PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU

トップ > コラム > 土持幸三 > [土持幸三の映像制作101]Vol.32 演技ワークショップを通して感じたこと

News

[土持幸三の映像制作101]Vol.32 演技ワークショップを通して感じたこと

2018-05-29 掲載

txt:土持幸三 構成:編集部

相手のセリフを聞いているか?

舞台での演技を多く経験している俳優でも映像、カメラを前にした演技は全然別物と感じるようだ。先日、演技ワークショップ講師の急な仕事の都合でピンチヒッターとして、代わりに授業することになり、カメラを持って行ってきた。他にも様々な映画監督から授業を受けているらしく、授業に対する彼等のモチベーションは高い。

相手のセリフを聞こう

演技ワークショップの内容は様々だが、基本的には講師が用意した台本を演じたり、課題やシチュエーションを与えられ、自由に演じる即興劇、エチュードが多い。今回は既に俳優に渡された短い2人芝居の台本があったので、まずはカメラなしで俳優をランダムに組み合わせて演じてもらった。気になったのは相手との掛け合い。自分のセリフを言ったあと相手のセリフを聞いているか?相手が言ったことを聞いて自分の言葉(セリフ)を言っているか。

やはり俳優に演技経験が少ないとセリフを覚えること(自分の演技)に夢中になり過ぎ、相手のセリフを聞く事がおろそかになってしまう。これは小学校の映像制作でも全く同じで、俳優はストーリーを知っているので、機械のように自分のセリフを言ったら相手もセリフを言って、その後、また自分がセリフを言う。これはカメラがある無いは関係なしに演技としてよろしくない。

先日、若い女性だけの学園モノの舞台を観に行ったのだが、全員のセリフが長く、さらに演出の問題だと思うが全員早口で、相手のセリフが終わると直ぐ自分のセリフを言う芝居だっだのだが、ここまで来ると話もよくわからない上に感情移入もできないので観ていて、拷問のように感じてしまった。ただ、経験のない俳優はしばしばこの「相手のセリフ聞かない病」にかかってしまうので、今回のワークショップ参加者には注意を促した。

アップを意識してプランをして

舞台経験が長い俳優は演技はある程度できるし、自らの工夫もあり、「相手のセリフ聞かない病」もあまり無い。ただカメラが入ると話が変わってくる。筆者の場合、俳優にもよるがまずは決められた部分を自由に演じてもらう。演技に問題なければ、その演技がより活きるカメラ位置を決め、同じように演じてもらい引き画と寄り画(アップ)を2回から5回程度撮っていく。

ここで俳優に気を付けて欲しいポイントとして、最後に撮る寄り画をキチンと想像しながら引き画の演技をして欲しいということ。歌舞伎のように見栄を切るほどではないが、物語を伝えるため、より重要なセリフはアップで撮りたいので、寄れる間というか編集でカットが割れる間が欲しい。だから、「相手のセリフ聞かない病」だと間が少なすぎてカット割りしづらく筆者の好みではない。

アップのための間を大切に

筆者はプロの俳優として生活していくには、映画なりドラマなどで「あの俳優知ってる」という単純に世間一般や映像制作者から「認知」されることが重要で、その認知されるには、あいまいではあるが「良い演技」をすること、簡単には「目立つ」ことだと思っている。その「目立つ」に一番効くのはカメラに寄ってもらう、つまりアップを撮ってもらえるようになること。しかし、アップを準備している俳優はあまりにも少ない。プロの俳優はそれができている。「このセリフはアップでいくだろうな」という感じで引き画から準備して演技プランに組み込んでいる。

瞬きが多いのも要注意

舞台の演技ではこのようにカメラを使ってアップで寄る事がないので間を意識する必要がないし、引き画などもなく何度も繰り返し決まった位置で同じ演技をすることもない。舞台経験が多い俳優はここで難しく窮屈に感じてしまう。また、特にアップで撮った時は瞬きも注意しなければならない。緊張から異常なほどに瞬きが多くなる俳優がほとんでで、これもプロの俳優との違いで注意が必要だ。

この夏に今回の俳優たちと短編を制作することが決まっているので、彼等には演技論だけではなく、今回書いたような実際の撮影で必要なテクニックも是非学んで欲しい。


WRITER PROFILE

土持幸三 1970年生。鹿児島県出身。俳優を経て渡米。LA市立大卒業・加州立大学ではスピルバーグと同期卒業。帰国後、映画・ドラマの脚本・監督を担当。川崎の小学校で映像講師も務める。


[ Writer : 土持幸三 ]
[ DATE : 2018-05-29 ]
[ TAG : ]

関連のコラム一覧

[土持幸三の映像制作101]Vol.33 俳優オーディションで思うこと。選ぶ側のポイントあれこれ

txt:土持幸三 構成:編集部 オーディションでの選抜基準 先日、今回で四回目となるネットシネマフェスティバルの最終オーディションが開催されたので俳優を選ぶ立場で参加し... 続きを読む

