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[オタク社長の世界映像紀行]Vol.51 オタク的視点でみたCP+2018で気になったもの

2018-03-06 掲載

txt:手塚一佳 構成:編集部

スチルカメラの祭典が今年も開催!

CP+2018 開幕の様子。日本式のテープカットにドイツ写真協会の方々が参加している図が象徴的だ

今年もCP+2018がパシフィコ横浜にて開催された。CP+はスチルカメラの祭典ではあるが、スチルカメラとムービーカメラの融和は今更もう語る必要も無いほどに一般化し、CP+2018においても様々なブースでムービー関連の展示があった。

Panasonicブースでは、新型機Lumix GH-5Sを中心に、編集、カラー調整まで含めた映像処理展示を行っていた

例えば、PanasonicブースではGH5Sのムービー機としての様々な展開が展示されており、またこちらも既報ではあるが、富士フイルムブースでは同社スチルカメラX-H1専用のシネマレンズまで登場して話題をさらっていた。

富士フイルムのブースでは、同社製スチルカメラX-H1などXシリーズ向けのシネマレンズ、MKXシリーズの展示を行っていた。スチルカメラ向けのシネマレンズ、などという存在は5年前なら信じなかっただろう

そもそもスチルカメラのライブビュー機能やEVF機能はムービー機能と同じ技術をベースにしたものであり、こうしたスチル動画の展開は技術的にも当然のことと言える。アマチュアがスチルカメラのおまけ機能で動画を撮る、というだけでなく、職業としても、特に地方都市のスチルカメラマンがムービーカメラマンを兼業することが増え、ムービー機能は今やスチルカメラ機能の重要なものの一つだと言えるだろう。

今回は、そうした動画系のトピックスを中心に、CP+2018の様子をお知らせできればと思う。新型カメラやメジャーブースは他の優れたライターさんによる既報のトピックスが多いため、あくまでもオタク的視点、デジタル加工系動画屋視点で語っていきたい。

木下光学研究所

木下光学研究所ブースはブースこそ小さいが、国産レンズ展示の意義は非常に大きいものだった

CP+2018では様々な新レンズが展示されていた。スチル動画用のレンズはもちろんシネマレンズが理想なのだが、一般的なスチルレンズの中にも動画に使えるものはある。スチルレンズでありながら動画に使える条件と言えば、光学解像度もさることながら、まず第1に、ブリージング(フォーカスによる画角の変化)が無いものが必須だ。その視点で見ると、木下光学研究所のオールドスタイルレンズKISTARは実に動画向きであると言える。

KISTARは35mm F1.4、55mm F1.2、85mm F1.4の3種用意された。この3種があればとりあえずオールドタッチの撮影はカバーできるだろう

KISTARは木下光学研究所創始者の木下三郎氏が設計した往年の銘玉トミノン55mm F1.2の再現を目指すところから始まったレンズであり、そこから、35mm F1.4、55mm F1.2、85mm F1.4の3種が用意された。

KISTARレンズは、それぞれ敢えて解像度を落とし、ディストーションも気にせず、レンズコーティングも甘くしたオールドタッチの絵を出すのが特徴だ。とは言えそこは現代レンズ。使いにくいという事は無く、絞ればちゃんとそれなりに解像する。もちろん、ちゃんとしたシネマレンズに比べると光学解像度は足りないが、国産シネマレンズの中には80線/平方センチ程度のスチルレンズレベルの光学解像度しかないものも多い現状を考えると、オールドスタイルの絵が欲しい時には充分に考慮に値する選択肢と言えるだろう。

KISTARは品質も高く、なによりもコンタックス/ヤシカマウント(Y/Cマウント)であるため、PLやMマウントを初め、定番のレンズマウントのカメラであれば大抵のカメラボディにアダプターを介して付けることが出来る(キヤノン機はシャッターなどが干渉することがあるので要確認)。

シネマレンズを銘打って出てきた最近のスチルカメラ向けレンズメーカーのシネマレンズの中にはブリージングが激しくて動画撮影では使い物にならないものも多い。そう考えると、下手なシネマレンズを買うよりもこちらのKISTARを買った方がいい場面も多いのでは無いだろうか?もちろんスチルカメラ向けレンズのため、絞りは1/3段のクリック付きではあるのだが、絞り変化が必要のない動画であれば充分に撮影が可能だ。将来的には、クリックを外してギアを巻いたシネモッドバージョンの登場にも大きく期待したいところだ。

