ライカカメラ社(以下:ライカ)は、ミドルフォーマットのデジタル一眼レフカメラシステムのライカSシステムの新機種として「ライカS3」を2020年3月28日に発売する。価格は税別2,300,000円。

Sシステムは、撮影に不可欠なあらゆる要素を徹底的に考え抜いたカメラシステム。ライカS3もこれまでと同様に高い品質基準を求めるユーザーの期待に応える理想的なカメラだとしている。

従来機種からの最大の変更点は、撮像素子の画素数が3750万画素から6400万画素へと上がった点。そのほかにもさまざまな機能や性能が向上している。撮像素子には、従来機種と同様にSシステム専用に開発した「ライカ プロフォーマット」を採用。ライカ プロフォーマットはサイズが45×30mmで、従来の35mmカメラの撮像素子と比べると、アスペクト比は3:2と同じ、面積は56%大きくなっている。また、新たに開発された撮像素子は、従来機種よりも画素数が71%増えている。ダイナミックレンジは15ストップまで広くなっているほか、最高ISO感度がISO50000に向上。

また、大型で明るいファインダー、高速・高精度のオートフォーカス、3コマ/秒の連写機能も搭載。ファインダー内では撮影時に重要となる情報を確認できるほか、電子水準器(水平方向)を表示することも可能。ライブビュー機能も搭載しており、背面の液晶モニターでライブビュー映像を見ながら静止画や動画を撮影可能。ライブビュー撮影時は、映像と同時にフォーカスピーキング、明るさおよび露出設定、クリッピング警告、グリッド、ヒストグラムも表示できる。なお、ライブビュー映像の表示速度は60コマ/秒となる。

動画撮影機能も充実しており、シネマ4K画質やフルHD画質での動画撮影が可能。ライカ S3ではS型カメラとしては初めて、撮像範囲をフルに活用しながらシネマ4K動画も撮影できるようになり、ミドルフォーマット特有の画質でシネマ4K映像表現が可能だとしている。動画撮影の音声は48kHz/16bitでステレオ録音。録音レベルは自動または手動で調整可能。音声は内蔵マイクのほか、外部マイクを装着して録音することも可能。

画像処理エンジンには「LEICA MAESTRO II(ライカ・マエストロ・ツー)」を採用。この画像処理エンジンと2GBのバッファメモリーにより、撮像素子から得られる膨大な情報を高速処理することが可能。また、テザー撮影用のソフト「Leica Image Shuttle」を使えば、撮影に必要な各種の設定をパソコンからリモート操作できる。撮影した画像は、USB3.0ケーブルを使用してダイレクトにパソコンに転送可能。なお、画像はDNG形式やJPEG形式で記録でき、さらにAdobe Photoshop Lightroom Classic CCに「ライカ テザー撮影用プラグイン」をインストールすると、同ソフトのテザー撮影機能に対応させることが可能。

ワイヤレスLAN機能も搭載しており、モバイルアプリ「Leica FOTOS 2.0」を使ってカメラをリモート操作することも可能。GPS機能も搭載しており、衛星からの電波に基づいて、撮影場所や撮影時刻を画像のExifファイルに記録できる。

ボディの材質にはマグネシウムを、3.0型の液晶モニターのカバーガラスにはCorning Gorilla Glassを、レンズマウントの材質には耐久性のあるステンレスをそれぞれ採用。また、ほこりや水滴がカメラ本体の内部に侵入するのを防ぐために、シーリングを随所に施している。

シャッタースピードや絞り値の設定などの主な操作は、クリックホイール、シャッター速度ダイヤル、ジョイスティックの3つの操作部で行う。メニューを使った操作も、これらの操作部を使って素早く簡単に行えるという。背面には、液晶モニターと、その周囲に4つのボタンを配置し、これらの4つのボタンには、好みの機能を割り当てることが可能。セントラルシャッターを搭載のSレンズを使用の場合は、メインスイッチでフォーカルプレーンシャッターとセントラルシャッターを切り換え可能。

また、Sレンズでも他のライカのレンズと同様に、将来的な技術の進歩にも対応できるように光学系を設計。今後登場予定の新しい世代のカメラでもその性能を十分に活用でき、光学機器としての価値を末永く維持できるように配慮しているという。ライカS3と組み合わせても、新たに採用した6400万画素の撮像素子にもマッチし、光学性能を十分に発揮する。Sレンズのラインアップのうち6機種がセントラルシャッターを搭載していることも、Sシステムの大きな特長だという。フラッシュ同調速度は、フォーカルプレーンシャッターでは1/125秒だが、セントラルシャッターでは最高シャッタースピードと同じ1/1000秒となる。