LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm / F1.7 ASPH.をGH5 IIに付けた状態

■LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm F1.7 ASPH.
発売日:2021年8月26日
価格:税込242,000円
問い合わせ先:パナソニック

F1.7の明るさで35mm換算で50mm~100mmというスペックを達成

今回、パナソニック「LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm/F1.7 ASPH.」を2021年8月26日の発売に先駆けて試させて頂いたので、このレンズに関して書いてみたいと思う。

F1.7の明るさで35mm換算で50mm~100mmという驚異的なスペックを達成しているこのレンズは、発表と同時に大きな話題となり、筆者としてもぜひ試してみたいと思っていた。

まずはいつものように作例からご覧いただきたいと思う。飛行機の撮影ではGH5Sを使用しているが、それ以外のカットは今回併せてお借りしたGH5 IIにて撮影を行っている。なおGH5 IIのカットは全て手持ち撮影である。

動画作例

当然のことながら、この「LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm/F1.7 ASPH.」一本で撮影した映像である。

特に都会のビル群のカットを見ていてもこれがマイクロフォーサーズの高画素機でズームレンズで撮影した映像とはとても思えない。高感度特性が高いとは言えないGH5 IIでの夜の撮影も、明るい単焦点レンズばりに撮影ができる。そしてそれはフルサイズカメラで良質な大口径ズームレンズを使ったような感覚である。

    
GH5 II 4K動画からの切り出し(ワイド端25mm)
※画像をクリックして拡大
    
GH5 II 4K動画からの切り出し(テレ端50mm)
※画像をクリックして拡大

レンズ概要

このレンズの概要を記載すると下記になる。

  • 焦点距離:25-50mm (35mm判換算:50-100mm)
  • 開放絞り:F1.7
  • レンズ構成:11群16枚(非球面レンズ1枚、EDレンズ3枚、UHRレンズ1枚)
  • 絞り形式:9枚羽根 円形虹彩絞り
  • 最大撮影倍率:0.21倍(35mm判換算 0.42倍)
  • フィルター径:Φ77mm
  • 最大径×長さ:Φ87.6mm×約127.6mm
  • 質量:約654g(レンズフード、レンズキャップ、レンズリアキャップを含まず)

このレンズ最大の特徴はその明るさにあると思う。このレンズは35mm判に換算するといわゆる標準の50mmから望遠域の100mmを驚異的な明るさでカバーする「変態的」なレンズだ。

マイクロフォーサーズのレンズには同じ明るさで焦点距離が異なる「LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 ASPH.」という同じく「変態的」なレンズが発売されていることは多くの読者はご存知かと思う。このF1.7通しのレンズに次ぐF.17ズームレンズシリーズの第二弾が「LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm F1.7 ASPH.」だ。

GH5系ボディとの組み合わせバランスは良好

映り(写り)の印象に言及する前に、その外観やハンドリングについての感想を述べたいと思う。前述のようにこのレンズの外寸はΦ87.6mm×約127.6mm。重量は約654gとなっている。これはマイクロフォーサーズのレンズとしてはかなり巨大な部類に入る。とはいえ、GH5系のボディに付けるとバランスが良い印象である。

想像していたよりも取り回しがよい

また、持った感じは大きさの印象に対して割と軽い印象を受けるのだが、外装が金属であるため安っぽい感じはない。

マニュアルフォーカスとオートフォーカスの切り替えはフォーカスリングをスライドさせるだけで素早く行えるフォーカスクラッチ機構を搭載しており、素早くAF/MFの切り替えが可能となっている。

上:マニュアルフォーカス 下:オートフォーカス時

フィルター径は77mmであり、35mm判の単焦点レンズや大口径ズームで一般的なフィルターを取り付けることが可能である。

このレンズには光学手振れ補正(O.I.S.)が搭載されていないが、GH5やGH5 IIでは優秀な手ブレ補正(B.I.S.)が搭載されているため、同ボディと組み合わせる場合においてはO.I.S.が搭載されていない点に関しては問題にはならない。むしろ同ボディと組み合わせることによって三脚を必要としない撮影が可能になるのだ。

また、このレンズは焦点距離によって伸び縮みしないのも非常にありがたい。

GH5 IIのリニア駆動フォーカスに対応

最近のLUMIXのレンズはAFの駆動音が気になったことがないが、この点に関してLEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm/F1.7 ASPH.も同様である。コンティニュアスAFを使ってもほぼ無音で動作するため動画撮影にマッチする。

また、レンズ側の絞り操作に関してはクリックレスの絞りリングが採用されている。こちらも動画ユーザーを考慮した仕様と思われる。連続的に滑らかに露出、被写界深度をコントロールする際には良い。

GH5 IIにはピントリングを従来のマニュアルフォーカスレンズのような感覚で使えるリニア駆動を選択することが出来る。詳しくは下記記事「[GH world]Vol.11 GH5 IIはGH5から何が進化したのか?」の「マニュアルフォーカスレンズの様な駆動を実現するリニア駆動」を参照頂ければと思うが、この動作はレンズ側がにリア駆動に対応している必要がある。

当然ながらこのLEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm/F1.7 ASPH.もGH5 IIのリニア駆動に対応しているレンズである。そのため、フォローフォーカスを使用したピント送りも非常にしやすいと言える。

Tiltaのフォローフォーカスとギアリングを付けた状態
フォーカスリング制御設定画面(ノンリニア/リニアが選択可能)

また、先のGH5 IIの記事でも触れたが、このフォーカスリング制御は回転角をかなり細かく設定することができる。被写界深度の浅くなりがちな近接撮影であれば大きく設定すればファインフォーカスを得ることができる。逆にそこまでピントがシビアではない絞った遠景撮影では90°などの速い回転角を臨機応変に設定することが可能だ。