OLYMPUS

OLYMPUSブースは出口付近の広大なブースだ

OLYMPUSブースでは、マイクロフォーサーズスチルカメラのOLYMPUS PEN E-PL9やOM-D E-M1 Mark IIを展示発表していた。しかし、何よりも注目を集めていたのは参考出品のデコレーションカメラだろう。ガレージキット制作者による派手な装飾のものもあったが、実売に耐えうるようなゴージャスなスタイルのカメラの展示もあり、大いに注目を集めていた。

参考出品のOM-D E-M1 Mark IIやPEN-Fのデコレーションモデル。素晴らしい高級感で、このまま発売してもいいクオリティだ

また、同社のブースでは、女性が非常に多いのも特徴的であった。マイクロフォーサーズの特長を生かした小型なレンズ交換型カメラが充実している上、PENシリーズなど、ファッショナブルなオールドスタイルの外装のカメラを得意とするため、女性ユーザーや初心者ユーザーが多いのが同社の特徴となっている。小型高性能なカメラを小さく手軽に使えるOLYMPUSのスタイルは、今回のCP+2018のテーマが「いっしょに始めよう」であることを考えると、非常にテーマに即したものだと言えるだろう。

女性が多いのもOLYMPUSブースの特徴。女の子向けと称してトイカメラを出して失敗するメーカーが多い中、ちゃんとした撮影機能を女性の手の大きさで扱える程度のコンパクトにまとめ、そこそこお洒落にすれば女性客は付いてくるのだ

動画コーナーの充実も実に面白い。OM-D E-M1 Mark IIもCP+2018にあわせたファームアップで動画時のローリングシャッター歪みも実用可能なレベルに押さえられ、まっとうに動画撮影に対応した。いままで同機はあまりに激しいローリングシャッターで、折角のマイクロフォーサーズセンサーの利点が動画撮影ではあまり生かされなかったが、これで全く問題なく使えるようになったと言える。

動画撮影コーナーでは、OM-D E-M1 Mark IIの新ファームの威力を存分に味わうことが出来た

実際、動画撮影コーナーでは高速で動く模型列車を撮影することで、ローリングシャッター歪みの低下を体験することが出来た。このファームアップとその広報の為の動画体験コーナー設置は、今のスチルカメラにおいて如何に動画機能が大切なのかを如実に物語っているのではないだろうか。

昨今、ほんのちょっとした違いや、明らかな欠点の手直しを2年弱程度で新機種として売り出す事が多い中、これほどの大幅な進歩をファームアップで対応したOLYMPUSの姿勢には率直に敬意を表したい。実際、筆者が国産メーカーを離れてREDやLeicaなどの海外メーカーに頼っているのも、国産機種の更新の異様な早さと既存機種を見捨てる速度に強い損失を感じたからである。折角手に慣れてきたところで買い換えを求められるというのは、機体を目視せずに扱う道具であるカメラという道具の本質に反している。その点、今回のOM-D E-M1 Mark IIのVer.2へのファームアップは、ユーザー側に寄り添った素晴らしいファームアップであると思う。

ケンコー・トキナー

ケンコートキナーブースはKPIを含め幅広い製品を案内している

フィルタからレンズ、映像機器まで、幅広い製品を取り扱うケンコー・トキナーグループでは、今回も巨大ブースを展開して様々な製品を紹介していた。

ハーフプロソフトンは、上半分がソフトフィルターになっている星空向けのフィルタだ。上下や斜めにずらすことで天地の位置が変えられるので、構図に大きな変化が与えられる

中でもこれは、と思ったのが、ハーフプロソフトンフィルターだ。このフィルターは、真ん中で何も効果がないガラスフィルタと星空向けソフトフィルタのプロソフトンフィルターに塗りわけられている、10センチの角形フィルタだ。上下にずらすことによってソフトフォーカスエリアを動かすことが出来る為、最近流行りの星空と人物との組み合わせの撮影などに力を発揮する。今までゼラチンフィルターをペーパーホルダーに入れて養生テープなどで職人的にやっていた作業をシステマチックに仕上げたもので、色々と応用が考えられるだろう。実は筆者的にはこのCP+2018ナンバーワンのアイデア賞だと思っている。

