PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU

トップ > 特集 > [Movie Maker's GIG in Hollywood]Vol.00 ムービーメイキングツールのオープン化と制作者の関係

News

[Movie Maker’s GIG in Hollywood]Vol.00 ムービーメイキングツールのオープン化と制作者の関係

2011-06-08 掲載

映像制作が向かうアフォーダブル化という状況

4月に行われた2011 NAB Showでも見られたように、ここ数年のHDSLRの隆盛、S3D撮影カメラの登場とその小型化、低価格化、そして小型の大判センサー搭載ムービーカメラの登場など、映像制作の世界が、より身近で手軽なものになって来た。今年はさらにスイッチャーなどの放送機器、ポストプロダクション機材やネット配信における機材環境までも、全てがアフォーダブル(手に取りやすい、買いやすい)化してきたようだ。この”映像制作のオープン化”という状況は、これまでプロ映像制作とは無縁だった人たちの介入も容易にし、これまでのプロ映像制作という異端な特殊分野では考えられなかった新たな空気感を生んでいる。

この傾向は、全世界的な広がりを見せつつある。例えばハリウッドでは基本の撮影はまだフィルムベースではあるものの、もちろんこうしたアフォーダブルなデジタル機材もトピック的に使用されている例が数多く出て来た。DSLRのEOS 5D markⅡはすでにスタンダードな機材として定着しているし、CMやドキュメンタリーなどの特殊映像などでは、GoPro HD HEROで撮影された素材なども頻繁に持ち込まれているという。そしてこれを撮影しているのはプロカメラマンではなく、スカイダイバーであったり、レーサーであったり、その道に長けている人でないと撮れない映像が採用されていることも興味深い。

映像制作、アフォーダブル化が産むそのジレンマ

PRONEWS_SP01.jpg

機材面においては、劇場用の大作映画に始まり、インディペンデントムービー、そしてネット&モバイルムービーまで、映像制作機材(=ツール)という部分では、それほど大差は無くなって来たと言える。しかし、アフォーダブル化が進むのは決して良い事ばかりではない。その弊害としてバジェットの問題もある。…残念な事だ。特に日本ではクリエイティブの難易度とは関係なく、安い機材を使用=安いバジェット(制作予算)という概念が固定化している。カメラマンやクリエイター、もしくはテレビ局の制作担当ディレクターが、安い予算のために1人ですべてこなすという事も少なくはない。結果として作り手の負担は増える一方で、やる事は増える、予算はない、時間もないと、こうした傾向をネガティブに捉える向きもあるだろう。

しかしそこは逆にチャンスとして前向きに捉えたい。このアフォーダブル化の波は、これまでのプロ映像制作の世界に一体どのような良い影響を与えているのか?例えばこれまでは機材が高額で、ほとんどがレンタル機材だったプロカメラマンの世界でも、実際に機材がアフォーダブルになったことで、個人で購買するにせよ、借りるにせよ、様々な検証や実験ができるようになった。これにより個々人の有するノウハウが格段に上がっているというのもまた事実だ。さらに個々人の撮影能力や編集能力、表現力といったクリエイティブ面に注力することが出来るようになったことで、プロフェッショナル=流暢なオペレーション、というだけの世界から一歩進んだ段階へと押し進める要因ともなっている。

PRONEWS_SP04.jpg

また複雑で難解とされている映像制作のワークフローは、いまそのほとんどがデジタルのITノウハウで解決出来る時代と言っていいだろう。考えてみれば、一度ワードやエクセルをマスターすれば、その後はほとんどチュートリアルを振り返らない。それと同じように、『デジタル映像プロダクション』を自分のリテラシー(読み書き出来る能力)にしてしまえば、オペレーションに関してはそれほど問題にはならないだろう。各部署の細分化された作業がデジタル技術によって、日々簡単になっているのも明らかだ。そうなれば「今日は天気もいいし、1本、映画でも撮ってみよう!」今やそんなお気楽な感覚で実現出来る世界がある。

この特集では、セッション(GIG)感覚で映画が創れるような状況に囲まれた、そんな時代の潮流を、本場ハリウッドではどう捉えているのか?ムービー制作の上流から下流まで、サイズもSサイズからLサイズまで、ジャンルを超えたセッション(GIG)感覚で実現できる最新ムービー制作機材の状況と、それを取り巻く制作クリエイティブの考え方などを “お気楽にお届け!”する。最新の情報を先日開催された映画関連の展示会であるCineGearExpoの情報も伝えながら、そこから次世代のプロ映像制作者像を追い求めてみたい。

  1. From Cine Gear EXPO 2011 NEWS ~今年の潮流を見る~
  2. “S” GIG From Cine Gear EXPO ~ビデオライクなシネカメラ隆盛の理由は?~
  3. “M” GIG From Cine Gear EXPO ~作品を後押しするPMW-F3やRED~
  4. “L” GIG From Cine Gear EXPO ~映像の最高峰は、やはりフィルム!~
  5. アフォーダブルのクリエイティブ(プリプロダクションの重要性と機材の関係)
  6. ハイエンド・カラーコレクションから学ぶこと/EFILMの世界
  7. S3D、現在修行中!(SONY 3D Technology Center)
  8. エピローグ:インディペンデント力があるから、ハリウッドは面白い!

