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[Camera Preview 2020]Vol.01 スキントーンが破綻しにくいDGOセンサー搭載シネマカメラ「C300 Mark III」登場。カメラマン手嶋氏に聞く

2020-06-18 掲載

txt 構成:編集部 撮影:小山田有作

「フィッシュマンズ」のヒューマンドキュメンタリー制作をC300 Mark IIで撮影

今年の春に発表されたシネマカメラの中でも、Super 35mm Dual Gain Output(DGO)センサーを搭載したC300 Mark IIIが話題だ。これまでのデジタルシネマカメラは、一部機種では暗部にノイズリダクションを適用すると、ディテールを失ったり不自然なスキントーンに悩まされることがあった。しかしキヤノンは、C300 Mark IIIは、DGOセンサー搭載によって、ディテール問題の多くを改善できると言う。今回、C300 Mark IIIのテストを行っている手嶋悠貴氏に話を伺った。

手嶋悠貴
1982年福岡県福岡市に生まれ。多摩美術大学在学中より、MVを中心として様々な映像 演出の仕事を始める。卒業後はいくつかの会社で働いた後、フィジーとオーストラリアに 約2年間移住。帰国後は東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻に進学し、撮影照明領域 にて栗田豊通氏に師事する。卒業後は、カメラマンとディレクター、2つの領域で活動を行っている。
――これまでに関わったプロジェクトを教えてください。

普段は、カメラマンとして広告、映画、テレビも含め様々な活動をしています。この世界に入るきっかけが、MVのディレクターだった事もあり、ディレクターとして、様々なお仕事も並行して活動しています。

現在進行中のプロジェクトは、90年代に活躍したバンド「フィシュマンズ」のドキュメンタリー映画に監督として参加しています。この映画は、制作費をクラウドファンディングでカバーしました。その理由はプロデューサーの坂井利帆さんと企画を進める中で、ファンの人と一緒にフィシュマンズサウンドの素晴らしさを沢山の人に伝えたいと強く思った結果でした。

クランクインが2019年2月1日で、クランクアップした2020年2月18日までの約1年間、計40日以上に渡って撮影を行いました。カメラはキヤノンの協力により、EOS C300 Mark IIで撮影しています。これは、僕とカメラマンの山本大輔さんの希望でした。ドキュメンタリー作品であるとはいえ、画質、スキントーンのクオリティー、レンズ、収録フォーマットの選択含め柔軟に対応できるカメラが当時はEOS C300 Mark IIだったからです。

現在は、完成に向け編集作業中ですが、ティザーや映画の番宣などでは、EOS C300 Mark IIIを使って撮影する予定で考えています。

――C300 Mark III は4K スーパー35mm CMOSセンサーですが、手嶋監督がスーパー35mmのカメラを選ぶ理由を教えてください。

スーパー35mmのセンサーを選択する理由を挙げるとするならば(ALEXA LF、RED MONSTROなどと比較して)、まず、シネレンズのチョイスが豊富にあることです。最近、フルサイズのデジタルシネマカメラとシネレンズも増えてきましたが…。

あとは、フォーカスワークが難しいドキュメンタリーやワンマンオペレートで撮影する際の機動力を求められる現場であったり、少人数で映画やCMを撮影しなければならない環境が存在するためです。

撮影助手の仕事でもありますが、フォーカスワークがフルサイズですとやはりシビアですので、予算、環境、準備時間にもよりますが、僕の場合はその際の感覚でどちらにするか選択すると思います。

なおかつコンセプトや表現上にフルサイズの質感を求めなくて良い時などは、スーパー35mmを選択する場合もあると思います。もし予算が潤沢で、表現も自由、人手も多く「好きなカメラ、好きなレンズを使って良いよ!」と言われたら、フルサイズのカメラとレンズを選んでしまうかもしれませんね。

ただ、一番重要なのは画の綺麗さではなく、その作品、その企画を表現する上で何が一番ベストなのか、その判断だと思います。画の綺麗さだけが、作品の良し悪しに関係するわけでもありません。フォーカスが理由で思い切ったショットを撮影出来ない、OKショットを撮れない、画の力が強すぎて物語や内容に目がいかない…ですと、本末転倒になります。

