4K8Kソリューションを紹介

アスクは、AJA Video Systemsの製品を展示した「AJA」ブース、共有ストレージ、アセットマネジメント/アーカイブなどを展示する「アスク」ブース、共有ストレージのSPACEシリーズを展示する「GB Labs」ブース、VantageなどのTelestreamブランドを展示する「Telestream」ブースの4箇所で展示を行っていた。各ブースの注目の製品をピックアップして紹介しよう。

4K映像から指定範囲をHD映像として切り出す「Truzoom」と「Corvid Ultra」

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TruZoomを使ったリアルタイム4K切り出しワークフローシステムの全体図。TrueScaleとAJA Corvid Ultraを組み合わせて使う

目玉は、4K映像から指定範囲をHD映像として切り出すという「Truzoom」と「Corvid Ultra」を使ったソリューションだ。AJA独自のアプリケーション「TruZoom」と、外部ジョイスティックコントローラ、4K60p対応のハードウェアインタフェースの「Corvid Ultra」で構成されている。ブースでは4Kで撮影された野球中継のベース上のクロスプレー部分をキャプチャして、4K映像の中からズームをするアニメーションをつけて出力するというデモが行われていた。赤枠で切り出す範囲は自由に設定可能で、どんなアスペクトからでも任意のフォーマットに出力できる。つまり、最低サイズのアスペクトを保っていればハイクオリティのHDを自由に切り出せるというものだ。

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「Corvid Ultra」は2Kから4Kなどのあらゆる解像度と高フレームレートワークフローをサポートし、スケーリング機能を備えているのが特徴だ

もちろんHDの実サイズより小さく設定したり、2箇所まで場所を決めたりするといった使い方も可能だ。最小範囲のアスペクトはリミッターとして1080p、720p、SDに設定をすることもできる。範囲はマウスで指定するほか、コントローラーを使ってリアルタイムに設定することも可能だ。切り出す範囲をあらかじめプリセットしていて、ポンと押せば移動するというようなこともできる。スケーリングは、AJA独自の高品質なスケーリング機能が搭載されているので綺麗だ。

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4K映像の中に切り出す範囲を赤枠で指定することで、そこの部分の映像をHDで出力することができる

では、このソリューションがどういったシーンに使えるのかというと、広いパンでシーンを撮っておいて、後でアングルをつけていくという方法があるとのことだ。例えば国会や政治のカンファレンス、コンサートなどのシーンを広角で撮って、後からしゃべっている人や歌っている人だけにフォーカスするという使い方だ。また、演奏者と聴衆を2つのHDとして切り出すといった使い方もできるのではないかとのことだ。

4K/Quad HD/2K/HD対応ソリッドステートレコーダー「Ki Pro Quad」

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PMW-F3とKi Pro Quadを組み合わせてアピールしていた

特に仕様が変更されたわけではないが、ブースには多数のカメラとKi Pro Quadを組み合わせて力を入れた展示が行われていた。Ki Pro Quadというと「4Kのレコーダー」というイメージが強いが、4KだけでなくHDから4Kまで対応できて、既存のKi Proができることは基本的にKi Pro Quadでまかなえる、ということアピールし積極的に展示していた。

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こちらはSCARLETとKi Pro Quadを組み合わせた展示だ

ポイントとして、Ki Pro、Ki Pro Mini、Ki Pro RackはProRes 422類までしか対応しないが、Ki Pro QuadはProRes 4444まで対応できる。メリットとして、カメラのSDIの出力は4:2:2がほとんどだが、ソニーのデジタルシネマカムコーダー「PMW-F3」はRGB&S-Log出力オプションを使うことで4:4:4 1080pの出力に対応できる。このF3のような4:4:4に対応するカメラはKi Pro QuadのProRes 4444で収録すれば今まで以上に綺麗なHDや2Kの収録ができるようになる。Ki Pro Quadは4Kだけではなく、そういった使い方があるということをアピールしていた。