ケンコーブースでは、カメラバッグも注目だ。女性向けのカメラバッグというと、単にピンクに塗っただけのカメラバッグを堂々と出していた時代が長かったが、こうしたいわゆるダサピンク問題を華麗にクリアしたのが、一見、一般向け女性用バッグに見えるオーヴァーバースのケイトとイヴだ。

オーヴァーバースのイヴ。一見普通のレディースバッグだが 中を開くとこのように本格的なカメラバッグになっている

オーヴァーバースのバッグは、日本以外の国ではLeicaの公式バッグとして知られ、高い品質を誇っている(日本では、革製品文化に馴染みがないために扱いに難が出る可能性があるということもあり、Leicaでは扱っていない様子だが)。つまり、本物のカメラバッグであり、その女性向け製品が手に入るというのは、とても素晴らしい事だと思う。

Tokina VISTAシネマレンズシリーズがついにフルラインナップで登場

また、プロ向け動画エリアに展開されていたKPIコーナーでは、同社取り扱いの新シネマレンズ群Tokina VISTAの展示発表があった。ついに初期ラインアップ最後の一本である18mm T1.5も発売され、満を持してのフルラインナップでの展開だ。同シリーズではきちんとギア位置と口径寸法が揃えてあるため、RIG組み替えなどで非常に扱いやすい。まさにプロ向けのシネマレンズだと言える。

TOSHIBA

TOSHIBAブースではメモリカードを主に取り扱っていた

周辺機器でもいくつか変化があった。まず、プロ向け収録メディア定番のLexerがデータカードから撤退してしまったため、その穴埋めとなる製品群が求められていた事が上げられる。

GH5シリーズなどの4K撮影ではコマ落ち現象が頻繁に起きることが知られているが、その原因の大半はメモリカードにある。表記上は問題がない速度のSDカードであったとしても実用上は最低速度が足りず、コマ落ち現象が多々発生しているのが2018年初頭の現実だ。カメラ側のデータ出力量には画像の変化によって叢があり、データ量が混み合いすぎてメモリバッファに入りきらなくなった場合には表記データ以下でもコマ落ちすることがあるのである。それを防ぐためには、必要計算量よりも充分に高速なデータカードを使う必要がある。

新SDXCカードEXCERIA PRO N502はV90対応のSDXCカードだ。最大256GBまで発売されるため、多くの4K対応スチルカメラの救世主となるだろう

そんな中、TOSHIBAが、新しくV90対応のSDカード群EXCERIA PROシリーズを出してきた。しかもその最高容量は256GBという最大級のものだ。TOSHIBAのSDカードは尖ったカタログスペックこそないものの、製品のロット差が少ないことで知られ、また偽物も少ないところから、Lexer撤退後、筆者の会社では4K収録での唯一の選択肢となっている。そのV90版であれば安心して使う事が出来るだろう。TOSHIBA製であれば、異常な高価になることもない。発売が非常に楽しみな製品だ。

ジャパンホビーツール

ジャパンホビーツールでは定番となったインナー兼用クロスEasy Wrapperを取り扱っていた

ジャパンホビーツールブースでは、片面全面がソフトマジックテープ、もう反面がレンズクリーナーという風呂敷状インナーバッグ兼レンズクロスEasy Wrapperの展示が行われていた。このEasy Wrapperはこの一枚で機材、特にレンズやカメラ本体をすっぽり包み込むことができる便利グッズで、もはやスチル動画撮影においては定番中の定番で筆者も愛用しているものだが、そのデザインバリエーションの少なさのため、以前からどのEasy Wrapperに何のレンズを入れたのかわかりくく、また現場での取り違えも起こるという問題が発生していた。

Easy Wrapperのオリジナルプリントサービスがついに始まる。これはありがたい

しかし今年、ついに、このEasy Wrapperに自由にプリントが出来るサービスが登場した。元々ただのクロスとしては高価な商品である為、例えば販促製品として大規模に無料配布することなどは難しいだろうが、Easy Wrapperはインナーバッグ代わりにも使える製品のため、長期間にわたって使用者の手元にある特殊なクロスだ。そう考えると、例えばレンズメーカーが高級品に付属させたり、スタジオが数千円の手土産の代わりに上客に配布する、などの方法も考えられる。

また、ユーザー自身が小ロットから発注することも可能ということなので、マイレンズを包み込むマイEasy Wrapperを発注すれば、現場でのレンズ見分けもスムーズになるだろう。Easy Wrapperがディファクトスタンダード化しつつあるからこそ、こうしたサービスの登場は非常にありがたい。

