オートデスクは、米ニューオリンズで8月3日(現地時間)から開催されているコンピュータプラフィックス関連カンファレンスイベントのSIGGRAPH 2009において、3DCGアニメーションツールMaya/Softimage、3DキャラクターアニメーションツールMotionBuilder、3DテクスチャアニメーションツールMudboxを、それぞれ2010バージョンを発表した。さらに、3ds Max 2010/Maya 2010/Softimage 2010のいずれかに、MotionBuilder 2010/Mudbox 2010の両方、あるいはMotionBuilder 2010を追加したスイート製品Entertainment Creation Suite 2010/Real Time Animation Suite 2010を新たに設定した。スイート製品は10月13日から出荷される。

Maya 2010で1モデルになり、Toxik合成機能を追加

バージョンアップしたAutodesk Maya 2010は、より写実的な視覚効果を生み出すクリエイティブ機能を実現することを念頭に設計。Maya Unlimited 2009の全機能に加え、マッチムービング機能、ハイダイナミック レンジの合成システムを新たに搭載し、10月13日から535,500円(スタンドアロンライセンスの場合)で提供する。

今回追加された合成機能であるMaya Compositeは、オートデスクのコンポジティング ソリューションであるAutodesk Toxikをベースにした高性能な合成編集ソリューションだ。被写界深度や画像サイズに関係なく、ほぼすべてのビジュアル メディアをインタラクティブに処理することが可能になる。高度な3次元トラッキングとマッチムービングシステムを実現するのは、Autodesk MatchMover。3D カメラおよびモーション データをビデオや映画のシーケンスから正確に抽出し、CG要素をシーンに違和感なく挿入できる。

バッチレンダリング機能の強化は、ネットワークライセンス版でmental ray for Maya Batchレンダリングノードを5つ追加した。さらにWindows 32bit/64bit版、Linux 64bit版においてはネットワーク レンダー キュー マネージャAutodesk Backburnerも搭載される。

Softimage 2010にはフェイシャルアニメFace Robot機能を追加

3D モデリング、アニメーション、ビジュアル エフェクト、レンダリング、合成ソリューションを提供するSoftimage 2010では、フェイシャルアニメーション作成ツールFace Robot技術を統合し、フェイシャル リギングおよびフェーシャルアニメーションの作成にも対応した。Softimage 2010(399,000円)とSoftimage Advanced 2010(819,000円)の2モデル構成で9月15日から出荷する。

ICE(Interactive Creative Environment)カスタム ノード作成オプションが追加され、特殊なICEエフェクトやツールをC++開発者とテクニカル ディレクターなどが作成できるようになった。複雑なシミュレーションやリアルなキャラクターを作成する時に、MayaにICEエフェクトとFace Robotメッシュをエクスポートすることで、Softimage 2010を制作パイプラインに統合できるようになった。

ICEグラフでどのノードがボトルネックになっているかを特定できる新しいパフォーマンス モニタや、シーンのパフォーマンスとメモリ使用量に関する情報からボトルネックをより迅速に特定して問題を排除するためのScene Debugger、特定のシーン要素をすばやく見つけられるシーン検索ツールセットを搭載したほか、シーン要素を効率的に管理するためのレイヤのグループ化のサポートも行われた。

MotionBuilder 2010は3Dツールとの相互運用性を強化

大規模なゲーム アニメーション パイプライン、仮想空間での監督主導の映画制作、リアルタイムのキャラクタ シミュレーションを効率的に行うためのリアルタイム 3D キャラクタ アニメーション ソフトウェアAutodesk MotionBuilder 2010では、全体的なパフォーマンスの向上と、物理処理を行うPhysics機能の拡張をしたほか、3DCGアニメーションツールMaya/3ds Max/Softimage との相互運用性を強化した。9月24日から614,250円で発売する。

MotionBuilder 2010は、大規模なシーン ファイルを使用する時のパフォーマンスを改善をするため、MotionBuilder 3Dアニメーションエンジンの改良とメモリ最適化が行われた。Physics機能の拡張面では、ジョイントを使用してプロップとキャラクターを接続し、Physicsエンジンでセカンダリ アニメーションを自動処理するというように、シミュレートされたオブジェクトを複数接続することができるようになった。

Autodesk HumanIKミドルウェアの最新ライブラリも統合。ポーズコントロールやキャラクタコントロール、キャラクタ定義リストをHumanIKプラグインを通して扱うことができる。キャラクタテンプレートも更新され、3ds Max Bipedへの対応強化や、MotionBuilderテンプレートリグを搭載したSoftimageへのキャラクターデータ交換も可能になった。

このほか、大容量のアニメーション シーケンスをより効率的に編集したり、高品質のシネマティックなシーンを作成してショットのプリビジュアライゼーションを行えるノンリニア編集機能であるStoryツールをはじめ、ポーズをキャプチャして別のオブジェクトで再利用できるポーズ コントロールや、カスタム リグ、プロップ、カメラ、照明を使用して作業を効率化するユーザ定義のキーイング グループといった機能強化も図られた。

Mudbox 2010は新ワークフローを採用

ゲーム、映画、テレビ、デザイン業界の3Dアーティスト向けに提供するデジタルスカルプト テクスチャペイントソフトウェアのAutodesk Mudbox 2010では、新しいワークフローを採用して、9月15日から115,500円で提供する。

Mudbox 2010では、インコンテキスト シェーディングとライティングを使用して最終的な出力をプレビューしながら3Dモデルを作成可能なリアルタイム3Dグラフィックス ワークスペースを搭載した。直感的なブラシ ベースのスカルプトや。複数のテクスチャとシェーディング チャンネルにまたがって3Dペイントすることが可能になった。3Dレイヤーをサポートしたことで、非破壊的にスカルプト/ペイントすることもできる。

3ds Max/Maya/Softimageやアドビ システムズのPhotoshopとのデータ交換をしやすくする相互運用性も改善。特に、オートデスクのファイル転送技術Autodesk FBXをサポートしたことで、3ds Max/Maya/Softimageの3DシーンをMudboxへ転送するのも簡単になった。

映画やゲーム パイプライン向け機能としては、法線マップとディスプレイスメント マップをベイクできるテクスチャ ベイクも搭載する。Mudboxをカスタマイズしたり拡張したりして制作パイプラインに統合するためのSDK(ソフトウェア開発キット)も付属する。