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[Appleの向こう側-yamaq blog Extended-]Vol.03 FCPは役目を果たし終えたのか

2010-09-17 掲載

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待ちに待ったMac Proが登場

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8月に映像業界でも待望の新型Mac Proが発売開始されました。前モデルから1年以上も待たされ、しびれを切らしていた方も多かったと思います。Apple界隈の映像関係者でもうひとつのしびれを切らしている製品が、Final Cut Pro(以下:FCP)ではないでしょうか。いまやFCPは映像業界では知らない人がいないほどにメジャーになったアプリケーションです。画像処理のPhotoshopと並んで動画編集のFCPという著名なアプリケーションになっていると感じています。その証拠に、映像業界の主にディレクターやフリーランサーでMacbook Proを所有している方がここ数年で劇的に増えたと感じるのは、このFCP浸透の効果が大きかったでしょう。

Final Cut Proが担った役割

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少し前の話になりますが、AppleがまだiPodやiPhone、iPadで、活気づいている以前の頃を思い返してみましょう。Mac OS Xは2000年9月13日にPublic Betaとして、安定版以前のテスト版としてデビューしました。今年でちょうど10年を迎えますが、枯れた部分は全く感じさせない先進性を振りまいています。AppleはMac OS9からOS Xに移行するときに、いかにして既存ユーザーへの切り替えを円滑に行うかという点と、さらなる新規ユーザーをどうやって獲得するかにアイディアを巡らせていました。そのマーケティング戦略のひとつとして、プロフェッショナルが率先して使ってくれるMac OS X、というイメージ戦略をとりました。その流れで利用されたのがFCPを中心とするFinal Cut Studioでした。

FCPバージョン4.5で、リアルタイムHDがプレイバックできる映像編集をNABの会場で見たときには私も圧倒されましたし、来場者の大半も驚いたことでしょう。このときからFCPはMacだけで動く先進的で使いやすいプロにも認められたアプリケーションであるというイメージが植え付けられていきます。この結果Macintoshの出荷台数も着実に増え、それと同時にMac OS Xの知名度も確実に地に足着くようになりました。UNIXをベースにしているという信頼感や、Windowsに比べて安定して動くという実績もこれを後押ししていたでしょう。そして気がつくと今や映像関係者の大半が、ノート型のMacを所有しているというある意味業界標準に至っています。動画をやるにはMacが必要、というイメージが明らかに定着していると感じます。

Appleはこうやって新しいOSへの移行を定着させて、その間に実はとても大きな改革であるMacが採用しているCPUをIntelに切り替えるという難事業も軽々とクリアしたかのようにユーザーの目には映りました。OSのシェアだけで見ればまだまだWindows陣営に大きく離されていますが、Apple製品購入者たちの満足度はメーカーの中でも群を抜いて高いことを実感しています。

いまやAppleはMacintoshをベースにしていた企業から、それ以外の製品に主力選手が変わろうとしています。すでに力んでMac OS Xの良さや先進性をアピールする必要もなくなり、認知度も上がったので、マーケティング戦略ではFCPを利用する必要もなくなってきたわけです。

そんなAppleの事情と最近のFCPの成長停止が、ぴったりとリンクしていると私は感じています。今の開発陣をyamaq視点で推測すれば、このままFCPに社内リソースを注いでiMovieなどの製品とインテグレーションしていくか、それともFCPを中心にしたプロビデオの身売りまでも視野に入れた収束、という撤退もあり得るのではないか、と注目しています。iPhoneやiPadの成功がそんな事情を加速させることはないのか、と心配の種は増えるのです。Appleは現在そんな岐路に立たされているのではないでしょうか。

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WRITER PROFILE

山本久之 映像エンジニア。フリーランスで映像設備のシステムインテグレーションと、ノンリニア編集に携わる。


[ Writer : 山本久之 ]
[ DATE : 2010-09-17 ]
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