国際放送機器展2008(Inter BEE 2008)が、今年も千葉県の日本コンベンションセンター(幕張メッセ)で、明日19日から3日間にわたり開催される(写真は昨年のInter BEE 2007の様子)。アナログ放送停波まで3年を切った今年、これまで次世代環境への移行を見送ってきた放送局、プロダクションにとっても移行は待ったなしの状況になった。ハイビジョン収録、編集環境も大きく進化しつつある。テープレス収録はもちろん、その収録されたファイルをどう取り扱っていくのか。ファイルを有効に活用するためのメタ情報をどうするのか。ファイルベースへの移行を見据えたハイビジョン化が求められる時代にもなってきている。テープが存在しないファイルベースであるからこそ、今後は制作後のデータをどうアーカイブするかが重要になる。もちろん我々PRONEWS編集部も昨年同様全総力をあげて取材をするので期待してほしい!

バリエーション豊かなファイルベース収録環境

今年は、カメラ環境が完全にファイルベースへと移行した年になった。ソニーのHVR-Z5JやキヤノンのXH G1S/A1SなどテープベースのHDVカメラレコーダーが新製品として登場してくるが、実際はコンパクトフラッシュユニットやHDDレコーダーを併用することでファイルベースとしての運用が可能になる。むしろ万が一のためのバックアップ用にテープを回しておくスタイルとなり、メインの収録環境はファイルベースで行うほうが自然になってきている。今年は日本ビクターも、海外で定評のあるJVC製HDVカメラレコーダーProHDを出展する。これまで、業務用HDVカメラの展開はソニーからSxSメモリーカードのライセンス供与を受けたこともあり、今年はSxSメモリーカードレコーダーを使用してファイルベースに対応可能にするオプションを参考出展する。

テープ収録を廃止したカメラにも注目だ。今年は、ソニーXDCAM EX、パナソニックP2 HDとP2 HD Varicam、池上通信機GFcamとバリエーション豊かなテープレスカメラが登場した。HDVカメラレコーダーも含め、自分の撮影スタイルや制作ワークフローに合わせて、ファイルベースへの移行を考慮しながらカメラを選ぶことができるようになってきた。

ファイルベースの収録環境は、テープ記録の速度に縛られないことから、高解像度化も進める結果になった。RED Digital CinemaのRED ONEは4K映像のハードルを大きく下げることに貢献し、今年4月の2008 NAB Showでは、あちこちのブースで見かけることができた。日本でのデジタルシネマ環境はまだまだ整っていない状況もあるが、6月のIMC Tokyoでの注目度は群を抜いていた。代理店の西華産業で次世代のREDカメラのコンセプトもアナウンスされる予定だ。ビデオ制作というよりもフィルム手法を要求されるREDカメラなので、自分の制作ワークフローにあうかどうか、確認してもらいたい。

ファイルベースゆえに必要不可欠なメディア管理とアーカイブ

カメラの収録部分がテープレスになったことで、確かにノンリニア環境との連携はしやすくなった。しかし、テープメディアからの開放は、シーケンシャルなタイムコードベースの制作手法からの脱却を意味している。ノンリニア編集システムにファイルコピーしてしまえば、前後のつながりはファイル名でしか分からなくなってしまう。増え続けるファイルの中から目的のカットを探すためにも、メタ情報の重要性は増してきている。

アップルのメディア管理サーバーアプリケーションFinal Cut Serverやアドビ システムズのCS4 Production Premiumに含まれるディスクレコーダーソフトウェアOnLocation CS4などノンリニア編集をサポートするメタ情報管理に対応したソフトウェアや、朋栄のメディアマネジメントシステムMediaConciergeのようにインジェストから送出までの一貫したデータ管理を実現したシステムも出てきている。2011年のアナログ停波に向けて、ハイビジョン制作環境が整いつつあるが、今後は制作中のメディアマネジメントをどうするか、制作後のデータアーカイブをどうするかといったワークフローの効率化のへの取り組みが加速していきそうだ。

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