キャプチャ&再生デバイス「Io 4K」

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Io 4KはThunderbolt 2に対応し、4Kメディアのキャプチャや再生が可能になるというユニットだ

次世代Mac Proなどに搭載される、双方向ともに20Gb/sのスループットを持つThunderbolt 2対応のポータブルな4K/UltraHD/HD/SDのキャプチャ&再生デバイスが参考出品されていた。オールインワンポータブルボックスで4本の双方向3G-SDIや4K/UltraHDのHDMI I/Oを備え、SDIとHDMIの同時出力が可能だ。4Kとのやり取りはSDI 4本とHDMIからもできるとのことだ。ツールは、Final Cut Pro X、Adobe Creative Cloud、AJA Control Room、Telestream Wirecast 5などがシームレスに統合できることが発表されている。

DVIからSDIコンバーター「ROI」

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右のMacBook Proのモニタの中からブラウザの位置を範囲指定して「ROI」に出力。「ROI」はSDIでその範囲を出力できるという製品だ

パソコン画面の一部を指定して、指定した部分をSDIに出力するスキャンコンバーターだ。新製品ではないが、こちらもかなり便利な製品ということで積極的にアピールが行われていた。例えば、PC画面の中のYouTubeの動画部分だけを範囲選択してニュースの放送に使うといった場合に最適な製品だろう。ROIの優れたところは、AJA独自のスケーリングアルゴリズムに対応しているところだ。極端に領域指定を小さくした場合に通常ならば粗くなるような映像でも、ROIならば綺麗に出力できるのが特徴だ。

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「MiniConfig」ソフトウェアで出力範囲を設定する

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ROIとPCはDVIのほかにUSBともつなげる

タイムコードの作成、シンクロ、共有を簡単に行うことができる「Timecode Buddy」

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右がマルチチャネルデジタルトランシーバーとWi-Fiを備えた「WiFi Master」、左がマルチチャネルデジタルトランシーバーを備えた「Mini Trx」。ライブ会場とかロケ系で威力を発揮しそうだ

アスクが新しく取り扱いを開始する、ポータブルでカメラマウント可能なTimecode BuddyのTCデバイス「WiFi Master」と「Mini Trx」が展示されていた。InterBEEに初出品、初の実働展示となる製品だ。タイムコードは今まで有線で配っていたが、無線でできるようになるという製品だ。Wi-FiのモデルとRF信号のものがあり、親が一つあってそれに連動する形でみんな同じタイムコードにできるということだ。例えばアウトをレコーダー側に設置したり、カメラに設置したりすれば、マルチカメラで収録の場合も全部タイムコードを合わすことができる。気になることとして、もし電波が外れてしまった場合だが、外れてもそのまま動き続けるのでずれる心配はないとのことだ。

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ブースではタイムコードを同期させたデモも行われていた。それぞれの時間に注目をしてほしい。写真を撮った瞬間の4つの時間は「15:01:37.10」「15:01:37.09」「15:01:37.07」「15:01:37.06」というふうになっていた

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Mini Trxの設置例。カメラのシューマウントに設置が可能だ

ストレージから拡張シャーシーまであるThunderboltコーナー

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Thunderbolt対応製品が一堂に集められていた

Thunderbolt対応の製品を一挙に集めた「Tunderbolt Labs」コーナーというのも設けられていた。Thunderbolt対応外部接続ストレージとして有名な「G-Technology」から、Thunderbolt対応の外付けPCI-Express拡張ボックス「MAGMA ExpressBox 3T」も展示されていた。MAGMAの拡張ボックスはAJAのKONAなども使えるという。そのほかの他社の製品ではPCI-Expressスロットを3つ装備できるほかに、ポータブルタイプの4Bay2.5インチハードディスク搭載可能なThunderboltエンクロージャー「MAXSERVE NA-211TB-LD」も注目の存在だった。次世代のMac Proでは拡張用のPCI Expressスロットが廃止されて拡張性は失われるが、このような製品を使えば拡張性を補えるのではないかとのことで、今後ますます注目を浴びていきそうだ。