[土持幸三の映像制作101]Vol.31 緊張のインタビュー番組制作

txt:土持幸三 構成:編集部 地元密着型ドキュメンタリー番組をつくる 3月後半の春休み期間に茨城県の行方市へ専修大学ネットワーク情報学部の学生たちと行ってきた。学生た... 続きを読む

[土持幸三の映像制作101]Vol.30 それぞれの役者を引き立たせる作品づくり~第3回「ネットシネマ・ゴールデンエッグ」

txt:土持幸三 構成:編集部 役者とともに作り上げた2本の短編作品 「イッツ・ア・ショータイム」 昨年の7月、8月のコラムで書いた「ネットシネマ・ゴールデン... 続きを読む

[土持幸三の映像制作101]Vol.29 一から作った大人顔負け映像制作

txt:土持幸三 構成:編集部 今年もまた個性豊かな作品が完成 新しい年となり、川崎での小学校映像授業は最後まで残った一校が終わる。ただ、この学校が他の学校と違うのは、... 続きを読む

[土持幸三の映像制作101]Vol.28 佳境を迎えた映像制作授業

txt:土持幸三 構成:編集部 バラエティに富んだ学習発表会 学習発表会は多くの保護者が来て賑わっていた 川崎市で行っている小学五年生向けの映像制作授業は佳境... 続きを読む

WRITER PROFILE

土持幸三 1970年生。鹿児島県出身。俳優を経て渡米。LA市立大卒業・加州立大学ではスピルバーグと同期卒業。帰国後、映画・ドラマの脚本・監督を担当。川崎の小学校で映像講師も務める。


