ミラーレス一眼カメラ「OM-D E-M10 MarkII」

オリンパス株式会社は、同社グループの1つのプロジェクトと7製品が、公益財団法人日本デザイン振興会主催の「2015年度グッドデザイン賞」を受賞したことを発表した。また、オープンイノベーション活動「OPC Hack&Make Project」は、グッドデザイン賞の審査委員会から特に高い評価を得た100件に贈られる「グッドデザイン・ベスト100」に選出された。受賞製品と審査員による評価コメントは以下の通り。

(以下、プレスリリースより引用)

(1)オープンイノベーション活動「OPC Hack&Make Project」
<評価コメント>製造業はものの品質だけで差別化することが難しい時代に突入し、ユーザーと価値を共創するオープンイノベーションが注目されている。オリンパスのOPC Hack&Make Projectはその流れを汲んだものだが、カメラ業界において機密性の高いソフトウエア領域まで情報をオープンにしているところが、この取り組みへの真剣さを表しているようにみえる。

今後、メーカーは自社だけで開発から販売まで完結することがますます難しくなるであろう。むしろ、いかにファンやユーザーを巻き込んで、自分たちだけでは生み出せない価値を創造していくかが重要になり、こういった取り組みの成否が業績に影響を与えるようになる。特に、カメラという製品ライフサイクルの短い市場において、オープンにすることで新しいユーザーとの関係が生まれ、持続性の高いビジネスモデルが生まれるのかどうか、今後の展開に期待したい。

(2)ミラーレス一眼カメラ「OLYMPUS OM-D」シリーズ
<評価コメント>アナログのカメラが持っていた触感や応答性の自然さなどの機械的な魅力の本当にいい部分やそこから生まれる楽しさを、マイクロフォーサーズというデジタルカメラ時代に生まれた規格で小型化されたデジタル一眼レフカメラ向けに翻訳し継承しようとしている。ノスタルジーに走っていて、スマートフォン世代に伝わらない印象もないわけではない。しかし、一方で彼らがステップアップしたくなった時、歴史で裏打ちされた操作の感触を選択肢の一つとして残すことも大事なのではないかと判断した。

(3)ミラーレス一眼カメラ「OLYMPUS OM-D E-M10 MarkII」
<評価コメント>フィルムカメラ時代の操作性や触感的価値を次の世代にも継承しようというOM-Dシリーズの精神を反映したエントリー機。前モデル、E-M10では、少しデジタルカメラ側の流行におもねり、廉価製品という印象を与えている部分もあったが、MarkIIでは見事にそうした要素を減らしたり、目立たなくしたり、フィルム時代から続く歴史を感じさせるスイッチに置き換えて、OM-Dというブランドが伝えようとしている伝統的上質さを崩さずうまく体現した。細部のつくりこみで微細な調整を重ねていることを感じさせるあたりも継承されたアナログ時代の良さだ。

(4)オープンプラットフォームカメラ「OLYMPUS AIR A01」
<評価コメント>一眼レフカメラの画質とスマートフォンのインテリジェンスを融合させるコンセプトを非常に丁寧に突き詰め形にしている。レンズ交換でスマートフォンカメラが苦手な画角の変更を可能にしつつ、スマートフォンのタッチパネルを生かすとてもよくつくられた操作アプリが見事に一体化している。

スマートフォンをホールドする機構の内蔵や製品のコンパクトさを引き立てながらも幅広い活用を実現している付属のパンケーキ型レンズなどもよくつくられている。また発売前からハッカソンを行うなどユーザーを巻き込んで製品を進化させていく姿勢も新時代の製品らしくていい。

(5)交換レンズ(マイクロフォーサーズ)「M.ZUIKO PRO」シリーズ
<評価コメント>カメラのOM-Dシリーズ同様、デジタルカメラ全盛時代に入ってから誕生したマイクロフォーサーズ規格に、歴史に裏打ちされた機械的なつくりこみの触感を引き継ごうとするオリンパス社の姿勢がよく表れているが、標準ズーム、望遠ズームに加えて欲しい広角ズームレンズを発表したことでシリーズを完成させた。

古い価値を保ちながらもマイクロフォーサーズという規格そのもののおかげで、フルサイズ一眼レフカメラと大きく差をつける小型化ができている。ここに防塵・防滴性能も加わり、新しいカメラ文化を切り開く期待を抱かせる。そんな急先鋒のシリーズでありながらも、ローレット加工など確かなつくりこみの伝統を引き継いでいる点も評価したい。

(6)手術用エネルギーデバイス「THUNDERBEAT Open Fine Jaw」
<評価コメント>外科手術において、組織を切り、剥離し、血管封止を同時に行なうことを世界ではじめて実現した。継続したシリーズ開発における評価、改良の積み重ねにより、ハンドルの握り具合、さまざまな手の大きさへの対応、最適な重心位置などを工夫し、ユーザーの負担軽減、使用感の向上に成功している。

(7)教育用生物顕微鏡「CX23」
<評価コメント>教育用生物顕微鏡は一箇所に保管され、実験の度に持ち運びされ、その後元の場所に戻される。この顕微鏡は持ち易いようにグリップが付いており、デザイン上利用者はどこを持つべきか容易に判断できる。持ち手の間にある小さなポケットはぶら下がりがちな電源ケーブルを片付けるのに良い。

(8)工業用内視鏡「シリーズC」
<評価コメント>部品や機器の検査を行う製造市場、発電所や工場等で保守点検を行う整備市場用の工業用内視鏡である。手元のスティックでケーブル先端の内視鏡の向きを変えることができる。

新規性はないが、ユーザーの握り方に対して冗長性をもたせたグリップ形状や、据え置き型としても立てて使えるなどの工夫がなされている点が評価できる。GUIとタッチパネルについては、ボタンなどが小さくやや表示しづらい印象があり、タッチパネルの特性、現場でのユーザーの操作状況などを反映したさらなる改善を期待したい。