バイエルン州デジタル担当大臣のジュディス・ゲルラッハ氏(中央)は、新社屋に記念訪問。左からMarkus Zeiler氏、Walter Trauninger氏、Caroline Stahl氏、Christoph Stahl氏、Stephan Schenk氏、Michael Neuhaeuser氏(いずれもARRI)

1917年の創業以来、ミュンヘン市街地にあったARRI本社が、本社機能とカメラシステム部門全体をミュンヘンのパークシュワビングに移転し、新本社“ARRIAL”のオープンを発表した。それに合わせバイエルン州のデジタル担当大臣であるユディット・ゲラッハ女史が、新社屋の柿落としに訪問した。

ARRIALは、600以上のワークスペースを備えた新生産拠点であり、本社となるオフィスビルだ。ヘルベルト・バイエル通り10番地に位置するこのビルは、他の多くのグローバル企業に隣接しており、ARRIALという名称は社内コンペで生まれた。アメリカの映画スタジオにインスパイアされたこの新社屋は、広々とした2つのブロックで構成されている。

約10,600平方メートルの敷地に、合計7,700平方メートルの広さの建設がされた。これにより、17,500平方メートルのオフィス用純床面積と、15,000平方メートルの倉庫スペース、駐車場が追加された。屋上に設置されたソーラーパネルにより、ARRI社内は自家発電を行うエコシステムを採用している。その他職場設備や最新の設備だけではなく、技術的な構造としても最先端の技術を取り入れている。

ARRIALは、当社の歴史上初めて、カメラシステム部門のすべての専門分野(開発、生産からマーケティング、サービスに至るまで)と中枢機能を統合、集約し、可能な限り最短距離で結ぶことができました。

と、マネージングディレクターのステファン・シェンクは強調した。ARRIの旧本社よりも、ARRIALは出会いの場となるように設計されている。建物の構造は、チーム間の協力とオープンな交流を促進すると言う。ちなみに多くの部屋や会議室には、ARRIのカメラで撮影された長編映画のタイトルが名付けられていると言う。「Das Boot」「Skyfall」「Easy Rider」など、ARRIが特別な役割を果たした映画にちなんでいる。

撮影監督のロジャー・ディーキンズを筆頭にARRIに大きな信頼を寄せる業界人は多い。image via ARRI

ロジャー・ディーキンズ撮影監督を筆頭に、オスカーを受賞した撮影監督たちは、ARRIの技術に信頼を寄せている。ALEXA Mini LFなどのカメラは、ARRIALで生産されている。

ARRIの歴史は、バイエルン州のサクセスストーリーであり、ハイテク技術は世界の映画産業にとって不可欠なものとなりました。ミュンヘンに新本社を構えたARRIは、未来への道を切り開いています。新天地での幸運と成功をお祈りしています。

とバイエルン州デジタル担当大臣のジュディス・ゲルラッハ女史はコメントした。

またARRIミュージアムも近日オープンする。ARRIが映画芸術科学アカデミーから19の科学技術賞受賞作品も一部展示されている。隣接するARRIスタジオでは、ARRIの最先端のカメラと照明技術を備えたバーチャル・オールハンズ・ミーティングや、ライブ・ウェビナーなども対応可能になっている。

これまでのミュンヘンの街中にあったトゥアーケン通り創業地は、現在もARRIが所有している。ポストプロダクションを担当するARRIメディア部門と、改装後に新オープンした3つの映画館を備えたARRIの「ASTOR Film Lounge」は営業を続け、他ミュンヘン市博物館、映画制作会社など、商業テナントが入居予定だ。

ARRIALは2019年末にはすでに営業を開始していたが、当初2020年5月に予定されていたグランドオープンはコロナパンデミックの影響で中止せざるを得なかった。

設立100周年記念時にPRONEWS編集部は、ARRI旧本社を訪問し、ARRIの伝統的な企業風土を感じつつも先進な的な社風に共感したものだった(PRN Magに掲載)。コロナ禍が終息した暁には再度ARRI本社、ARRIALを訪問する予定だ。