Blackmagic Designの発表によると、ウィーザーの新しいミュージックビデオ「アフリカ」が、URSA Mini Proで新しいコーデックBlackmagic RAWを使用して撮影されたという。カラーグレーディングおよび編集を含む、ポストプロダクションにはDaVinci Resolve Studioが使用された。

Crush Musicのジェイド・エラーズ氏およびブレンダン・ウォルター氏により監督された同作は、TOTOの「アフリカ」のリメイク。また、ウィーザーの象徴的なミュージックビデオ「Sweater Song」の再現も意図して撮影されたという。

ビデオは、バンドがブルーの壁の前で演奏する様子をワンテイクでキャプチャしており、カメラがバンドの合間をかいくぐって撮影したという。ショットはバンドの正面から始まり、セット内の暗い部分と明るい部分を行き来したり、バンドを見下ろしたり、見上げたりするショットが含まれる。

Crush Musicのジェイド・エラーズ氏は次のようにコメントしている。

撮影1週間前に、Blackmagic RAWが発表されたのは完璧なタイミングでした。求めていたものをすべて備えたコーデックでした。オリジナルの「Sweater Song」はフィルムで撮影されたため、映画のようなルックで撮影できるデジタルカメラを探していました。また、厳しいスケジュールの中、限られた予算内で撮影とポストプロダクションが行えるカメラである必要もありました。そういった点で、Blackmagic RAWとURSA Mini Proは完璧でした。

以前に何度もURSA Mini Proで撮影した経験があったのですが、Blackmagic RAWを使用することで、優れたセンサーを搭載した新しいカメラに突如変わったかのように感じました。Blackmagic RAWのリリース前は、圧縮フォーマットを使って済ますつもりでしたが、Blackmagic RAWでは簡単にRAWでの撮影が可能になりました。

Blackmagic RAWの利点は、各イメージに膨大な量のデータをキャプチャできることで、これは、同作の難しい照明条件に対処する上で役に立ったという。セットにはブルーの壁が設置されており、ステージの異なる場所の照明を合計5名で取り回した。移動を続けるカメラに合わせて照明がマッチするように作業すると同時に、ショットの各部がオリジナルのビデオと完全に一致するように調整を行なった。その結果、オリジナルのフッテージの照明と同じ、場所によって異なる照明が再現されたという。

ブルーの壁は、場所によって照明の反射の仕方が異なっていて、また暗い部分が所々に点在していました。そのため、設定を2段下げ、ISO800で撮影する必要がありました。ポストプロダクションで修正できるように対策的にこの手段を用いました。

Blackmagic RAWが実力を発揮したのは、ここでした。ポストプロダクションでISO1600まで上げることができ、DaVinci Resolve Studioで適切な彩度に調整でき、また、すべてのディテールが捉えられていました。調整がすばやく簡単に行えたのも良かったですね。極めて小さなファイルサイズで、優れた画質と詳細なディテールが得られました。

Blackmagic RAWのおかげで、各ショットのカラーの幅が広がりました。最も驚いたことは、セットで使っていたラップトップで直ぐにRAWファイルを再生できたことです。同じファイルで、撮影、編集、カラーグレーディングが可能なので、これだけで半日から8時間分の作業を減らすことができました。書き出しに数時間を費やす代わりに、ポストプロダクションでオリジナルのカメラファイルで自由に作業できました。本当に我が目を疑いました。

同作の撮影には、高品質の映画のような画質が得られるカメラを求めていたが、ワンテイクで撮影するため軽量であることも重要だった。URSA Mini Proの重量は約2.3kgであるため、スーパー35の4.6Kセンサーと15ストップのダイナミックレンジを搭載した同カメラは、エラーズ氏とウォルター氏が必要としていた要件をすべて満たしていたという。

満足いくショットが得られるまで6回撮り直しました。つまり、ネイサンはカメラに加え、それにリグ付された機器、レンズ、メディアを担ぎ続ける必要がありました。URSA Mini Proはフルでリグ付けしても約13kgに収まり、極めて小型であるため、ネイサンにとって重量が過大な負担にならず、必要なショットを撮影することができました。