ソニーは、6月14日および15日の2日間、東京・品川のソニー本社にて「2018映像制作機器 新製品内見会」を開催した。今年4月にラスベガスで開催されたNAB2018に出展した機材やシステムを中心に紹介し、国内での新たな取り組みについても展示が行われた。

会場にはたくさんの来場者が訪れた

カメラスタジオエリア

カメラスタジオエリアではVENICEやUHCU-8300など、様々なカメラのタッチ&トライが行われていた

CineAltaカメラ「VENICE」は、36×24mmフルフレーム6K CMOSイメージセンサーを搭載。フルフレーム、Super35mm、4:3アナモフィックなど様々な読出しモードに対応。先日行われたCine Gear EXPO 2018では拡張シネマカメラシステムが公開され、ソニー・Eマウントの光学レンズモジュールを取り外し、約6メートルの太いケーブルでVENICE本体と接続可能になるとしている

8K 3板式カメラシステム「UHCU-8300」は、8K/4K/HD信号の同時出力に対応。新開発1.25型3板式8K CMOS1イメージセンサーを搭載(7680×4320)。その他にも8K映像から任意の4K映像を切り出して運用可能な4Kカットアウト機能を搭載している

カムコーダー/ファイルオペレーション

PXW-Z280は、4K60pに対応しており、1/2型4K 3CMOSイメージセンサーを3板式で搭載することにより、4K収録に対応しながら従来機種「PXW-X200」と同じF12の高感度を実現。35mm換算で、ワイド端30.3mm~テレ端515mmの光学17倍ズームレンズを搭載

PXW-Z190は、4K60pおよびHDR収録に対応した新開発のCMOSイメージセンサーExmor R搭載のXDCAMメモリーカムコーダー。イメージセンサーを3板式で搭載することで、光の三原色(R、G、B)それぞれに1センサーを対応させる色分離に優れた4K映像の収録が可能

PXW-Z280/Z190の顔検出AFコーナーも設けられており、顔にしっかりとフォーカスを合わせる顔検出AFが進化したことをアピール

XDCAMメモリーカムコーダーFS5 IIは、PXW-FS5をベースに画作りを再設計し、RAW映像の出力、ハイフレームレート撮影に対応した新モデル。4K Exmorスーパー35mmCMOSイメージセンサー(総画素数約1160万画素、有効画素数約880万画素)を搭載し、XAVC 4Kでの本体記録に対応。対応外部レコーダーへのRAW出力に対応しており、本体SDI端子と対応外部レコーダーを接続することで、4K 60fps(HLG方式によるHDR記録)、4K 120fps(最大4秒)、2K 240fps(連続)を出力し、レコーダーで記録可能

コンパクトライブスイッチャー「MCX500」を使った少ない機材とスタッフで効率の良いライブ収録を行うための提案。MCX500は、SDカードにAVCHD、XAVC SでフルHDを収録でき、最大3台のカムコーダーにタリー表示が可能。タッチパネルトランジションレバーや、ロゴ機能、PinP/ワイプパターン拡充、タイトル位置調整に対応している

会場ではNXCAMカムコーダー「HXR-NX5R」と組み合わせた展示を行っており、タリー表示を行っていた。左:PGM、右:PREVIEW(NEXT)

参考出展のPCレスコピーユニット。その名の通りPCを使用せずにロケ先などでデータをバックアップ可能。PCI Express Gen 3に対応しており1TBのコンテンツを約15分でコピーでき作業時間が短縮できる。1回の操作で最大6枚を正副同時コピー可能

AC駆動だけでなくVマウントバッテリーにも対応しており、現場や移動の車中などでもコピーが行える

HDRファイルオペレーションの提案。インスタントHDRワークフローとして、はじめからHLGで収録し、そのままHDR完パケにするというグレーディング不要のシンプルなHDR制作を紹介

放送・業務用モニター

モニター色温度自動調整ソフトェアMonitor Auto White Adjustmentの最新バージョンVer.1.5を展示。同バージョンでは、デバイスに合わせたモニターオフセット値の採用や、Windows 10 Pro 64bit、Windows 10 Enterprise 64bitに対応。対象モニターはBVM/PVM/LMD-Aシリーズ

HDR対応モニターBVM-X300/BVM-E171/PVM-X550の新バージョンを展示。BVM-X300(Vre.2.2)/PVM-X550(Vre.2.0)では、一括表示切替や、タイムコード表示、フレキシブルマーカー対応、色温度自動調整ソフトェアVer.1.5への対応、高輝度モードの搭載(X550のみ)などの新機能が追加となった。BVM-E171ではオプションHDRライセンス「BVML-HE171」導入により、ロケや中継車でも最適なHD HDRモニターになるとアピール