現在はGH5 IIでしかこの機能は使用することができないが、マニュアルレンズ的な操作性の良さと、バイワイヤを活かして設定が変えられる利便性を兼ね備えた同機能はぜひ体感して頂きたい部分だ。

思ったよりも寄れる

このレンズの最短撮影距離は25mmの場合、撮像面より0.28m、50mmの場合は0.31mとなる。なお近接撮影をしたい場合は50mmの焦点距離の方が被写体を大きく撮影することができる。この際の最大撮影倍数は0.21倍となる。

この数値は一見大したことがないような数値に思われるかもしれないが、このレンズは言うまでもなくマイクロフォーサーズ規格のレンズであるため35mm換算で考えると、0.42倍の撮影倍数となり、ハーフマクロに近い感覚で同レンズを使用することができるのだ。

テレ端で撮影した場合

マクロ専用レンズほどの接写能力は無いが大概の接写撮影をこのレンズでこなすことが出来るのはありがたい。

ズームレンズとは思えない印象

ボケと色収差

とにかく、その開放で得られるボケとボケ描写の柔らかさはズームレンズとは思えない印象を受ける。年輪ボケこそ見られるものの、ボケのエッジが柔らい。

テレ端付近でのボケ(50mm 開放F1.7)

また、ピント合焦部に関してはかなりシャープに描写する。

撮影した映像をピクセル等倍で確認すると若干ではあるが、軸上色収差と思われる色収差は若干見られる。とはいえ普通の4K撮影においては、補正は不要であると感じた。前記の動画作例においてもポスト処理での色収差の補正は一切行っていない。

逆光特性

夜の点光源などを映してもゴーストが発生することはなかった。また、日中の極端な太陽光を入れた撮影でもこれは同様である。光源の位置を気にせずに撮影を行うことができるのはメリットである。

解像感

25mm~50mm全般にF1.7からF2にすると若干解像度が向上するがそれ以降は絞っても解像感が高まる印象は低いが、それ以前に開放から非常にシャープな印象だ。

冒頭に紹介した作例は夜景撮影ということもありほぼ開放にて撮影を行っているがエッジの甘さは感じられない。

    
GH5 II 4K動画からの切り出し(ワイド端25mm 開放F1.7)
※画像をクリックして拡大

複数の単焦点を持ち歩くか、F1.7通しズームで行くか

レンズ交換を厭わないのであれば単焦点レンズを複数持ち被写体に応じて、それらを選べば良いと思うが、瞬時に画角を変更するのであればやはりズームレンズの利便性は偉大だ。

一般に単焦点レンズはズームレンズにない明るさと描写性能の良さがあるため、レンズ交換の手間を惜しませないほどの魅力がある。ところが、このLEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm/F1.7 ASPH.に関しては、大きさこそやや大型であるものの描写は単焦点そのものである。

明るさも単焦点のそれとほとんど変わりがない。そうなると、わざわざ単焦点レンズを複数持ち歩きレンズ交換をするための手間というものが、非常に億劫に思わせる存在のレンズとなる。

単焦点派の人にとってはある意味「非常に厄介」な存在のレンズであり、一度このレンズに触れてしまえば単焦点レンズの存在意義を忘れさせてしまう魔力があると言えよう。

特に仕事で撮影する人にとってはレンズ交換に要する時間に撮れ高に直結するため、利便性はプライスレスであることは言うまでもない。

描写もレンズ交換の手間も妥協したくないという方にとっては、F1.7通しのレンズの意義は言うまでもなく大きいものだ。

感想

これ一本で50mm~100mmをF1.7でまかなえる便利さは他にないと言える。35mm換算ではボケの大きさとしてはF3.4相当となり、そのボケはかなり大きい。ポートレートを含めても、このレンズ一本あればかなりの被写体をカバーできる。

また言うまでもなく、夜の撮影においてこのレンズは威力を存分に発揮する。F1.7の明るさがあれば、よほどの低照度でない限りはISO2500までで撮影を行うことができる。しかもマイクロフォーサーズであるが故に適度な被写界深度を保ったままで明るい撮影を行うことが可能だ。ISO2500までであればこGH5/GH5 IIのような多画素マイクロフォーサーズボディでも夜景を美しく描写できることは先の作例をご覧いただいてもお分かりかと思う。

さらにLEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 ASPH.と併せることでF1.7明るさで20mm~100mm(35mm換算)までの焦点域をたった2本のレンズでカバーできてしまう。超広角、超望遠は必要に応じて用意する必要はあるが、このレンズ2本だけでかなりの本数の単焦点レンズ撮影に匹敵する。

唯一の難点はその値段だ。このレンズはそのスペックと妥協のない外装から実売で20万円強の値段設定となっている。もちろん一般的なシネマレンズと比べれば圧倒的に安い価格設定ではあるものの、マイクロフォーサーズのレンズとして気軽に購入できるほどの値段では無い。

とは言え、先に述べた様に、このレンズで得られる撮れ高には単焦点レンズでは得られないものがある。

撮りたい風景の光線状態にも一瞬のチャンスというものがある。その際にいちいちレンズを交換して撮り逃すというのは誰しも経験があるものだと思う。その度に単焦点レンズ並みの描写、明るさのズームレンズさえあれば撮り逃さなかったのに…と筆者は悔しい思いをしてきたことが多々ある。このレンズはその悔しさの多くを解き放ってくれる存在だと思うのだ。

SUMIZOON|プロフィール

2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行う。機材メーカーへの映像提供、レビュー執筆等。現在YouTube「STUDIO SUMIZOON」チャンネル登録者は1万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。

WRITER PROFILE

編集部

PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。