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電子接点付きライティングマウントや交換式光学系などの技術を搭載

ARRIのOrbiterは、複数の光学系を交換することで多種多様な光を作り出すことができる新型LEDライトだ。国内デリバリーが始まったばかりとあって、ARRI祭ではOrbiterに関するワークショップや実機展示が目玉になっていた。ARRI Japanのカルロス氏の解説を中心にOrbiterの魅力や実機のインプレッションを紹介しよう。

ARRI祭2日目の「The ARRI LEDエコシステム」セッションの様子

ARRIのSkyPanelはヨークの取り替えに4つのネジを取り外す作業が必要で、「ヨークを取り替える際にもう少し簡単にならないか?」という現場の要望が多かったという。Orbiterはヨークタイプから手動ヨークを選べば、両サイドのレバーを下げだけで取り外しが可能。工具不要で、いくつものOrbiterを使う場合に敏速な交換を可能にしている。

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SkyPanelのハンドルはバランスが取りづらかったが、Orbiterではアッパーハンドルを大きくて使い勝手の向上が図られている。ハンドル後方にはセーフティーループアタッチメントを搭載しており、天井からの吊り下げの安全性を実現している。

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アルミニウム鋳造ボディに、強化プラスチック製のバンパーを4個所搭載。落下した際には、バンパーが壊れてライトの破損を防ぐようになっている。

4つのゴム足は取り外し可能で、灯体下部の強度を高めるスキッドの取り付けが可能。スキッドの色はシルバーと黒が用意されている。ユニットフレームを使えば、一度に複数のOrbiterを取り付けることができる。上下のレバーで、1台ずつ違う方向に向けるのも可能。

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光学系には、オープンフェース、ソフトライト、ドーム、プロジェクションをラインナップし、ライティングマウントは電気的な接点を持ったQuickLighting Mount(QLM)を採用。マウント内側とアクセサリーに電気接点が付属し、どんなアクセサリーが付着しているのかが伝わるようになっている。

ボディのフロントにはコミュニケーションインターフェイスを搭載。今後、電力を供給するようにできたり、通信機能を提供できる可能性があるという。マウントを保護するためのキャップも用意されている。

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Orbiterは、さまざまな光学アクセサリーの装着が可能。オープンフェイスは中にリフレクターがついており、パワフルな光を出すことができる。60°、30°、15°を含むいくつかの異なるビーム角で高出力の指向性光線を生成できる。

プロジェクションレンズは、ビームフィールド全体にわたって均一な照明と色の提供が可能。固定ビームの角度は15°/25°/35°で、将来的にはより広い角度が追加される可能性があるという。ドームオプティクスは3種類のサイズあり、大型、中型、小型と、光の柔らかさが異なっている。

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6色で構成された新しいライトエンジンのSpectraや新機能を盛り込んだライティングOS「LiOS」を搭載

Orbiterには、Spectraと呼ばれるまったく新しいライトエンジンを採用している。SkyPanelではRGB+ホワイトの4色のライトエンジンだったが、OrbiterはRGBにアンバー、シアン、ライムの3色を付け加えた6色で構成。従来のライトエンジンより15%も広い範囲の色をつくり出すことが可能。

このライトエンジンはLEDフレネルスポットライトのL10よりも76倍もコンパクトでありながら、消費電⼒は変わらず、より⼤きな出⼒を⽣み出せるという。

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Orbiterには、LiOS(Lighting Operating System)と呼ばれる新しいライティングオペレーティングシステムを搭載。LiOSの前はGoogleストアで購入できるStellarと呼ばれる有料ソフトだったが、それよりもよりわかりやすい画面になっている。

モードは、「CCT」「HSI」「X,Y座標」「RGBACL」「GELセレクション(GEL)」「ソースマッチング」「ライトエフェクト」「カラーセンサー」「お気に入り」を搭載している。