京都写真美術館

京都写真美術館は面白い試みだ。アーカイブサービスとリアルなギャラリーをつなぐサービスである

変わったブースでは、去年、京都市東山区に開館したばかりの京都写真美術館のブースが出展していた。こうした私立の美術館が機材展に出展している、というのは大変に珍しいが、この京都写真美術館のサービスはそれだけではない。

もちろん、小なりとはいえ、日本にもついに写真に特化した美術館が出来た、というのは非常に大きな意味がある。それだけでなく、この京都写真美術館はネットアーカイブサービスやそのデータ販売も、もともとの主力商品として取り扱っており、ネット上での美術館、という実験的な試みも行っていることで知られるサービスだ。

京都市東山区の美術館スペースはギャラリーの貸し出しも行っているという事なので、企業展示や学生展示などでの活用が期待される。もちろんそうした展示もネットアーカイブ化やデータ販売が可能なそうなので、そのあたりも期待したい。物理的なフォトギャラリーをそのままネット上でデータ販売できるというのは、まさに求められている形なのではないだろうか。

マルマン/キャンソン

CANSON紙ブースは、マルマンブースの一部を区切って展開されていた。この紙に出力できるのは素晴らしい

出力と販売、という視線で見ると、もう一つ紹介したいブースがある。それは、印刷用紙だ。CANSON紙は、美術系の教育を受けたものなら知らないものは一人もいないであろう、フランス伝統のメジャーな用紙メーカーだ。その歴史は500年以上に及び、多くの名画がこのCANSONの紙に描かれてきた。

このCANSON紙は写真印刷用紙としても数年前から使われてきているのだが、去年からこのマルマンのブースにおいて、ブース内ブースの展開をしている。なかでも、キャンバス地の印刷用紙や、漫画を描いたことのあるものなら一度は必ず使ったことのあるであろうCANSON定番のアクアレル・ラグなど、素晴らしいペーパーがインクジェット印刷用にラインナップされていた。

とはいえ、紙が素晴らしければプリンター性能も求められる。メーカー推奨としては、10色インク程度以上のプロ向けプリンターを勧めているということなので、ぜひ、そうした本格プリンタを導入できるのであれば試してみてほしい。また、出力センターでも広く取り扱いがあるとのことなので、出力の際にはCANSON紙を指定してみるのもいいだろう。

動画出身者はフォト出身者に比べてこうした出力のアピールが弱いところがある。最近増えてきたスチル仕事の際や、あるいはポートフォリオにおいて、CANSON紙の活用を考えてもいいのではないだろうか。

NEP(プロ動画エリア)

様々な機材の集まるプロ向け動画エリア。筆者はNEPブースに注目した。Smart Rigの取り扱いは大変意義が大きい

CP+2018は、メイン会場だけでなく会議棟や大さん橋ホールなど、横浜港湾地区全体でイベントが行われている一大イベントだ。会議棟には毎年おなじみのプロ向け動画エリアという、プロスチルカメラマン向けの動画機材案内とセミナーが公開されていた。パシフィコ横浜ホールの本会場とこのプロ向け動画エリアの両方に出展している企業もあれば、片方にのみに出展している動画系企業も多い。

例えば、バッテリーや周辺機器で知られるNEPは、今回、プロ向け動画エリアだけの出展が行われていたので、ご案内したい。NEPブースでは、定番のサードパーティバッテリー群の他、フレキシブルライトVARIABLE-29-SET-V2やSmart Rigの取り扱いをはじめ、予め各機材に合わせたセットを展示していた。中でも、Smart Rigの取り扱いは注目だ。Smart Rigは安価で知られるRIGだが、日本から国際通販でパーツを集めると、どのパーツを選ぶのかでどうしてもロスが発生する問題がある。その点、NEPのNEPオリジナルキットSR-EVA1のセットであれば、EVA1に必要なパーツが予めセッティングされており、ロス無しでセットを揃えられる。また、こうして実機を触って確認できるのもメリットだ。5万円以下と爆安なRIGなので、EVA1ユーザーの方は是非とも触ってみて欲しい。

キャンピングカーエリア

なんと、今回のCP+2018はキャンピングカーまで展示!!

