは24mm、Mavic 2 Proは28mmのことから、DJI機種の中でもワイドな画角となっている。そのため建物の撮影シーンでは被写体からそこまで離れなくても充分に建物全体を写せるようだ。

Air 2S、Air 2撮影設定比較

Air 2SとAir 2
※画像をクリックすると拡大します

次にAir 2とAir 2Sの撮影設定比較を行なった。これはAir 2Sが48、50、60fpsでの撮影設定の場合にクロップされてしまうことを発見したのが理由である。テレビ関係の撮影では覚えておいた方が良いポイントかもしれない。

上段:24fps、下段:60fps。Air 2Sはクロップ
※画像をクリックすると拡大します

設定項目の違いがわかるように、2機種を並べて同時に確認した。Air 2では60fpsでもクロップはされていないことがわかる。ちなみにクロップされる画角の目安は、60fpsの時にボードを画面一杯に写し、30fpsの時に同じ画角になるようにデジタルズームを使用して確認した。そうするとおおよそ1.5倍寄っていることがわかった(これはInspire 2+X7で60fpsの撮影設定にした時のnarrow fovになってしまう状態と似ている)。

左:30fpsでデジタルズームで1.5倍、右:60fps
※画像をクリックすると拡大します
クロップ検証

トラッキング機能も比較すると違いがあった。両機ともに解像度・フレームレートの組み合わせによっては制限があり、Air 2Sでは5.4Kとその他解像度での60fpsではできなかった。Air 2でも4K60pはできないが1080/60pではできたことを確認できた。

トラッキングした状態で撮影設定の変更画面。上段:高解像側。下段:Air 2とAir 2S 1080P60fpsでのトラッキング可否
※画像をクリックすると拡大します

そのため60fpsで撮影することが多い撮影現場(テレビなど)では、Air 2Sでは約1.5倍の画角にクロップされてしまうこと。合わせてトラッキング機能を活かした撮影、飛行ができないことを覚えておいた方が良いかもしれない。比較して良い進化も発見することができた。Air 2SではシャッタースピードとISO感度がオートにすることが可能なことである。これはAir 2ではできなかった設定であった。

上段:シャッタスピード、下段:ISO感度
※画像をクリックすると拡大します
Air 2S ISO感度自動時の数値変化
※画像をクリックすると拡大します

このISO感度のオート機能は10刻みで調整され、露出が滑らかに変化するように工夫されていた。この機能の追加は、F2.8固定で絞りの機能をもたないAir 2Sの撮影中の露出調整を補助するためとも考えられた。実際に両機を2画面にして撮影設定を確認した動画はこちらとなる。

Air 2Sの位置付けは?

左:AIR 2S, 中央:MAVIC 2 PRO,右:PHANTOM 4 PRO
※画像をクリックすると拡大します

意外にもAir 2Sがこの中で一番広角(Air 2S:22mm/Phantom 4 Pro 24mm/Mavic 2 Pro 28mm)。Air 2Sはカメラセンサーが1インチにグレードアップした。そのためDJIの既存機ではPhantom 4 Pro/Mavic 2 Proも1インチセンサーの機体として同じだ。ただし比較すると、絞りが調整できずF2.8固定となる。そのため、マニュアル撮影設定での使い勝手が不便になるのがProとは違ったところ。

3機種大きさの比較
※画像をクリックすると拡大します

それでもAir 2Sにはこの2機種にはない強みもある。個別でそれぞれで比べると、

対Phantom 4 Proでは圧倒的に小型。D-log撮影ではPhantom 4 Proが8bitなのに対しAir 2Sは10bitが撮影可能な性能(Mavic 2 Proは10bit撮影可能)。

対Mavic 2 Proでは、360°写真などの合成写真、ハイパーラプス動画も撮れる幅の広さ。(Phantom 4 Proにもない)

と考えられる。そして2機種にはないマスターショット、より優れたフォーカストラックモードがあることで、Air 2Sは誰でも簡単に撮影でき、ドローンを使用した撮影の面白さを一番幅広く追求できる機種になっているのではないかと感じた。

ここまでのレビュー内容が、筆者がもしAir 2Sがどんな機体なのか質問されたときに説明したい内容だ。小型のコンシューマー機でここまでの優れた性能と機能が実装されていることに驚いた。次期発表機種にも期待だ。

藤本拓磨|プロフィール
撮影機材レンタル会社のドローン担当。
株式会社メディア・リース
ドローンレンタルセンター

WRITER PROFILE

編集部

PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。