PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU

トップ > 特集 > [DSJ2019]Vol.02 オンラインとオフラインをCX(カスタマーエクスペリエンス)で溶かす

News

[DSJ2019]Vol.02 オンラインとオフラインをCX(カスタマーエクスペリエンス)で溶かす

2019-06-19 掲載

txt:江口靖二 構成:編集部

オンラインとオフラインが連携した未来

DSJ2019では、新たにリテール領域に特化したデジタルサイネージ周辺のテクノロジーや事例を集める新企画「Next Retailing」が開催された。これはキャッシュレス、ウォークスルー、無人店舗、ダイナミックプライシンク、満空情報といったテクノロジーをベースにした、リテール領域での展示とセミナーで紹介する特設イベントである。こうした事例のほとんどが、何らかの形で情報の可視化を行う際に、デジタルサイネージとしてディスプレイなどを利用しているからである。

その中で特にサイネージとの連携が今後重要になってくると思われる事例を紹介したセッションが「オンラインとオフラインの境界をCXで溶かす試み」である。

これはOMO、つまりオンライン マージ オフラインと呼ばれるような領域で言われている、「オンラインがオフライン=リアル入っていくこと」が、それだけではなく、逆に「オフラインがオンラインにマージ」したり、「オンラインがオフラインにマージしてさらにオンライン」に回帰するようなことがすでに起こり始めているという事例が数多く示された。

登壇したのは楽天技術研究所 未来店舗デザイン研究室 室長/筑波大学 芸術系教授)の益子宗氏と、株式会社プレイド Resercherの秋山剛氏だ。

楽天技術研究所 未来店舗デザイン研究室 室長/筑波大学 芸術系教授)の益子宗氏と、株式会社プレイド Resercherの秋山剛氏

楽天研究所の事例として、「hitoke」という事例が示された。これはオンライン上での人気(にんき、ひとけ)を可視化するというものだ。楽天が開催しているオフラインの物産展のようなイベント会場内において、会場内に設置したディスプレイにどの店が人気が高いかを可視化するという試みだ。

オンラインショップなどでは人の気配を感じにくいのでそれを可視化したり、逆に多数の店舗が出店するようなリアルイベントでは全体像が把握できないので会場内のディスプレイに人気の濃淡をヒートマップ的に可視化するという試みである。まさにオンラインとオフラインが相互に溶け合うような話だ。

楽天の「hitoke」

益子氏は楽天技術研究所でオンラインとオフラインの融合について様々な挑戦をしている。彼らの研究領域では、はじめに「オンラインでは当たり前でもオフラインではそうでもないこと」を抽出して、それをオフラインに持ち込むことで、さらなる利便性を実現できないかという思考がベースになるという。たとえば、オンラインでは商品を検索できるが、オフラインの店頭では通常はできない。ではこの検索を店頭で実現できると何かいいことがあるのか、いいことがあるのであればそれをいかにして実現するのがいいのか、といったアプローチだ。

オンラインで当たり前でもオフラインではそうではないものの例

秋山氏が所属しているプレイド社は、KARTEというオンライン用のマーケティングツールを提供している。その中の「K∀RT3 GARDEN(カルテガーデン)」は、オンラインショッピング中のユーザーの動きをVRで可視化できるものだ。

K∀RT3 GARDEN(カルテガーデン)

秋山氏は、「オンラインマーケティングの世界に入り込めば入り込むほど、データ化、定量化されていないが確実に重要な価値の重要性を感じるようになった」と言う。そこで複雑で多量なデータを直感的に理解するために、VRという表現方法を考えた。これによってオンラインショップのユーザーを「数字」ではなく「人」として認識するだけで、向き合い方が大きく変わるというわけだ。

オンラインマーケティングのデータ至上主義に足りないことがあるという指摘 VRを使った可視化がオンラインマーケティングにもたらすもの 可視化されたオンラインのお客様。黄色はリピーターだ

これは先程のビデオを見れば明らかだ。カルテガーデンのユーザーの一人であるJAM HOME MADEの担当者は、「人の形をしているだけで、オンラインのお客様に対する意識が変わった」と感じているという。

JAM HOME MADEの例。写真右の奥からオンラインのお客様が入店して来る様子をリアル店舗でプロジェクションして体感する

このVR映像をオンラインショップに逆輸入することによるリアリティさが大きく変わるのである。VR映像をリアル店舗の壁にプロジェクションすると、サイトにアクセスしてきたオンラインユーザーが人の形でエントランスから入店してくるのだ。これはオフライン店舗にいる店員と顧客からすると、なんとも不思議な共有体験をもたらす。エンターテインメント要素の可能性も感じられる。これはまさにオンラインとオフラインがCXで溶け合う瞬間だ。