Writer

編集部
PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。
小寺信良
業界で噂の新製品を、AV WatchやITmediaのコラムでもおなじみの小寺信良氏がレポート。
raitank
アートディレクター。あまたの海外ソースを読み漁ってHDSLRを独学。国内と海外の情報流通の温度差にモーレツな疑問を感じ、最新の情報を自ら日本語で発信するblogを運営中。
ふるいちやすし
自身で脚本、監督、撮影から編集、音楽までもこなすマルチプレーヤー。
岡英史
バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン
江夏由洋
兄弟で株式会社マリモレコーズを設立し、ノンリニアにおける映像技術、映像制作を中心に、最新技術を取り入れたワークフローを提案している。
鍋潤太郎
ロサンゼルスを拠点とするVFXジャーナリスト。
林和哉
映像プロデューサー/ディレクター。入口から出口まで全てのポジションを守備範囲にしている。最新技術が好物で、各種セミナー活動も豊富。
江口靖二
江口靖二事務所主宰。現在デジタルサイネージコンソーシアム常務理事などを兼務。
栁下隆之
写真家アシスタント、現像所勤務を経て、撮影機材全般を扱う輸入販売代理店で17年余り勤務の後に、撮影業界に転身。一眼カメラによる撮影を得意し、代理店時代に手がけたSteadicamや、スタビライザー系の撮影が大好物。
猿田守一
企業用ビデオ、CM、ブライダル、各種ステージ記録など撮影から編集まで地域に根ざした映像制作活動やCATV局などへの技術協力なども行っている。
オースミ ユーカ
映像ディレクター。企画、脚本から演出までジャンルを問わず活動。
土持幸三
1970年生。鹿児島県出身。俳優を経て渡米。LA市立大卒業・加州立大学ではスピルバーグと同期卒業。帰国後、映画・ドラマの脚本・監督を担当。川崎の小学校で映像講師も務める。
鈴木佑介
日本大学芸術学部 映画学科"演技"コース卒の映像作家。 専門分野は「人を描く」事 。 広告の仕事と個人ブランドでのウェディングがメイン。 セミナー講師・映像コンサルタントとしても活動中。
松本敦
映像クリエイター。企業VPからスポーツイベント撮影まで幅広く手がける。アクションカムやドローンなどの特殊ガジェット好き。
宏哉
タイムコード・ラボ代表。Next-Zero.com管理人。バラエティーから報道や空撮まで幅広い番組撮影をこなすTVカメラマンであり、ダンスイベントからe-ラーニング収録まで請け負う街のビデオ屋さん。2017年度の振り幅はイージス艦CICから幼稚園のおゆうぎ会。
手塚一佳
CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。
山下大輔
フリーランスの映像講師。Adobe Community Evangelist。アドビ製品でビデオ編集をどのようにやっていくか日々模索中。FacebookではAfter Effects User Groupの管理人として勉強会なども随時行なっている。
柏原一仁
日本大学芸術学部写真学科卒、銀一株式会社海外商品部勤務。 銀一が世界中から輸入する写真・映像用品ブランドのマーケティング担当。静止画・動画・音声と様々な技術に翻弄される日々。好きな食べ物はからあげ。
曽我浩太郎
未来予報株式会社 代表取締役・プロジェクトデザイナー。新ビジネスに特化したリサーチ・コンセプトデザイン・コンサルティングを専門に行う。SXSW LLC.公式コンサルタント。著書『10年後の働き方「こんな仕事、聞いたことない!」からイノベーションの予兆をつかむ』が好評発売中。
井上晃
映像制作会社「有限会社マキシメデイア」代表、制作プロデューサー&キャメラマン。Facebookグループ「ATEM Tech Labo」、「Grass Valley EDIUS ユーザーグループ」を主催して、ATEMやEDIUSの布教に、日々勤しんでおるでよ。
石多未知行
クリエイティブディレクター、映像クリエイター、空間演出家。PMAJ代表、東京芸大 非常勤講師。空間演出やプロジェクションマッピングを中心に様々なメディアを使った企画演出を手掛ける。
奥本宏幸
大阪を拠点にしているフリーランスの映像ディレクター。演出・編集・モーショングラフィックをバランス良くこなす。フィンランドサウナが好きです。のびしろラボ管理人。
小林譲
イギリスにて大学卒業後、現地の会社にて映像編集を学ぶ。2006年に帰国。大手ポスプロIMAGICAにてテレビ番組を中心に日本のキャリアをスタート。後にドラマ、音楽系、CM系へと活躍の幅を広げる。2017年に独立。オフラインからアートデザインまで、作品の全体パッケージを監修することも多い。
安藤幸央
無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPH ASIAやCESなど海外の注目イベントを紹介。
高野光太郎
Cosaelu株式会社 代表取締役 / 映像ディレクター ミュージックビデオ、番組オープニングタイトル、CM、劇場映画、全てをデスクトップで制作。
ヒマナイヌ
頓知を駆使した創造企業
駿河由知
中央区築地出身。マルチカメラ収録&配信ユニット「LiveNinja」メンバー。2006年より株式会社スタートライン設立。外務省、国連機関、国際NGOなどの国際会議やシンポジウム、企業イベントなどのライブ配信を担当
山本久之
映像エンジニア。フリーランスで映像設備のシステムインテグレーションと、ノンリニア編集に携わる。
ベン マツナガ
未来シネマ/ディレクター。ハリウッドでの大型映像制作、短編時代劇の自主映画制作を経て、現在は、映像を通じて人と人をつなぐことをテーマに様々な映像制作に取り組んでいる
河尻亨一
1974年大阪生まれ。雑誌「広告批評」を経て現在は実験型の編集レーベル「銀河ライター」を主宰、企業コンテンツの企画制作なども行う。デザイナー石岡瑛子の伝記「TIMELESS」(http://eiko-timeless.com/)をウェブ連載中。
茂出木謙太郎
株式会社キッズプレート代表。「楽しいInternetコンテンツ」をテーマに活動。現在VRの可能性をまさぐり中。CG-ARTS協会会員
稲田出
映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチルカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。
黒田伴比古
報道・ドキュメンタリーエディターでありながら、放送機器に造詣が深く、放送局のシステム構築などにも携わるマルチプレーヤー。
ヒラタモトヨシ
ファッションとテクノロジーを繋ぎイノヴェーションを生み出す事をライフワークとし、WEB/ライブメディア/高精細映像表現を追求。
猪蔵
いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。
須藤高宏
東京・国分寺市に於いて録音スタジオ「マイクロサウンド」を運営し各種録音編集に携わる傍ら最近では各種イベント配信音声を担当。
林永子
2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」
ViewingLab
未来の映像体験を考える有志の研究会。映画配給会社、映像作家、TV局員と会員は多岐に渡る
石川幸宏
映像専門雑誌DVJ編集長を経て、リアルイベントを中心とした「DVJ BUZZ TV」編成局長として活躍中。
山下香欧
米国ベンチャー企業のコンサルタントやフリーランスライターとして、業界出版雑誌に市場動向やイベントのレポートを投稿。
岡田智博
クリエイティブクラスター代表。メディアアートと先端デザインを用いたコンテンツ開発を手がけるスーパー裏方。
萩原正喜
米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。
坪井昭久
映像ディレクター。代表作はDNP(大日本印刷)コンセプト映像、よしもとディレクターズ100など。3D映像のノンリニア編集講師などを勤める。
しらいあきひこ
カメラメーカー、ゲーム開発などの経験を持つ工学博士が最先端のVR技術を紹介。
秋山謙一
映像業界紙記者、CG雑誌デスクを経て、2001年からフリージャーナリストとして活動中。
今間俊博
アナログ時代の事例を通じ、教育関連の最新動向を探る。
金田浩樹
映画・テレビの映像制作を中心に、USTやニコ生等、ライブメディア各分野を横断して活動中。ジャンルや固定概念にとらわれない構成力と発想に定評あり。
伊藤裕美
オフィスH(あっしゅ)代表。下北沢トリウッドでアニメーション特集上映を毎年主催している。
UserReport
業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にレポートしていただきました。
System5 Labs
SYSTEM5スタッフが販売会社ならではの視点で執筆します。

トップ > コラム > 土持幸三 > [土持幸三の映像制作101]Vol.32 演技ワークショップを通して感じたこと