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[CES2018]Vol.02 時代の潮目〜これからはモビリティが最上位概念であることを示したCES2018

2018-01-16 掲載

txt:江口靖二 編集部 / 構成:編集部

CES2018のキーワードとは

CESはご承知の通り、ここ数年テレビやデジタル家電だけの領域ではなく、IoTやAIなども含めた、極めて広範囲なコンシューマーテクノロジーのイベントとなってきている。PRONEWS読者の興味からは外れるようなエリアがむしろ中心になりつつあるのかもしれないが、テクノロジーをマクロで見た場合に、どちらの方向に向かっていくのか、キーワードは何かという視点で読んでいただけると幸いだ。

今年のCESを最もマクロな視点で見るために2つのカンファレンスに注目したい。一つ目は、メディアデー初日に行われたトヨタのメディア向けのカンファレンスである。正直、EVか燃料電池の新発表でもあるのかな、くらいの軽い気持ちで参加をしてみた。すると驚いたことに、いきなり豊田章男社長が登場したのである。筆者は自動車に関しては全く門外漢であるが、CESのキーノートであればともかく、あくまでも自社のプラーベートなメディア向けの説明会に豊田社長自ら登壇するということは、何か重要な話があるのであろうことはすぐに予想できた。

自らプレゼンテーションする豊田章男 トヨタ自動車社長

プレゼンテーションはトヨタの歴史的なから始まった。もともとは自動車会社ではなかった話、3代目でたいていはダメになるという通説はどうにか覆すことはできているだろうという謙遜の後に、昨今のITやデジタルの話になり、こういう時代の中でトヨタは「オートモービルカンパニーからモビリティカンパニー」になっていくという宣言が飛び出した。会場に集ったメディアの多くは、この時点ではまだその意味を半分も理解できていなかったと思う。

トヨタはモビリティカンパニーへ

豊田氏はさらに、我々の競合は自動車メーカーだけではなく、グーグル、アップル、フェイスブックなどもそうなってくる。ソフトウェアが重要であるが、更にその先のプラットフォームを構築していくと語った。

ここでステージ上に「e-Palette」のモックが登場し、コンセプト映像が上映されたことで、初めて「トヨタは本気だ」と理解できたのだ。大げさに言えば、歴史的転換の瞬間に立ち会ったようにさえ感じた。

e-Paletteのコンセプトモック。大きさは4~7m位をイメージしているという さまざまな用途が想定されている e-Platteプラットフォームの構造概念 e-Paletteプラットフォーム構想の実現のためにアライアンスが設置され、そこにはアマゾン、DiDi(滴滴、中国のUBER)、UBER、マツダなどが参加している

デジタル技術によって、0と1の数字に置き換えられるものを複製、伝送することができるようになった。しかし、数字に置き換えられないものはまだまだたくさん存在している。というより置き換えられないもののほうが現時点では圧倒的に多い。インターネット通販の普及で物流需要が拡大しているのは典型的な例だ。おそらくアマゾンもそうだと思うが、モノの物理的移動が次の時代の最大の課題であり、巨大な市場をもたらすに違いないと考えているはずだ。さらに何世紀か時代が進めば、モノやヒトもビット化されて送ることができるようになり、時空間の瞬間移動が可能になるのかもしれない。しかしいまのところは物理的移動の効率化、デジタル化というものがトヨタが言うところのモビリティなのではないだろうか。

ところでこのパレットというものは、もともと輸送物流時に使っている簀の子状の台のことで、フォークリフトなどで物を運ぶ場合の一番下にあるあれである。サイズも完全ではないが規格化されている。そしてこのパレットはいまでも各パレット会社間で共有されている。そういう意味でも全くゼロからの発想ではなく、パレットをIT化したらこうなるだろうという発想であって、だからこそ現実味があるのである。

巨大なコンピュータがパーソナルコンピュータ化し、いまスマートフォンに変わっていく過程において、キープレイヤーも刻々と変化してきた。だとすれば自動車も同様であり、単なる車だけを作ってくのであれば、IBM/PC互換機以降の状況を見るまでもなく、それこそグーグルやアップルもちろん、バンダイやタミヤですら参入可能になるだろう。トヨタはそうならないように、あるいはトヨタ単体だけではなく社会の進化のために、こういう近未来ビジョンが出てくることは、私は正しいのではないかと思った。そしてこれは三代目の定説を覆した豊田章男氏の自信に満ちたプレゼンテーションで、きっと現実のものになるだろうと感じることができた。

Toyota CES2018(Toyota USAオフィシャル)

もうひとつのキーワードとは5G

CES2018での最大関心事のもうひとつは5Gであろう。その5Gに関するキーノートがあとから追加実施されることになったのもそういう状況を反映しているものだろう。

5Gキーノートの登壇メンバー

「Mobile Innovation : How 5G Enable the Future」とタイトルされたキーノートには、クアルコム、ベライゾン、百度(バイドゥ)が登壇した。この3名の中で、特に気を吐いていたのが百度のQi Lu(チーリュー)氏/バイスチェアマン、グループプレジデント&COOは5G以降のテクノロジーについて次のように語った。

アグレッシブに語る百度のQi Lu氏

Qi Lu氏:モビリティが重要だ。なぜ動物には脳があり、植物にはないのか。答えはシンプルで、動物は移動しなければならず、記憶と一般化が必要だ。そのためにAI技術が求められる。

リュー氏は、5Gネットワークの利用においてはコネクティビティやセキュリティに加えて、AIをどう活用していくかが鍵になるという文脈でこう語ったのである。

CES2018 Keynote「Mobile Innovation : How 5G Enable the Future」(CESオフィシャル)

これまでは服を買うには店に行くしか方法がなかった。その後スマホで服が買えるようになった。試着や着替えさえARアプリでできるようになった。でも通販で買った服はすぐには届かないし、やはり本物を試着もしたい。店がこちらにやってきてくれたらすべてが解決する。これを実現するためには5G、自動運転、EVはもちろん、CESに集まっているすべての領域が深く関係してくる。そこにはe-Paletteのようなインフラ的なプラットフォームが存在し、当面ビット化できないものを移動させる。人やモノが瞬間移動できない限り、テクノロジーが向かうべきイノベーションやビジネスチャンスは全てここに集約されていくに違いない。

CESの会場に行きたくても行けない場合は、会場内に無数に設置されたカメラを自由自在に操作しながら日本から遠隔参加し、リアルな展示物も搭載した展示ブース自体がe-Paletteでこっちにやってくるとか、そんな時代はそう遠くないだろう。

txt:江口靖二 編集部 / 構成:編集部
Vol.01 [CES2018] Vol.03

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[ DATE : 2018-01-16 ]
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