セッションでは益子氏、秋山氏共に繰り返してながら、「オンラインとオフラインを分けて考えてはいけない」ことを力説し、「これからデジタルによってオフラインにオンラインを取り込むような社会が来る。それに向けてさらに新しい顧客体験を考えていきたい」と締めくくった。

txt:江口靖二 構成:編集部
Vol.01 [DSJ2019] Vol.03

[ Category : ]
[ DATE : 2019-06-19 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.16 会場で気になったあれこれ

txt・構成:編集部 美しい肌の色調と滑らかなボケ味を実現したPLプライムレンズ「Sumire Prime」 キヤノンは、NABで発表したSumire Prim... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.15 SmallHD/Teradek:ワイヤレスプロダクションモニターやカメラコントロール対応モニターを展示。両社の技術が新製品に集結

txt・構成:編集部 撮影現場での映像確認やDITに最適な17インチワイヤレスプロダクションモニター「17RX」 TeradekやWooden Camera、Sma... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.14 Cine Gear Expo 2019〜ATOMOS:オンセットやスタジオ用HDRシネマモニター/レコーダー「NEON」を展示

txt・構成:編集部 オンセットやスタジオ向けのHDRシネマモニターレコーダーが登場 ATOMOSは、Cine GearでHDRシネマモニター/レコーダー「NEON」を... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.13 富士フイルム、100メガピクセルのラージフォーマットミラーレス「GFX100」やシネマカメラ用ズームレンズ「Premista」を展示

txt・構成:編集部 話題のラージフォーマットミラーレスカメラとシネマカメラ用ズームレンズ「Premista」との組み合わせがユニーク 富士フイルムブースの注目は、... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.12 きれいなフレアとボケ味が特徴のプライムレンズの新製品「Tokina Vista One」シリーズを展示

txt・構成:編集部 シングルコートが特徴のフレアを実現したVista Oneシリーズをデモ 今年のTokina Cinemaブースは、昨年よりも大きくなっている。メイ... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.11 ニコン、フルフレームミラーレスカメラで12ビットProRes Raw出力対応「Z 7」を展示

txt・構成:編集部 3:2のフルフレームセンサーを16:9に上下カットした形で収録可能予定 Cine Gear展示エリアに、ニコンはブース出展していない。しかし、AT... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.10 パナビジョン、NDフィルターの度合いを調整できる6ストップ「LCND」フィルターシステムを展示

txt・構成:編集部 スタンドアロンでもワイヤレスでも濃度の調整が可能な「LCND」 パナビジョンは、レンズ、カメラ、フィルターから制作ワークフロー、ポストプロダクショ... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.08 Leitz、プライムレンズのThalia-Tシリーズに新ラインナップを検討中

txt・構成:編集部 ライカユーザーならお馴染みのTHAMBAR 90mmがThalia-Tシリーズとして登場 2019年8月発売予定のThalia-T 90m... 続きを読む

[DSJ2019]Vol.03 気になる表示装置と気になるアナ・デジ変換技術

txt:江口靖二 構成:編集部 シブくて新しい展示たち DSJは言うまでもなく日本最大のデジタルサイネージのイベントだ。デジタルサイネージには何かしらの表示装置が必要だ... 続きを読む

特集記事

DSJ2019 DSJ2019
幕張メッセで開催された国内最大のデジタルサイネージの展示会「DSJ2019」をレポート。
Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019 Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019
米国ハリウッドのパラマウントスタジオ内で開催された映画撮影機材の専門展示会「Cine Gear Expo」をレポート。
After Beat NAB SHOW 2019 After Beat NAB SHOW 2019
東京・秋葉原のUDXにて開催されたAfter NAB Show 2019をレポート。
NAB2019 NAB2019
米国ネバダ州ラスベガスにて開催される世界最大の放送機器展覧会「NAB2019」をレポート。
SXSW2019 SXSW2019
テキサス州オースティンで開催されたSXSW2019をレポート。
CP+2019 CP+2019
パシフィコ横浜にて開催されたカメラと写真の総合展示会「CP+2019」をレポート。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
いまだから知っておきたいフィルムの現状や伝統的な技術などを紹介する。
CES2019 CES2019
米国ラスベガスで開催された世界最大の国際家電見本市 CES2019をレポート。
PRONEWS AWARD 2018 PRONEWS AWARD 2018
2018年は映像業界にとってどんな年だったのだろうか。PRONEWS AWARDで部門ごとに振り返る。
10万円以下のジンバル選び 10万円以下のジンバル選び
一層注目が増している小型カメラジンバルをDJIやZHIYUN、FEIYU TECH、FILMPOWERの4社5機種に渡って比較紹介。
Inter BEE 2018 Inter BEE 2018
千葉幕張メッセにて開催される国際放送機器展“Inter BEE“をレポート。
InterBEE 2018の歩き方 InterBEE 2018の歩き方
今年もInterBEEの歩き方をジャンル別にピックアップし、6種類のコースを紹介。
新世紀シネマレンズ漂流:最新単焦点レンズ編 新世紀シネマレンズ漂流:もの作りの現場から
「新世紀シネマレンズ漂流:最新単焦点レンズ編」の続編。前回紹介することができなかったシネマレンズメーカーを取材。
Photokina2018 Photokina2018
ドイツ・ケルンメッセで開催されたスチルカメラの祭典 Photokina2018をレポート。
IBC2018 IBC2018
オランダ・アムステルダムで開催された欧州最大の映像・放送の展示会IBC2018をレポート。

トップ > 特集 > [DSJ2019]Vol.02 オンラインとオフラインをCX(カスタマーエクスペリエンス)で溶かす