[NAB2018]Day03(4月11日) 新時代に向けての兆し。話題が事欠かなかった今年のNABを振り返る
2018-04-16 掲載

未来はそこに。今年も情報盛りだくさんのNABが終了
最終日は午後から撤収するブースもあるので正午をすぎたあたりから来場者の人数も少なくなってくる。逆に落ち着いて製品の説明を聞けるチャンスでもある。初日に各社の新製品をチェックして後日ゆっくりと話をするという作戦を取る人も多い。大きなブースは夕方まで撤収することはないので、こうした方法が有効だ。
3日間の取材を通してみると今年のNABは4K8KやHDR、IPなど話題に事欠かなかったといえる。IPは国内では関心はあっても導入には慎重な局が多いようだ。ただ、日本国内では放送法の改正が実現するとすでにIP網を実質インフラとして持っているCATV局や通信系の会社の参入が見込まれるので、一気にIP化へ向かう可能性もあるように思う。
地上波では4K8Kのように新たな方式に対応するにはスタジオ設備を含め大きな負担になってしまうが、通信系のインフラではかなり柔軟な対応が可能だ。番組制作に関しても国内には多くの制作プロダクションがあるので、コンテンツ制作もこうしたプロダクションに発注することで解決できるだろう。
ちょっとハードルが高いのはスタジオの運営だ。カメラマンやスイッチャー、照明などそれなりのノウハウやスキルのなる人材が必要になってくる。最近NABではPTZ(パン・ティルト・ズーム)リモートカメラや自走式のペデスタルが話題になっている。PTZカメラは監視カメラでは一般的に使われているが、スタジオで使われるものは搭載されているカメラの画質やパン・ティルトがスムースといった違いがある。
また、こうしたスタジオではバーチャルスタジオを利用することが多く、クロマキーなどを出展しているブースも目に付くようになってきた。こうしたシステムを導入することで、オフィスビルなどでも簡単にテレビスタジオにすることができるわけだ。照明もLEDが一般的になり、電力やスペースの問題も解決されている。

朋栄センサーレスバーチャルスタジオシステムVRCAM-NX。カメラごとに32ポジションの設定が可能なほか、カメラからの4K信号を利用しながらHD解像度の出力をすることにより、バーチャルカメラでズームした際の画質向上を実現している。テンプレートなど番組制作に便利な機能を多数搭載しているので、カメラマン不要のワンマンオペレーションでバーチャルスタジオを実現することが可能

Blackmagic Designはクロマキーの老舗Ultimatteを傘下にしたが昨年のNABでは別ブースで出展していた。今年はBlackmagic Designブース内にも昨年出荷を開始したUltimatte 12を出展していた

パナソニックロボットアームカメラ。ARCAM社のロボットアームシステムAR+と4KマルチパーパスカメラAK-UB300GJを組み合わせたシステムで、通常のペデスタルより自由なカメラアングルで撮影することが可能

昭特製作所はいち早くロボットペデスタルシステムを開発しており、今回はリモコンヘッドTGシリーズやi-HeightおよびSmartPedといったペデスタルのほか、こうしたヘッドやペデスタルをリモートコントロールするシステムを出展。国内ではQVCが同社のシステムを導入している

Vintenは小型カメラ用に開発されたVANTAGEのほか、ロボットペデスタルシステムFusionシリーズなどを出展したほか、新製品のコントロールシステムμVRCを出展


IP SHOWCASE LIVE。カンファレンスのほか実機による動態デモンストレーションなどが行われていた。昨年のIBCでも同様な催しがあり、SMPTEやAMWA、EBUなどの規格化のロードマップなども公開されていた

朋栄HDRプロセッサーFA-9600。アップ/ダウン/クロスなどの各種変換が可能なほか、SDRとHDRの相互変換やHLGとPQの相互変換にも対応している。4K/8K用広色域ITU-R BT.2020と従来のHD用色域であるITU-R BT.709の両規格に対応しており、HLGやPQ、SDRなどの各種Logカーブに対応したダイナミックレンジ変換機能やS-log3やCanon Log2など、カメラのログカーブにも対応可能

Colorfront社製のHDR分析ツールが搭載されたAJA HDR Image Analysis。LUTによる表示と色処理に対応しており、ARRIやキヤノン、パナソニック、ソニー、REDなど主なカメラのカラースペースに対応可能。SDR(Rec.709)とST2084のPQおよびHLGに準拠した分析を行うことができ、色域範囲外と輝度範囲外を誤差なく高度に検出し、CIEグラフやベクタースコープ、波形、ヒストグラム表示が行えるほか、範囲外色域モードで簡単に色域範囲外と輝度範囲外を画面表示できるようになっている
[ Category : SPECIAL, NAB2018 ]
[ DATE : 2018-04-16 ]
[ TAG : NAB2018 Nabshow2018]
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