取材・Txt:石川幸宏 構成:編集部

[ Category : ]
[ DATE : 2011-06-08 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

[Movie Maker’s GIG in Hollywood]Vol.08 エピローグ:インディペンデント力があるから、ハリウッドは面白い!

アフォーダブル展開する映像クリエイティブの現状とその周辺 "DIGITAL"のドアは、自らの手で開けないと開かない... 本特集では、主に小型軽量、そして低価格化した映画制作機材... 続きを読む

[Movie Maker’s GIG in Hollywood]Vol.07 Stereoscopic 3D 現在修行中!

ステレオスコピック3Dはどうなった? 3Dリグに装着したPMW-F3(CineGearExpoでの展示会場から) 現在アメリカ国内における映画館の数は、約6,000。そこにある約... 続きを読む

[Movie Maker’s GIG in Hollywood]Vol.06 ハイエンド・カラーコレクションから学ぶこと。EFILMの世界

カラーマネジメントで決まる映像の世界 映像作品の世界観は、カラーマネジメントで決まると言っても過言ではない。これまで高価だったカラーコレクションツールも、アップル社のColorや... 続きを読む

[Movie Maker’s GIG in Hollywood]Vol.05 アフォーダブルのクリエイティブ~プリプロダクションの重要性と機材の関係~

変わりゆく映画作りの役割 撮影/制作機材のデジタル化による小型化・簡便化が進む中で、映画作りの中でエンドクレジットに出てくる様々なスタッフのうちでも、あまり重要視されない部門も出て... 続きを読む

[Movie Maker’s GIG in Hollywood]Vol.04 “L” GIG From Cine Gear EXPO ~映像の最高峰は、やはりフィルム!~

L GIGは、最高品質を求められるハイエンドにスポットをあててみる! 最高品質を求められるハイエンドとなるLサイズの分野。もちろん今でもフィルム撮影が最もハイエンドであり、スピルバ... 続きを読む

[Movie Maker’s GIG in Hollywood]Vol.03 “M” GIG From Cine Gear EXPO ~作品を後押しするPMW-F3やRED~

数千万~億単位の制作費が今主流のインディペンデント作品のスケール感 米国のインディペンデント作品は数千万~億単位の制作費が付くようなサイズ、つまり日本で言えば普通の劇場上映サイズ... 続きを読む

[Movie Maker’s GIG in Hollywood]Vol.02 “S” GIG From Cine Gear EXPO ~ビデオライクなシネカメラ隆盛の理由は?~

DSLRや小型HDビデオカメラの関連製品を"Sサイズ"として紹介 今年も依然としてEOS 5D MarkⅡを中心としたDSLRムービーはハリウッドでは隆盛で、このレンジの市場も依然... 続きを読む

[Movie Maker’s GIG in Hollywood]Vol.01 From Cine Gear EXPO 2011 NEWS ~今年の潮流を見る~

今年もパラマウントスタジオで開催されたCine Gear EXPO 6月の3、4日(カンファレンスは2~5日)で米国ハリウッドのメジャースタジオ"パラマウント"施設内において、映画... 続きを読む

特集記事

Camera Preview 2020 Camera Preview 2020
2019年から2020年春にかけて発表された話題の新製品やカメラシステムを紹介。
AfterCOVID-19 映像業界サバイバル AfterCOVID-19 映像業界サバイバル
社会的危機となっている新型コロナウイルス拡大の状況を分析し、今何が起こり、何が必要で、その後に何が訪れるのかを考えてみる。
Film Shooting Rhapsody 上映編 Film Shooting Rhapsody 上映編
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。今回はフィルム現像から紹介する。
再現:NAB2020 再現:NAB2020
米国ラスベガスにて開催予定だった世界最大の放送機器展覧会 2020 NAB Showでお披露目される予定だった内容を再現していく。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。
再現:CP+2020 再現:CP+2020
開催中止となってしまったCP+2020をPRONEWS誌面上で再現して行く。
CES2020 CES2020
米国ラスベガスで開催された世界最大の国際家電見本市 CES2020をレポート。
PRONEWS AWARD 2019 PRONEWS AWARD 2019
2019年は映像業界にとってどんな年だったのだろうか。PRONEWS AWARDで部門ごとに振り返る。
Inter BEE 2019 Inter BEE 2019
千葉幕張メッセにて開催される国際放送機器展“Inter BEE“をレポート。
InterBEE 2019の歩き方 InterBEE 2019の歩き方
今年もInterBEEの歩き方をジャンル別にピックアップし、6種類のコースを紹介。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
フィルム撮影の経験をしたい人に向けてフィルム撮影で必要な各種の工程について解説していく。
IBC2019 IBC2019
欧州最大の業務用映像・音響の専門展示会「IBC2019」をレポート。
新世紀シネマレンズ漂流 新世紀シネマレンズ漂流
シネマレンズを中心に一眼やミラーレスデジタルカメラの動画撮影機能と組み合わせて使われる交換レンズの最新動向を紹介する。
BIRTV2019 BIRTV2019
中国・北京の中国国際展覧中心で開催された展示会「BIRTV 2019」をレポート。
SIGGRAPH2019 SIGGRAPH2019
世界最大のコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する学会・展示会SIGGRAPH2019をレポート。

トップ > 特集 > [Movie Maker’s GIG in Hollywood]Vol.00 ムービーメイキングツールのオープン化と制作者の関係