ソニー株式会社とパナソニック株式会社は6月25日、テレビおよび大型ディスプレイ向けの次世代有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルとパネルモジュール(複合部品)などを共同で開発する契約を結んだことを発表した。両社は2013年内に量産技術を確立するとしている。

ソニーでは、2007年に厚みが最小で3mmという世界初の11型有機ELテレビを発売。その後、11年には25型の業務用モニターを商品化し、放送や医療分野に展開してきた。パナソニックは、大型化や低コスト化に優位な印刷方式の有機EL技術を有する。ソニーは蒸着と印刷技術を組み合わせた新方式の研究開発を進めており、パナソニックと組むことで開発効率を高める。

今回の提携は、両社が得意とする技術を活用することで開発期間を短縮し、低コストで開発することが目的。また量産についても今後協業できる仕組みを検討していくとしており、ソニーと提携関係にある台湾の液晶パネル大手である友達光電に、次世代有機ELパネルの生産を委託する可能性も出てきている。

米国では20インチ以下のサイズの有機ELディスプレイしか入手できない。そこにサムスン電子やLG電子の韓国メーカーは、年内に55型の有機ELテレビを米国市場へ送り込む予定でいる。また、米Appleも独自TVセット開発において、この有機EL技術に着目しているといわれている。米市場調査会社NPDグループのDisplaySearch社によると、世界規模でのテレビ出荷数は、今年の第1四半期において昨年同時期に比べて8%減っている。これはLCDディスプレイの出荷数の統計としても初めて下り坂を示している。

各テレビメーカーは、次世代有機ELテレビがプラズマディスプレイに次ぐフラットパネルディスプレイの主役として有力視し、先進開発に注力を注いでいる。

(山下香欧)