GoProは、新しいプラットフォームとして「GoPro Labs」の提供を開始した。

GoPro Labsは、GoProが社内で試している実験的な機能をGoProのエキスパートやコアなユーザー、チャレンジ精神旺盛なユーザーに体験してもらうための手段。GoPro Labsはベータ版ではなく、GoProのトップエンジニアたちが取り組んでいる機能がどんなものかを見ることができるものだという。さらに、この機能をGoProで実際に試すことが可能。

GoPro Labs初回となる今回のイテレーションでは、社内ハッカソンで生まれた、カメラのリリースに未搭載の機能が用意された。今後もカメラのリリースには搭載されない可能性があるが、ユーザーに試してもらう価値があり、十分に使える機能だとしている。HERO8 BlackをGoPro Labsファームウェアに更新することで試すことが可能。詳細は同社Webページより。

GoPro Labsの初回イテレーションでHERO8 Blackに実装される機能は以下の通り。

(以下、プレスリリースより引用)

1.ReelSteady GO向けの最適化
今年の初頭、ReelSteadyチームがGoProファミリーに加わったことを発表しました。このとき、ReelSteadyの既存のお客様には何の変化もないことをお約束しましたが、今後は、より高品質なシネマティックコンテンツを実現していくことをお約束いたします。今回の最適化がこのお約束の初となる実装です。

GoPro Labsファームウェアでは、HERO8 Blackカメラに搭載されているローリングシャッター補正をReelSteady GOの安定化機能にいっそう適したものにしました。これにより、HERO8 Blackでの撮影後の安定化処理でベストな結果が得られるようになります。

2.カメラコントロール用のQRコード
GoProはHERO8 BlackカメラをコントロールするためのQRコード方式を開発しました。この機能強化により、タイミングが重要で電力を要するようなコンテンツ作成にHERO8 Blackを使用できるようになりました。日単位、もしくは週単位のタイムラプスや、Wi-Fi接続の制約をものともしないリモートコントロールが実現します。やり方は簡単で、カメラをQRコードに向けるだけ。これだけで、指定された機能が作動します。下の図は提供しているQRコードの一例です。

QRコード方式について
カスタム コードの作り方

QRコード対応機能の例:

  • 起動タイマーを使用してリモートで撮影開始
  • お気に入りのモードをビジュアルプリセット/QRコードとして保存
  • 動きを検出して開始/停止 – 何かが起こっているときだけビデオを撮影
  • 速度を検出して開始/停止 – GPSで速度を割り出し、定義された速度に達したら自動で撮影開始
  • カメラのスクリプト – 建設現場のタイムラプスを撮影するが、明るい時間帯だけ、など(他にも多彩で細かいカメラコントロールが可能)
  • GoProを独自の情報でカスタマイズ
  • 長時間のビデオ撮影時にチャプターのボリュームを増やしてファイル数を削減 – 4GBチャプターを12GBに増やすなど

実際にこの機能を使用して撮影された事例として、“ロケットの打ち上げ×GoProカメラ”がある。この打ち上げ映像は起動タイマーを使用して撮影されたが、この機能を有効にするのにGoPro LabsのQRコードカメラコントロール機能が使用されている。

QRコード機能の考案者であるGoProのテクニカルフェローのデビッド・ニューマン氏は、ノースロップ・グラマン社のチームと協力して、国際宇宙ステーションの補給ミッションの打ち上げ撮影に挑みたが、そこには一つの課題があり、GoProカメラの設定を打ち上げの72時間前までに済ませなければならず、その後カメラには一切触れられなかったという。

デビッド氏:HERO8 Blackカメラには外部コントロール機能がないうえ、設置場所が遠すぎてGoProアプリからWi-Fi経由でコントロールすることもできませんでした。外部電源はなく、内部バッテリーだけでの動作です。私たちはGoPro Labsファームウェアを使って、打ち上げの数分前に自動的にGoProカメラの電源が入り、録画が始まるようにしました。この一連の動作を単一のQRコードで何日も前に設定したのです。

ジョンによれば、設定作業はとても簡単でした。お嬢さんのサラさんに手伝ってもらい、レンズをQRコードに向けてGoProカメラの設定を済ませたら、あとは発射台に取り付けて待つだけで、カメラは見事に機能しました。起動タイマーが作動するとすぐにGoProカメラの電源が入って録画が開始され、滅多に体験できないような大迫力のアングルからNG-12の打ち上げを撮影することができました。その出来は、「非常に高価なカメラ機材でなければ決して撮り得なかった驚きの映像」だったとジョンは振り返ります。