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■Orbiterの発光モードの種類

  • CCT:SkyPanelのユーザーにはお馴染みのモード。ホワイトライトのみで起動ができるモードで、強度と色温度の調整、グリーン・マゼンタポイントの調整ができる。
  • HSI:色合い、色の彩度、色の強度が調整できるシンプルなモード。少ない数のチャンネルしか使用できない時にこのモードを使用する。
  • X,Y座標:X、Y値を測定してOrbiterに入力すると、測定した同じ結果を実現することができる。どこの場所でも測定して、入力することによって同じライティングを実現可能。
  • RGBACL:使用できるチャンネルが少ない時にカラーライトを生成するシンプルなモード。全体の強度とレッド、グリーン、ブルー、アンバー、シアン、そしてライムカラーの強度を調整できる。
  • GELモード:広い範囲のフィルターが使用できる。ホワイトライトソースの色温度は 3200K あるいは5600Kに設定できる。強度は調整可能。
  • ソースマッチング:必要条件を満たしているライトソースを選ぶ。ソースマッチングは時間を大いに削減できる。46個のライトソースから、照明を使用する環境に一番合っているライトソースを選択する。
  • ライトエフェクト:Orbiterはたくさんのライトエフェクトに対応しているエフェクトジェネレーターを装備している。コントロールパネル、DMX、Art-Net、あるいはsACNを通してライトエフェクトを起動し、パラメーターを調整する。短時間で理想のエフェクトをすぐに作成することができる。
  • カラーセンサーモード:新しい機能で、Orbiterに埋め込まれているセンサーで、アンビエントライトの色温度を測り、ライトアウトプットをアンビエントライトに合わす、あるいはアンビエントライトを常に真似るように調整ができる。
  • お気に入り機能:SkyPanelでは10個だったのが、Orbiterでは246個保存をすることができる。照明同士で交換も可能。

背面には、コネクションの端子の部分を装備。SDカードで、ソフトウェアのアップデートが可能。お気に入りのセッティングをSDカードにインポートしたり、エクスポートしたりできる。USB-Cポートでサービスのアップデートも可能。USB-Aポートを使ってアクセサリーに電源を送ることができる。

標準のDMXのインとアウト、LANコネクションやカメラとのSYNコネクターを搭載。SYNコネクターはまだ機能していないが、将来的にはカメラにつないでデータ交換ができるようにしたいとのこと。

側面にはワイヤレスDMXを搭載。SkyPanel S360に組み込まれているのと同じシステムで、LumenRadioのCRMXソリューションが含まれている。

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Orbiterにはカラーセンサー、3軸加速度計、ジャイロメーター、マグネットメーター、アンビエントライトセンサーの5つのセンサーが組み込まれている。マグネットメーターは、どちらの方角にOrbiterが向いているかがわかる。アンビエントライトセンサーは周りの光源をキャッチすることが可能。ヒートセンサーも搭載しており、高熱になるとこちらのセンサーによって、警告が出る仕組みを搭載している。

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LED光源の需要は急増しており、Orbiterは映画、ドラマの分野から、ブロードキャストやニューメディアに対応。さらに、スチル写真のフォトグラファーにも使われていおり、用途の広いライトであるという。新しい光学系の周辺アクセサリーの登場も予定しており、今後のOrbiterの世界が楽しみだ。

ARRI祭会場でOrbiterを体験。サチュレーション現場の色温度に合わせるセンサーモードが便利

ARRI祭では、SkyPanelやOrbiterの実機展示も行われた。各機種のインプレッションを紹介しよう。

会場には、SkyPanelのS30、S60、S120を展示。各モデルの違いは大きさで、S30が2枚でS60、S30が4枚で120の大きさになる。SkyPanelのラインナップにはさらにS120の面積2倍のS360もあるが、会場展示はなかった。

左からSkyPanelのS30、S60、S120

ドラマや映画の撮影でSkyPanelを使う場合は、色温度とグリーン、マゼンダポイントの調整が可能なCCTが使われるだろう。SkyPanelにはGELが搭載が搭載されており、RoscoeやLeeのフィルター効果を再現可能。色温度を下げる、CTO、CTB、カットオレンジ、カットブルーなどのカラーフィルターがプリセットで入っている。「15 Blue」や「30 Blue」、シアン系などが使えそうだ。

SkyPanelのGel選択の様子

一方、Orbiterは万能なLEDライトだ。SkyPanelの色温度は、2,800Kから10,000Kだったが、Orbiterは2,000Kから20,000Kまで対応する。SkyPanelは小さなモノクロ液晶だったが、Orbiterはカラーのパネルを採用していて直感的にわかりやすいようになっている。指定した色温度やサチュレーションで濃さがひと目でわかるのは便利だ。OrbiterにもGELが搭載されており、色見本から選択できるようになっているのは便利だ。

OrbiterのGel選択の様子

このほかに気になった機能は、センサーモードだ。ロケに行って、ロケ地にポンと置いてセンサーモードを入れると、その場の色温度に合わせてて、自然な照明が可能となる。これまでは、フィルターを貼ったりディマーを操作して微調整をしていたが、楽になる可能性がありそうだ。

txt・構成:編集部


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