InterBEEにFlame Premium 2014が登場

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オートデスク側のブースはシアターが中心で、製品紹介セッションや事例紹介セッションを行っていた

今年のオートデスクブースは例年と異なり、認定販売パートナーのエヌジーシーと共同ブースという形で出展が行われていた。オートデスクはシアターのみの製品紹介セッションや事例紹介セッションが行われ、エヌジーシー側ではFlame Premium 2014や、Mac版のSmoke 2013などの実機デモを行われていた。

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こちらがエヌジーシー側のブース。Flame Premium 2014やSmoke 2013などの実機が展示されていて実際に体験できるようになっていた

今年のオートデスクブースで来場者たちの視線を引きつけたのは9月のIBCで発表されたFlame Premium 2014のデモだ。ハイエンドのコンポジティングやフィニッシングシステムには、クォンテルのシステムやNukeといった製品があるが、ハイエンドシステムを使うクリエイターの間でお馴染みのフィニッシングシステムといえばFlameが圧倒的だろう。そんなFlameもInterBEEでデモが行われるのは4~5年ぶりになるのではないだろうか。ひさびさにInterBEEでFlameのデモやセッションを観ると、さすがオートデスクの最上位のクリエイティブフィニッシングツール、他のツールとは役者が違うといった印象を受ける。

NYファッションウィークで使用するインスタレーション用の映像制作をデモとして紹介していたが、RED EPICの5Kで撮影した素材を縦に4枚並べて20Kの映像を制作するという内容だった。縦長の20Kの映像制作ができるツールなどはほかにはないのではないだろうか。このほか、ポストプロダクションの「デジタルガーデン」がCM制作におけるシーンリニアワークフローの紹介があり、その他映画制作でのVFXのデモや事例が見られるようになっていた。

新しく発表されたFlame Premium 2014の詳細については、メディア&エンターテインメント担当の一ノ瀬真一郎氏にいろいろ聞いてみた。Flame Premiumの構成については従来通り、ビジュアルエフェクトの「Flame」、エディトリアルフィニッシングの「Smoke Advanced」、カラーグレーディングの「Lustre」が三位一体となったスイートソフトウェアというのは従来バージョンから変わらない。新機能についてだが、トラッキングの精度が向上し、Flameはもともともワーピングは強力だったが3Dワーピングとしてさらに強化された。LustreにはLustre ShotReactorという機能を新しく搭載してカラーグレーディングの高速化を実現した。また、Flame、Smokeの融合がさらに進んでいて、FlameとSmokeの行き来が違和感なくなり一緒に使えるような感覚で使用できるようになったという。

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エヌジーシー側のブースに展示されていたFlame Premium 2014。新機能を確認することが可能に

システムについては、オートデスクがセットアップしたハードウェア込みで販売を行うLinuxベースのターンキーシステムで、価格は基本のセットの場合で2,500万円前後からになるという。これはサブスクリプション価格を入れた初年度の最小構成の価格で、ユーザーの環境によって「必要な機能を追加したい」とか「レンダリングのモジュールがさらに必要」などを増やす場合は、さらに価格が上がることになる。恐らく映像業界に長くいる人ならば、「安くなった!」と思う人も多いのではないだろうか?InfernoでOnyxの時代から考えると1/4か1/5ぐらいの価格になっている。映像業界はどんどん変わっているといった感じだ。

映像編集フィニッシングソフトウェア「Smoke 2013」もアピール

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エヌジーシーのブースにはSmoke 2013が展示されていて、来場者の興味をひいていた

ブースではMac版の映像編集フィニッシングソフトウェア「Smoke 2013」のExtension 1のデモやセッションも行われていた。Smoke 2013が発売されてからまもなく1年になるが、どういった現場で、ユーザーはどのような使い方をしているのか、一ノ瀬氏に聞いてみた。

一ノ瀬氏:Smoke 2013の発売から1年経ちまして、徐々にユーザーさんやサポートしていただくパートナーさんも増えてきています。現場での使用方法ですが、ポスプロさんの場合はサブの編集室にMacがあったりますが、そこの中にSmokeとFinal Cut Proを導入するような形で導入されています。また、中小規模のポスプロや小規模のユニットで映像制作をされていて、納期が短いとか予算が少ない。けれども高品質な映像制作をしたい、という現場にSmokeが導入されていますね。Flameのアーティストの中にはSmoke 2013を使っている方もいらっしゃいます。ある方はクオリティや予算、時間が合わない場合はSmoke 2013で対応というふうに使い分けている方もいらっしゃいます。

Smoke 2013での編集機能はどうなのだろうか。また、今現場でSmokeユーザーがどのようなワークフローのところで使っているのかなどを聞いてみた。

一ノ瀬氏:みなさんよく勘違いされているのですが、Smokeの編集機能も結構よくできています。確かに、オフライン編集でバリバリ使うかというとそうではありません。Final CutやPremiere Pro、AvidなどでオフラインをしたものをSmokeでフィニッシングというパターンがやっぱり多いです。ただ、Smokeは編集もできるVFXソフトです。Final Cutからもってきた長いタイムラインであっても編集に耐えうる十分優秀な編集機能を持っています。

今後映像業界は4Kの映像制作が次第に増えていくだろう。最後に、Flame Premium 2014とSmoke 2013のアピールポイントや展望を語っていただいた。

一ノ瀬氏:もちろん大昔からInferno、Flame、Smokeは解像度に依存していません。ですので、どんな解像度でも読み込めます。そういった重い素材はハードウェアに依存するところがあるのですが、できるだけ苦にしないというところもFlameやSmokeの特徴です。ですので、4Kや5Kの素材をもらって最終的にHDで出すという流れは問題ありません。今後、4Kもしくはそれ以上の解像度で撮影した素材を4Kで完パケするようなコンテンツをバリバリ作っていくような時代が、もう間もなくやってきます。4Kのリアルタイムプレイバックも必要になってくるかと思いますが、この部分に関しては多数要望が寄せられていますので、対応を検討中です。