君たちはどうしてDSLRが使いたいんだい?

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この問いに返ってくる答えが、「画が綺麗だから」「レンズ交換が出来る」「被写体深度を作れる」と言うのが多い。これってカメラマンと言うより制作の方…イヤ失礼、クリエーターと呼ばれている方々から聞くのだがこれらの事って従来のビデオカメラでも出来たはず。画が綺麗だからって何を基準に言ってるの?コーデックはH.264だし…。レンズ交換が出来る、えっそれって当たり前なんですが…。被写体深度…もういいや。決して喧嘩を売るわけではないのだが、このDSLR隆盛は、一部誤った理解のまま表舞台に躍り出てしまった感は否めないのだ。

なぜこの風潮になったのかと考えると、今までのプロ機材と言われる物は、決して安くはない。軽く100万オーバーの物ばかり。えっEX1Rとかもっと安いって?まぁその通りだけど一応レンズ交換出来るカメラで定義とすると(定価ね)さすがにおいそれと買える物ではない。さらに使用方法も独特な為にある程度のスキルが必要。そしてそれなりのスキルを持ったカメラマンがEOS 5D Mark IIを使えば、こんなに安くて高画質の動画が撮れるのは良いね!って話になりそれが伝言ゲームのように尾ひれが付いてDSLRじゃなきゃ駄目だ!的風潮になったのではないかと予想する。

DSLR撮影=予算?魅力?

まぁ一握りのDSLRフェチの方々の意見は別にして、本当の意味でのDSLRを使う理由とは一体何だろうか?この疑問を解消すべくとあるコミュニティーに単純な投げかけをしてみた。

  • 『DSLRを使う定義は何ですか?予算ですか画力ですか?』
  • 『もし予算の関係だけの話なら予算が在れば、REDONEやF35を使いますか?』

と言う問いかけをしてみたところ色々な回答が来たのだが、全てカメラマンとしての技術を持つ方々の回答である。その中でもDSLR=一発芸カメラ/カメラ女子が使うトイカメラと言う回答は言い得て妙である。

一発芸カメラと言うモノ言いは当に自分と同じ考えで、DSLRをメインカメラではなく、撮影ガジェットの一部、例えばクレーンやドリーの様な位置付けという意味、トイカメラと言うのは読んで字の如くだろう。更にナイスな意見が、予算があれば東京-青森間を何で移動しますか?自動車や自転車でも行けますがやっぱり飛行機で移動しますね。と言う物。この考えた方はある意味一番我々を体現しているかもしれない。例えば予算があっても飛行機で行かず、自動車で行く、理由は車の運転が好きだから。楽でも操縦出来ない飛行機はつまらないし飛行機の予算があるなら、いつものカローラじゃなくてフェラーリをレンタルする。これをそのままDSLRと他のシネマカメラに置き換えると答えは見えてくる。DSLRの何かが凄く好きで、それは他のデジシネカメラでは味わえないと言う意味になる。

しかし現実的にはやっぱり予算が在ればDSLRではなくてデジシネカメラで撮ることになるだろう。果たしてDSLRの定義って何だろう?って感じてしまう。筆者はDSLRでの動画撮影自体がオマケ機能を上手に利用しているだけだから、更に面白い使い方を考えれば良いと思う。しかしその部分だけにフォーカスを当ててしまうとやっぱり一発芸だけの物になってしまう事は言うまでもない。

DSLR嫌いだけど憎い訳じゃない

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確かにMVやCMがDSLR一色になった時期もあったが、これは流行の様な気がする。もちろん制作系の様なチームで組んで物作りをするなら、各セクション及びスポンサーと整合する為に機材の自由度は少ないかも知れない。低予算でも瞬間的な画力のインパクトを狙うCMならDSLRの弱点の一つでもある音声部分も全く問題は無いはず。しかしミドルレンジの場合、整合は殆どが関係ない現場だ。この様な選択肢は無く自分の撮影スタイルに在った物なら何でも使用出来る。無理矢理工夫して自作パーツを作っても使用する場合がある。例えばDSLRのこの様な使い方で言えば一眼レンズの超ワイドレンズを使えばカメラの引き尻を考えなければならない現場でも使えるし、煽りレンズを使えば建築物の撮影で威力を発揮するはず。

と言う事で次回は、DSLRの最終章として、DSLRを出来るだけビデオライクに使用するには?と言う形で行きたいと思う。

WRITER PROFILE

岡英史

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。