Crystal LEDディスプレイシステム

会場入り口にはCrystal LEDディスプレイシステムの展示も行われていた

ディスプレイユニット「ZRD-2」(左)と「ZRD-1」(右)。ZRD-2はZRD-1に比べて黒レベルを維持しながら反射を抑制している

ディスプレイユニットを18枚組み合わせた展示。パネルの継ぎ目が気にならず自然な表示だった

ライブソリューション

「SR Live for HDRワークフロー」コーナーでは、4K HDR・HD SDRの同時制作を実現するソリューションを展示。HDのVEオペレーションでHDR/SDRの同時制作が可能。S-Log3/BT.2020による4K HDR映像制作も行え、S-Log3の見た目を4K HDR On Air時も再現する「AIR Matching」機能を搭載

HDRプロダクションコンバーターユニット「HDRC-4000」は、1台で2系統の変換チャンネルを搭載しており、SR Live for HDRワークフロー実現のキープロダクトとして展示されていた。また、Ver.2.1により、従来の3G-SDIにくわえ、12G/6G-SDI入出力に対応。マスターセットアップユニットによるマルチコントロールオペレーションにも対応し、Display Referred変換機能も搭載している

IP Liveプロダクションシステムの展示では、リモートプロダクションでの新たな活用方法や、アライアンスパートナーによる周辺機器の拡充などを紹介

マルチフォーマットスイッチャー「XVS-9000」は、4Kで最大80入力/40出力、HDで160入力/80出力に対応。ネットワーク・メディア・インターフェース(NMI)やSMPTE ST 2110などのIPインターフェースに加えて、4K放送を1本の同軸ケーブルで伝送できる12G-SDIにも対応

Media Backbone報道ソリューション

クラウドベースENG総合管理サービス「XDCAM Air」。ワイヤレス取材ワークフローの管理や、デュアルリンクLTE、1080/60i 10Mbpsに対応したストリーミング、プロキシファイルの転送/プレビューなどが可能。また、将来アップデートにて報道支援と連携し、カムコーダーへ取材メタデータの自動転送が可能となる

新規ソリューション

InterBEE2017で参考出品されていた有線ドローン。近日、機材とオペレーターを1イベント単位で提供するフライトサービスを開始予定(エアロセンス株式会社と提携し、ソニーグループとしてサービスを提供)。有線ドローンは光ファイバーケーブルによる有線給電を行っており、連続6時間の撮影が可能。また、給電を行いながら映像を送り返しているので、リアルタイムに映像を確認でき、監視用途や災害時のモニタリング用途に適している

スマホ用インカムアプリ「Callsign」は、その名の通りインカム専用のハードは不要で、自分のスマホがインカムとして活用できるアプリ(有償:月額料金制)。スマホが通信できる範囲であればどこでも使用可能なため、アンテナやエリア範囲の制約がない。1端末で最大6チャンネル(グループ)で使用可能(1グループ内の人数制限はなし)。年内にはサービス提供開始予定

ウェアラブルカメラの本体(左)とカメラヘッド部(右)。暗所性能で被写体をよりクリアに撮影でき、ブレ補正機能搭載を搭載している。年内には発売予定。

ウェアラブルカメラのサンプル動画比較。左がソニーのウェアラブルカメラとなっており、右の映像と比べると暗所でも明るく、ブレが少ないのがわかる

AIを活用した自動化ソリューション。顔認識に基づき、4K映像をHDで自動切り出しが可能。左の4Kモニターで人物を検知した映像を、右のHDモニターで自動カットアウトした映像を展示していた。同ソリューションの活用例としては、AIにゴールシーンなどを認識させ、スポーツ中継でのゴールシーンのダイジェスト映像を自動で生成し、作業時間の短縮・効率化などが挙げられる

バーチャルアナウンサー。テキストを音声合成エンジンにより自然な発話へ変換。CGで作成されたキャラクターの表情と連動した動画生成が可能。現在、発話のエンジンを更にアップデートし、より人の発音に近い音が再現できる高音質モードの搭載を検討しているとのこと。また、オリジナルのキャラクターを制作できる受託型のモデルも検討中だ

クラウド型CMS・配信として、Ooyala社と一緒に事業を進めている「Ooyala Flex Media Platform」を展示。クラウド上でコンテンツ管理から配信まで可能なOoyalaのエンジンと、自動編集などのAIエンジンを組み合わせることで、今までクラウド上で管理されていたものを、自動でダイジェストに並び替え、配信まで一気通貫で行えないかというところを現在検討中とのこと