今回のCP+2018最大の特徴は、なんと、キャンピングカーまで展示物に加わっていたことだろう。キャンピングカーの展示エリアは、パシフィコ横浜展示ホールと国際会議場の間の広場、ちょうどヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルの目の前に当たる円形広場だ。

東京キャンピングカーレンタルセンターの展示は、HAKUBAとコラボ!撮影道具としてのキャンピングカーが、非常にわかりやすい

キャンピングカーの展示車数こそ3社と少ないが、ハクバ写真産業株式会社とのコラボレーションによって様々な撮影状況が想定されたグッズが配置され、実際の撮影行が想定しやすい展示となっていた。

TAJIMAキャンピングカーの内装。対面式で、社内からの撮影待機がしやすい車輌を選んで展示してあるのがわかる

また、販売車両はハイタイプのハイエース改造車が1台、軽改造車が1台だけであったが、いずれも撮影に適した内装の車輌を選んで展示してあり、非常に可能性を感じるものであった。撮影にはどうしても車輌は欠かせない。中でもキャンピングカーと撮影との相性は、ハリウッドの例を見れば抜群のものだ。こうした試みは、是非今後も続けて欲しい。

御苗場

御苗場は、CP+のもう一つの大きな主役だ。素人やセミプロの写真を含め、写真という文化の奥深さを物語る。企業ばかりが展示の主役では無い。それがCP+だ

さて、最後に、今後の発展を感じる部分をご紹介したい。それは、CP+のもう一つの顔、御苗場を初めとする写真展だ。CP+は横浜港湾地域全体を挙げたイベントで、同時開催で様々な写真展が展開されている。その中でもオフィシャル開催のものの一つが、大さん橋ホールで行われた「御苗場」写真展だ。

御苗場は、その名の通り「自分の未来に苗を植える場所」というテーマのもと、苗木のようにアマチュアの写真を無数に展示し、そこから未来のプロを育てたり、あるいは新しい表現方法を探究したりしようという試みで、毎年楽しく拝見させて頂いている。実際、この御苗場に参加するためだけに来ている来場者も多い、もう一つのCP+の本質だ。

学校参加や団体参加も多く、文化祭のような雰囲気もあって大変に楽しいイベントとなっている。とはいえ、写真展示メインである為に、今年は動画の御苗場ブースでの展示などは行われていなかった。動画展示はどうしてもスペースや音、何よりも電気容量の問題があるためになかなか難しい。

しかし、御苗場のプレゼンテーションや、展示写真の一部も4Kスチル動画からの切り出しがあったりと、次第に動画の影響も出始めている、と感じる。スチル動画でも、こうした御苗場のような発表の場があったらとても楽しいのだろうな、と思えてならない。電気容量対策や火災対策は必須ではあるが、バッテリーが急速に発展してきた今、平台スペースに動画展示を許可するなど、何か動画参加の方法があるのでは無いだろうか?そんな夢まで考えてしまう。

スチルカメラの未来を考えさせられたCP+2018

CP+の閉館時間が過ぎると、横浜の街に無数のカメラマンが溢れる。大変に夢のある光景だ。来年以降も是非ここに参加し続けたい

駆け足で全体を見てきたが、CP+において、既に動画は特別なものでは無く、ごく自然なスチルカメラの使い方の一部となっていることがよくわかってきた。実際、筆者自身、我が子の学校行事などを振り返っても、父がビデオカメラで母がスチル、というような定番の機材配分では無く、夫婦共にデジカメを持ち込んで片親がビデオモード、片親がスチルモードで撮影をしている風景もよく見かけるようになった。民生品でそうした状況なのだから、プロ用途でもスチル動画が一般化したのはごく当たり前のことだと言える。

結局、デジタルスチルカメラとムービーカメラの融合した機材という長年のクリエイターたちの夢は、いつの間にか叶っていた、ということなのかも知れない。あとは、動画・静止画それぞれの出力をどうするのか、発表の場を如何にするのか、スチル動画それぞれのマネタイズをどうするのか、という一般ビジネスに近い状況に移って行くのだろう。

また、スチルとムービー両方にまたがる表現方法も様々考えられる。デジタルサイネージはもちろん、古くからあるポートフォリオですら、動画との組み合わせで大きく可能性が広がる。CP+2018は、デジタルがもたらした新しいスチルカメラの未来を色々と考えることが出来るそうした素敵なイベントであった。読者諸賢においては、是非、来年も参加されればと、切に願って止まない。


WRITER PROFILE

手塚一佳 CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。


[ Writer : 手塚一佳 ]
[ DATE : 2018-03-06 ]
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