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[鍋潤太郎のハリウッドVFX最前線]Vol.27 ACM SIGGRAPHの地方分科会 LA SIGGRAPHから

#鍋潤太郎のハリウッドVFX最前線

2012-10-12 掲載

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写真:山下 奈津子

はじめに

ここ、明るく楽しいロサンゼルス地方には、ACM SIGGRAPHの地方分科会である「LA SIGGRAPH」というものが存在する。日本にもお馴染み「シーグラフ東京」があるが、そのLA版と言えばご理解頂ける事と思う。LA SIGGRAPHでは毎月、月例会を開催している。内容は毎月異なり、新作映画のお披露目やメーキング講演だったり、目新しいテクノロジーの紹介だったりする。この月例会には誰でも参加出来、会員になって年会費40ドルを納めれば、毎月の月例会の参加費は無料となる。会員でなくても、会場入り口で参加費20ドルを支払えば入場する事が可能だ。

さて、アメリカでは9月が新学期にあたり、LA SIGGRAPHも新年度のシーズンが始まった。シーズン最初の月例会は、夏のシーグラフ2012で開催されたエレクトリック・シアターを「再現」するという、毎年恒例のイベントであった。これは、試写室や学校等の施設を利用して、エレクトリック・シアターで上映された全作品一挙上映するというもので、毎年シーズン最初の月例会に実施されている。今回は、その話題をみなさんにお届けする事にしよう。

9月の月例会

月例会は9月11日夜、サンタモニカにある大学、Art Instituteのホールで開催された。夕方6時半から、まず最初に会員優先の入場となり、会員はスクリーンに近い席を先着順で確保する事が出来る。また開場と同時に、ソーシャル・アワー(親睦会)も実施され、飲み物とサンドイッチやポテチ等の軽食(無料)を頂きながら、しばし談笑。7時を回ったところで、一般の入場が開始された。そして7時半になると、いよいよ開演である。LA SIGGRAPH主催者による挨拶の後、シーグラフ2012のコンピュータ・アニメーション・フェスティバル(CAF)のチェアを務めたジョシュ・グロウ氏が、今年のエレクトリック・シアターの傾向と、上映フォーマット等について解説が行われた。シーグラフにおけるエレクトリック・シアターは、言ってみれば「CG業界のオリンピック」である。世界中から応募された作品の中から、選び抜ぬかれた秀作だけが上映される訳だ。

今年のCAFは、応募作品総数 : 601本。予備選考の後、審査員によって選定された作品数:81本、学生作品のエントリー:289本、作品が応募された国:43ケ国という事で、応募総数は、昨年の891本(44ケ国)より少なかったそうである。そして、CAFの中でもハイライトとなるのがエレクトロニック・シアターだが、全32本の作品が上映され、そのカテゴリの内訳は、

  • 学生作品: 9本
  • VFXリール: 7本
  • 短編作品: 6本
  • CM: 4本
  • サイエンティフィック・ビジュアライゼーション: 1本
  • ミュージック・ビデオ: 1本
  • シーグラフ論文予告編: 1本
  • ゲーム・ムービー: 1本

というバラエティに富んだ内容。学生作品が多かった事も特色だろう。また、エレクトリック・シアターで上映された作品を、国別に本数が多い順に見てみると、

  • アメリカ: 15本
  • フランス: 5本
  • イギリス: 4本
  • ドイツ:2本
  • 韓国・オーストラリア・オランダ・イスラエル・ポーランド・ニュージーランド・カナダ: 各1本づつ

という訳で、映像大国のアメリカが第1位だった。日本勢は、エレクトリックシアター入選作品が昨年に引き続きゼロという、少々寂しい結果に終わった。来年には是非期待したいものである。

では、この日のLA SIGGRAPH月例会で特別上映で上映された作品を皆さんに「さっくり」とご紹介したいと思うが、本欄では、一部ではなく「全32作品」を網羅してお届けする事にしよう。全編ないしは一部がオンラインで鑑賞出来る作品もあるので、そのリンクも含めてご紹介しておく。映像が公開されていないものについては、制作者の公式サイトを明記しておいた。ちなみに、この日のLA SIGGRAPHでのエレクトリック・シアターの上映は、HD解像度のQuickTimeで行われた。

Estefan (※Student Prize受賞)
VFX_27_1.jpg

Jeffrey Call-Brigham Young University/アメリカ
カテゴリ:学生作品
公式サイト:http://universe.byu.edu/index.php/2012/03/26/byu-animation-program-finishing-new-film-estefan/

今年の学生賞を受賞した、Brigham Young Universityの学生ジェフリー・コール氏による作品。とある街の「カリスマ美容師」が、来店した1人の女性客を満足する為に奮闘するという、コメディ作品。今年のStudent Prizeを受賞。

How To Eat Your Apple(※Jury Award受賞)

Erick Oh/アメリカ&韓国
カテゴリ:短編作品

リンゴの中から、様々なクリーチャーが登場。リンゴを食べながら、どんどんクリーチャー達が増殖していく…というシュールなコメディ。テンポ良い展開が面白い。今年のJury Awardを受賞。

Iloura VFX Reel
VFX_27_2.jpg

IIoura/オーストラリア
カテゴリ:VFXリール
同社ホームページ:http://iloura.com/

オーストラリアはシドニーにあるエフェクト・ハウス、Ilouraが最近手掛けた作品から映画「ゴーストライダー」を始めとする、同社が最近手掛けたVFXリール。

Twining “Gets You Back To You”

Psyop/アメリカ
カテゴリ:CM

コカコーラのCMシリーズで有名なPsyopによる、英トワイニング紅茶のCM。フォトリアル系ではなく、水彩画のようなやわらかいタッチが印象的な作品だった。

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WRITER PROFILE

鍋潤太郎 ロサンゼルスを拠点とするVFXジャーナリスト。


[ Writer : 鍋潤太郎 ]
[ DATE : 2012-10-12 ]
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