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[SIGGRAPH ASIA 2013]アジア各国からの数多くの展示発表が充実

2013-12-03 掲載

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本家SIGGRAPHに並ぶASIAからの出展

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SIGGRAPHは世界最大のコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する学会・展示会である。そのSIGGRAPHのアジア版、第六回目となる「SIGGRAPH ASIA 2013」が、2013年11月19日から11月22日の4日間、香港で開催された。SIGGRAPH ASIAの香港での開催は今回で2回目、52ヶ国から約7,000人弱の参加者であった。米国で開催される本家SIGGRAPHと比べて規模は半分ほどであるが、ヨーロッパ周辺を含むアジア各国からの数々の展示や、発表ともども大変充実した内容であった。今年のテーマは “SENSE The Transformation”「変化を感じる」だ。

昨今、SIGGRAPH ASIAが注目される背景としては、スターウォーズを手がけるCGプロダクションILMほか、ダブルネガティブなどがシンガポール他、アジア拠点をもうけていることがある。業界全体で人材の確保と、高騰する人件費を押さえる展開があり、世界的に環境が大きく変化してきている。また、SIGGRAPHのアジア圏での開催は、国によっては米国SIGGRAPH参加の際、ビザ取得、渡航が難しく、秀でた成果があったとしても、米国SIGGRAPHの参加が困難な場合を配慮したものでもあるそうだ。

SIGGRAPH ASIA 2013 公式サイト

 

コンピュータアニメーションフェスティバル

Computer Animation Festival 全体予告編

世界各国からのCG作品を集めたCAF(コンピュータアニメーションフェスティバル)では、映画の特殊効果映像や、ヨーロッパやアジアからの新しい短編作品を観ることができる。派手な大手CG/VFXプロダクションからの招待映像に混じって、学生チームのユーモラスな作品など、約二時間のElectronic Theater上映時間は、拍手と笑いの絶えないひとときであった。CAFには51ヶ国から506本の投稿があり、29本の作品がElectronic Theaterで上映された。上映にはクリスティデジタル社提供の18,000ルーメン 3-chip DLPデジタルプロジェクタ「Mirage WU20K-J」が活躍した(日本国内では4K映像が盛り上がりつつあるが、アジア圏ではまだ2Kデジタルシネマでの環境整備が急務となっている。特に解像度によって多くのレンダリング時間がかかるCGの世界では、IMAX上映の必要性が無い場合は、まだまだ2Kでクオリティの高い映像を目指そう…という雰囲気であった)。

■5 Meters 80

Best of Show Award(グランプリ作品)は、フランスのCube Creative ProductionsのNicolas Deveaux監督らによる “5 Meters 80” が受賞した。リアルな映像風景の中で、シュールな出来事が淡々と続く、実際にはあり得ないキリンのプール飛び込みを映像化したものだ。CGだと解っていても、静かな映像に引き込まれる作品であった。

■Sonata

Jury Award(審査員特別賞)はフランスMinuit ProductionsのNadia Micault監督による “Sonata”。男女の流れるようなダンスを線画のアニメーションで表現した作品で、独特のオリジナリティと新しいタイプの映像美は評価されていた。一方、会場の観客の間では、退屈な作品だと評価が低かった。

■Wedding Cake

Best Student Project(学生奨励賞)はドイツのFilmakademieのViola Baier監督らによる “Wedding Cake” ウェディングケーキのマジパンが動き出す可愛らしいフルCGアニメーション。雰囲気は可愛らしくユーモラスで、新婚夫婦のいざこざを描いたコメディ作品。現実の世界とケーキの世界とでストーリーがループ構造になっており、何度でも見たくなる作りになっている作品だ。

■HINODE

太陽企画所属のCGディレクター・デザイナーである新山哲河氏の作品。「海の宝」をテーマに、生き物のように動き、輝く宝石を表現したもの。制作には3dsMax、V-Rayを利用。生き物としてのリアル感も、宝石としてのリアル感も表現された、CGならではの映像美が注目された作品。

■Mr Hublot

Mr Hublotは、ルクセンブルグZEILT ProductionsのLaurent Witz氏とAlexandre Espigares氏によるスチームパンク作品。キャラクタデザイン、背景設定などはStephane Halleux氏によるもの。いつの時代なのか、地球上かどうかもわからない機械に支配された不思議な世界を描いたフルCG作品。無骨な機械群が微笑ましいペットとして描いており、ストーリーも見終わると誰もがニヤリとする素敵なものだ。公式サイトには、緻密で情景豊かな制作時のアートワーク、スケッチ画も見ることができる。SIGGRAPH以外にも、世界各国、数多くの映像関連の賞を受賞している。また、この作品の制作費はクラウドファウンディングで集められたもので、一般のファンからで少額寄付を多数集めて実現したものだ。

■Stress

StressはノルウェーのBabusjka As社 Magnus Engsfors氏による作品。美しい映像はCGの得意とする分野であるが、本作品はタイトル通り「ストレス」をテーマに作られた作品。映像の中で、違和感や、焦燥感、いらだちと言った単なる美しさの反対にあるCG映像だ。実写とは違い、全て創り出すことのできるCG映像だけに、映像だけで色々な感情を喚起させることを再認識させられた作品だ。

■Shave It

Shave Itはアルゼンチンの3dar社、Jorge Tereso氏、Fernando Maldonado氏らによるキャラクター作品。実写ではなかなか表現が難しいビビッドな色使いによるコメディ作品。メイキング映像も公開されている (http://vimeo.com/63561914)。色使いや形状表現を意図的にあえてシンプルなものにし、CGレンダリング時間(つまりはコスト)をかけずにアニメーションとストーリーによる表現に力を入れているところが素晴らしい点だ。

■Kia ‘Space Babies’ | Jake Scott / Method Studios

“Space Babies” はアメリカMethod StudiosのJake Scott氏らによるTVCM作品。韓国の車メーカーKia用に作られた何本かのTVCM作品のうちの一つだ。「赤ちゃんはどこからやってくるの?」という子供の素朴な質問の答えを、実写を交えたCG映像で描いたもの。

■Chicken or the Egg

アメリカのCG学校Ringling College of Art and DesignのChristine Kim氏、Elaine Wu氏らによる作品。卵好きのブタと、ニワトリの恋愛を描いた作品。スピード感のあるカット割りや超定番のストーリー展開などは、王道のCGテクニックを学んで来たアーティストたちが作ったことが感じられた。短いながらも、笑いのポイント、ストーリーの起承転結、盛り上がりなどが綿密に設計されたフルCG作品。音楽やサウンドデザインは、音楽を学んでいる同期の仲間にお願いしているらしいところが好印象だ。

そのほか映画作品からは近年公開された、エリジウム、スター・トレック イントゥ・ダークネス、ホビット 思いがけない冒険、アイアンマン3、パシフィック・リム、クルードさんちのはじめての冒険や、テレビゲームのオープニング映像などのメイキング映像が紹介された。

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WRITER PROFILE

安藤幸央 無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPH ASIAやCESなど海外の注目イベントを紹介。


[ Writer : 安藤幸央 ]
[ DATE : 2013-12-03 ]
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