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PCI-Expressスロットを3基のほかに4Bay2.5インチハードディスク搭載可能なThunderboltエンクロージャー「NA-211TB-LD」

2K/SDI出力対応の小型カメラ「Flare 2kSDI」

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レンズマウントはCマウントを採用しているところが面白い「Flare 2kSDI」

IO INDUSTRIESというメーカーのカメラ「Flare 2kSDI」が参考出品として展示されていた。アスクでは取り扱いをするか未定の商品。本体には映像を収録する機能はない。出力は3G/HD-SDIの2K、1080p、1080i、720pに対応で4:2:2やRAWに対応する。メーカーのIO INDUSTRIESによると映像業界のプロビデオを意識しているとのこと。

ハイコストパフォーマンスなNASストレージ「Synology」

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コストパフォーマンスの高いSynologyのNASストレージ

非常に小型のものからラックマウントサイズまで、ラインナップをそろえているNASストレージのブランド。超高速を特徴にしているという製品ではなく、ウェブベースの「Disk Station Manager」と呼ばれる直感的な操作性などを特徴としている。4Kを走らすとかこのNASに映像を貯めて「編集スタート!」という使い方ではなくて、メディアを貯めてMAMとの連携のニアラインストレージとして最適なNASストレージということで提案が行われていた。

10Gbイーサネットを搭載した「Pro-Cache610」

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左は新製品の「Pro-Cache610」と右はエクスパンションユニットの「Sidecar」

9月に発表された10Gbイーサネットを搭載したCache-Aの「Pro-Cache610」が展示されていた。10Gbイーサネット搭載によってネットワークアーカイブのコントロールにおけるスピードとパワーが大幅に向上したのが特徴だ。ただCache-AはNASライクで、フォルダ階層などが表示されるものの、映像の場合はどういったものなのか見ないとわからない。そこでCatDVと連携させることによりLTOへのアーカイブ/リストア制御がしやすくなるなどの連携もアピールしていた。

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ずらりと展示されていたCache-Aのラインナップと、CatDVからCache-Aをコントロールできることも実演していた

LTOにバックアップがとれる「4K Duo Space」

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内蔵SSDとデータのバックアップを行うDual 2.5TB LTO-6を搭載した「4K Duo Space」

GB LabsブースではUltra HDワークフローソリューションが展示されていた。注目は新製品「4K Duo」。SSDが8機に2.5TB LTO-6が2機という仕様となっている。特徴は2機のLTO-6だ。USBやeSATAが搭載されていてそれらに接続することによってXDCAMやP2といったファイルベースのメディアから取り込むことができて、さらにLTOにバックアップをとることが可能だ。特にLTOを2台同時にバックアップをとることができるので、パフォーマンスも特徴だが現場で安全にデータを持ち帰れるというところが大きな魅力の製品だろう。

8Kも見据えた次世代の「Space SSD」と「Space CLUSTER」

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4Kの非圧縮の編集、または8Kまでシステムの拡張を視野に入れたSpace SSDとSpace CLUSTERも展示されていた

次世代のSpace SSDも展示されていた。7000MB/sのモンスター級のパフォーマンスが特徴だ。それを、Space CLUSTERというネットワークの複数のストレージをクラスタリングで簡単にどんどん増殖してくような設計ができるというのも特徴だ。さらに、今後4Kや8Kの作業をする場合に帯域が必要といった場合のための40GbE Adapterも展示されていた。40Gbが2本で合わせて8000MB/s出力ができるというものだ。こういった次世代のネットワークカードに対応することでさらに4Kの非圧縮の編集、または8Kまでシステムを拡張していけるというところもSpace SSDの特徴とのことだ。

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40GbE Adapterも展示されていた。こういった次世代のネットワークを使った帯域にも対応することで、4Kの非圧縮の編集、将来的には8Kまでのシステムに拡張できることもアピールしていた