以上の理由から、現在僕が進めているフィッシュマンズのドキュメンタリー映画では、フルサイズの選択はあり得ないです。つまり、環境、状況に合わせて撮影者がスーパー35mmを選択するということではないでしょうか。

デジタルシネマカメラEOS C300 Mark III。2020年6月18日に発売 C300 Mark IIIのイメージセンサーはスーパー35mm
――手嶋監督が感じているCINEMA EOSシリーズの良さとはなんですか?

一番の良さは、CINEMA EOSの出すトーンが僕の色への感覚に凄くマッチングしているからですね(スキントーンが特に良いですよね)。

それにCanon Logは個人的に非常に扱いやすく、キヤノンが提供している純正LUTも好きです。でもやはりCINEMA EOS、特にC300 Mark III、C500 Mark IIは、機動力含め様々なジャンルの撮影に対応でき、なおかつ想像している画がしっかりと撮影できる点が僕にとって、このカメラシリーズが好きな理由です。

――今回新しく登場したC300 Mark IIIでもっとも気になった機能はどこでしょうか?

やはりHS(ハイスピード)ですよね!

今まで、キヤノンが苦手だったジャンルでもあったのですが、今回は想像を超えたいい出来でHS機能を入れてきましたね。

さらに、価格も抑えられ、これには本当に衝撃でした。「なんで今までやらなかったんだ!」という良い意味での怒りもありましたけど(笑)。

最近では、他社含めこのクラスのラインナップではHS機能の搭載は標準化しつつありますよ。その中で4K120Pは正直驚きました。それもキヤノンが実現するとは。これはかなりのストロングポイントだと思います。

また、ノーマル撮影からHS撮影への切り替えがスムーズに行える点も大きいです。これは非常に便利です。C300 Mark IIもC700もこの切り替えが面倒でした…。撮影状況によっては即座にノーマルとHSの切り替えを行わなければならないことがあるので、この機能は本当に嬉しいです。

C500 Mark IIとC300 Mark IIIにはS&F(スロー&ファストモーション記録)ボタンとS&F FPS(スロー&ファストモーション記録フレームレート)ボタンを装備
――DGOセンサーはノイズの大幅な改善を特徴としていますが、ディテールやスキントーンで改善を感じることはありますか?

簡単なテスト撮影しかできていないのですが、まず触った印象としては、暗部の表現能力、S/Nがすごく良くなったと感じました。

ちょっと細かな話となりますが、暗部のスキントーンは(特に日本人のような黄色人種だと)、グレーディングで色を調整することは難しいのです。これも感覚的な話なのですが、グレーディングする方には理解してもらえるかなと思います。

例えば、ちょっときつめのフィルムLUTを使用したり、LUTを重ねて使用した際など、あご下のアンダー部分が崩壊する場合もあります(全体的なアンダー部分に言えることなんですけど)。

しかし、DGOセンサーは凄いと直感で感じました。今回、C300 Mark IIIの撮影データをDaVinci Resolveで少し触った時に「あれっ!?なんで崩壊しないの?」「やばい、これ凄いよ!」って一緒にテストしたカメラマンと騒いだりしました(笑)。

簡単なテストでも分かりましたが、本当は照明を使用した撮影、つまり光がコントロールできる環境下でテストをしたかったですね。

今度はそういう環境でDGOセンサーの力をもっと見てみたいと思っています。今回以上に良い結果が生まれるでしょう。

C300 Mark IIIの撮影例その1

■Canon Log 3の状態
■Canon Log 3にLUTのみの状態
■Canon Log 3にLUT使用からのカラコレ済み
Cinema RAW Light/Canon Log 3/使用LUTは、キヤノン純正の65grid-3dlut→CinemaGamut_CanonLog3-to-BT709_WideDR_65_FN_VER.1.1

C300 Mark IIIの撮影例その2

■Canon Log 3の状態
■Canon Log 3にLUTのみの状態
■Canon Log 3にLUT使用からのカラコレ済み
Cinema RAW Light/Canon Log 3/使用LUTは、キヤノン純正の65grid-3dlut→CinemaGamut_CanonLog3-to-BT709_WideDR_65_FN_VER.1.1

――DGOセンサーはノイズ抑制の恩恵は大きいですか?

