Blackmagic Designの発表によると、映画「My Daughter Was Stolen(原題)」のプロダクションおよびポストプロダクションに、URSA Mini Pro、URSA Mini 4.6K 、Pocket Cinema Cameraなどのデジタルシネマカメラや、カラーグレーディング/編集/サウンドデザイン用にDaVinci Resolve 14 Studio、そしてビジュアルエフェクト用にFsion 9 Studioが使用されたという。

「制作のすべての過程でBlackmagic Design製品を使用しました」とアリ・ゴラン氏は語る。ゴラン氏は、プロデューサー、カメラ/MoVIオペレーター、ドローン操縦者、ポストプロダクションのスーパーバイザー、そしてカラリストの肩書きを持ち、また「My Daughter Was Stolen」のプロダクションおよびポストプロダクションを担当したGolan StudiosおよびAtomic Imagingのオーナーでもある。

ゴラン氏:全編を通して5台のBlackmagic Designカメラで撮影し、編集、グレーディング、フィニッシングにはDaVinci Resolve Studioを使用しました。また、サウンドミックスやグリーンバックの合成などもDaVinci Resolve Studioで行いました。さらにVFXの作業にはFusion Studioを使用しています。

「My Daughter Was Stolen」は、3月1日に世界各地の映画館で、3月9日にはLifetime Movies Networkで封切られた。同作は現代のシカゴを舞台に、1つの役を巡り争う2人の女優のストーリー。夢見ていた役を得られなかった女優は、役を勝ち取った女優の4歳の娘を誘拐。10年後、少女は逃げ出すが、追跡者は彼女を執拗に追う。追跡者の残忍な行動はエスカレートし、最後のチェイスシーンと対決の場面でクライマックスを迎える。

ASC(全米撮影監督協会)に所属するドン・E・ファンルロイ撮影監督は、同作の撮影でURSA Mini 4.6K PLをAカメラ、Bカメラとして使用。さらに、車を上空から追跡するショット、場所を特定するエスタブリッシング・ショット、ミシガン湖上空からシカゴのダウンタウンへと近づいていくオープニングショットなど、ジンバル/ドローンを用いたショットは、すべてURSA Mini Proで撮影した。

また、第2撮影班による撮影やピックアップショットにはURSA Mini 4.6K EFが、車のスタントシーンにはPocket Cinema Cameraが使用された。ファンルロイ撮影監督は、カメラの形状、ダイナミックレンジ、価格も重要な要素であったが、とくに重視したのはその画質である。

ファンルロイ氏:現場で、Blackmagic Design製品以外のカメラといえば、スチル用のカメラだけでした。このプロジェクトを始める直前に「ジーパーズ・クリーパーズ3」の撮影を終えたのですが、これもURSA Mini 4.6Kで撮影しました。ルックの面でも性能の面でも、Blackmagic Designのカメラには非常に満足していたので、今回のプロジェクトで使用するカメラについては、検討する必要すらありませんでした。何の迷いもなく、URSA Mini 4.6KとURSA Mini Proを使用することになりました。

Blackmagic Designのカメラは、低価格ながらすばらしい画質が得られます。また、DaVinci Resolve StudioでのRAW CinemaDNGのワークフローはシームレスで安定しており、非常に融通が利きます。

エディターのロジャー・ヴォルスキー氏によると、ポストプロダクションでは、DaVinci Resolve Studioのコラボレーションモードで編集/グレーディング間を行き来したという。

ヴォルスキー氏:撮影がまだ終わらないうちに編集作業を開始したので、編集中はコラボレーションモードを使用しました。毎朝、前日に撮影したフッテージをクローンツールでサーバーにコピーしました。そしてアシスタントのニック・スカルトがメタデータを編集してシーンやテイクごとにラベル付けする間に、私が準備済みのクリップの編集を行いました。この方法をとったことで、撮影終了後1~2日でアセンブル編集が完了しただけでなく、アリのグレーディング作業も同時に進めることができたんです。また、DaVinci Resolveのトリムツールは非常に直感的に使用できます。トリムや調整の作業をスピーディに進めることができました。

ゴラン氏はグレーディングの際、序盤では温かみや幸福感のあるルックを作成し、ストーリーが悲劇的な展開になるにつれ、冷たいトーンのルックに移行していった。この作品では、DaVinci Resolve 14 Studioのいくつかの新機能を重宝したという。例えば、マッチムーブフィルターを使うことで、テレビ画面や携帯画面に、写真やビデオを簡単にはめ込むことができた。

ゴラン氏:通常は、ポストプロダクション・ワークフローの大部分で他のソフトウェアを使用する必要があるのですが、DaVinci Resolve Studioではその必要はありませんでした。DaVinci Resolveを使用しなかったのは、Fusion Studioで作成したVFXだけです。サウンドエフェクトと効果音の編集はDaVinci Resolve Studioにステムとして取り入れました。

VFXアーティストのアダム・クラーク氏は、多くのショットでFudion 9 Studioの平面トラッカーを使用し、燃えている物体の炎や俳優の弾傷などをトラッキングした。

クラーク氏:新しいパワフルな平面トラッキング機能とFusion Studioの優れたロトスコープツールを活用することで、トラッキングするエリアを特定しました

また、ダイアログエディターのテリー・ショーネシー氏は、サウンドエフェクト、音楽、そして最終ミックスを担当した。

ショーネシー氏:オーディオの編集はDaVinci Resolve Studioのエディットページで行い、サブグループ、メイン出力、ダイナミックフィルターの設定、最終的なステムのデリバリーなどはFairlightページで行いました。

ゴラン氏:DaVinci Resolve 14にFairlightオーディオが追加されたことで、他のプログラムを使用せずに、思い通りの形でプロジェクトを納品できるようになりました。単一のソフトウェアで高度なカラーグレーディングと編集が可能なだけでなく、サブ/メインの設定とルーティング、マスターの出力、左右およびセンターのサラウンドチャンネルの分離などをすべてワンステップで実現できます。