txt:安藤幸央

注目のComputer Animation Festivalから

CG(コンピュータグラフィックス) とインタラクティブ技術の学会・展示会である SIGGRAPHでは、CGを駆使した映像作品を集めたCAF(Computer Animation Festival)が注目のイベントだ。そのCAFの中からよりすぐった短編映像作品を約2時間、Christie社製定番のシネマプロジェクタCP2230でシアター鑑賞するElectronic Theaterが毎晩開催される。昼頃の時間にも開催されるマチネーや、3D作品の上映もあった。

また世界の第一線で活躍するアーティストやプロダクションの製作事例が聞けるProduction Sessionsも、CAFのイベントの一つである。さらに一昨年から始まった、Real-Time Live!も開催された。これは制作済みの映像だけではなく、ゲームグラフィックスや、Webグラフィックスを取り上げるものだ。さらに今年からの試みとして、映像作品の作者がその映像のメイキングや勘所を約3分という短い時間で紹介するエキサイティングなイベントSIGGRAPH Dailies!が実施された。これは論文発表で好評を博している人気イベントPapers Fast Forwardの映像版と言えるものだ。

全体としては、予算の規模もあり、ハリウッド映画のCG/VFXを手がけるCGプロダクションが相変わらずの勢いを持つ。映画はトランスフォーマー3、Super8、Green Lanternなどから。その一方、少人数/小規模のアーティスト作品やテレビCMの特殊効果も健闘していた。またCMプロダクション、UK/NY/LAを中心として活躍するThe Millと、NYを拠点とするPsyopの躍進が目立った。

これらのCAF周辺から、いくつか印象的な映像を紹介しよう。

Black Beetle: Volkswagen Commercial

制作:The Mill

カブトムシに似ていて親しまれているフォルクスワーゲンの新型ビートルを、車ではなく、カブトムシそのものとして描いているCM映像。ビートルの小気味良さが伝わりつつも、車が一度も出てこない印象的なCMだ。スタジオの中に実際に森のセットを作ってCG合成したメイキング映像はこちら。

Chrysaora

chrysaora-screenshot.jpg

制作:Aleksandar Rodic(Savannah College of Art and Design)

Webブラウザ上で三次元グラフィックスを実現する技術WebGLを用いて制作されたくらげのシミュレーション映像。海底で光をうけてうごめくリアルなくらげの動きを表現している。インタラクティブ性のあるWeb映像作品。

http://chrysaora.com/

SandCanvas:New Possibilities in Sand Animation

アニメーション技法の一つに砂を使って描いたアニメーションがある。ガラス板の上に砂を薄く敷き、少しづつ絵を描きつつコマ録り撮影する。砂を使ったアニメーション風の映像が手軽にデジタルで制作できるのがこのSandCanvasツール。 SIGGRAPH Dailies!の中で紹介され拍手喝采を浴びていた。

http://sandcanvas.com/

quite & orange – cdak

コーダー:ized

デモシーンからの映像。デモシーンで活躍する米国のアーティスト集団によるもの。巨大な建造物を描いたかのような建築系の映像でありつつも、没入感が素晴らしい作品。Chaos Constructions 2010というデモイベントにて64k/4k compoという極小のプログラムサイズ部門で受賞している。その他、今年から新設されたDEMO部門では多数の良質映像が入賞している。

http://capped.tv/playeralt.php?vid=quite_orange-cdak|mq

AT&T Commercial – Whole New World

制作:Psyop

CMとは思えないほどの、一つのアニメーション作品として見ることのできるCM作品。今居る領域を飛び出して、新しい世界に!というテーマのCMは、ESPNの3D立体視によるサッカー報道のために作られた三次元立体視CM。立体視対応の映画館等でも上映されるそう。

WRITER PROFILE

安藤幸央

無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPHをはじめ、 国内外の映像系イベントを独自の視点で紹介します。