大きいですね!

僕の場合は、各メーカーが推奨している感度(ISO)をあまり信用していなかったというか…。もちろん、ダイナミックレンジを最大限に生かすための推奨感度(ISO)だとは理解していますが、露出計で測ったノーマルF値と波形が一致していない。見た目でも1STOPアンダーに見えてしまう。そうなると、グレーディングで明るさを持ち上げた際に、ノイズが走ることが多く、基本的にカメラテストで自分なりの標準感度を設定していました。

細かな話となりますが、狙いでノイズを撮影時に入れる必要がない場合は、現場では基本ノーマルF値よりも明るく(半段~1STOP)撮影して、グレーディングで絞っていました(もちろんDITの方が入ってくれる現場では違うのですが)。

そうなると、照明部とのやりとり、監督とのやり取りが大変です(笑)。確認している画と狙っている画が違うよ!的なことになります。まぁ、明るいということなんでしょうけど。でも、今回のC300 Mark IIIの場合は、これだけ耐久性があるんだったらあえて明るく(半段~1STOP)撮影し、後で絞めなくてもいいよねと、直感で思いました。

――C300 Mark IIIには他社のカメラによくあるデュアルネイティブISOは搭載されていません。C300 Mark IIIのベース感度は800以上から可変になる仕組みです。このあたりの使い勝手はいかがでしょうか?

僕はデュアルネイティブISOを使う現場に立ち会ったり、撮影の経験もありませんので的確な事は説明はできないのですが、もし、暗い環境下、夜のナイトクラブやバーなどをノーライトで撮影しなければいけないなどの状況によっては必要だと思います。ISO4000など高い方のベース感度で撮れば、明るくかつ低ノイズで撮れるからです。でも、ずっとISO4000で撮ると明るくなりすぎてしまいます。

基本的に、人間の見た目は(夜の街などナイトシーンにおける)ISO800のF2.8ぐらいではないかと思います。なので、ある程度照明を組める現場であれば、ISO800~1600ぐらいで十分ではないでしょうか?僕の場合に限りますが、ベース感度が800以上で可変してユーザーが使いたいISO感度を自由に設定可能で、ダイナミックレンジを確保しながらその都度最善のノイズレベルになるキヤノンの感度(ISO)へのアプローチは正しいのではないかと思います。これも撮影者によって意見は分かれるポイントだと思います。

――最後に、手嶋監督の考えるC300 Mark IIIを選ぶ理由を教えてください。

C300 Mark IIIは、4K120PのCinema RAW Lightを外部レコーダーを使用せずにRAWデータを本体内部に記録できます。もちろん、撮影フォーマットも多彩ですので、状況に応じて選択すれば良いですし、オートフォーカス機能も凄いです。

今まで他社に遅れをとってきたHSも、C300 Mark IIIは充実しています。さらに、もっとも大きな理由は、当たり前の話ですが、純正にEFマウントのレンズが使用できることです。シネマレンズの選択においてもPLマウント、EFマウントのレンズが主流ですよね?実際EFレンズを持っている方も多いですしね。

C300 Mark IIIはスーパー35mmを採用したことで、ユーザーが欲しい機能が搭載された優れたカメラです。それもDGOセンサーという新たな形で登場しました。

映画、ドキュメンタリー、MV、広告、全てのジャンルに対応でき、コストパフォーマンスにおいても最高の仕上がりになっています。そういった意味でも喜んでくれる人たちが沢山いるのではないかと思っています。もちろん、僕もその1人です。

txt 構成:編集部 撮影:小山田有作
Vol.00 [Camera Preview 2020] Vol.02

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[ DATE : 2020-06-18 ]
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