PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU

トップ > 特集 > [SXSW2019]Vol.02 SXSWでAmazon、Netflixら新興勢の巨大プロモ合戦〜VOD勢力図に動きあり

News

[SXSW2019]Vol.02 SXSWでAmazon、Netflixら新興勢の巨大プロモ合戦〜VOD勢力図に動きあり

2019-03-28 掲載

txt:萩原明子 構成:編集部

引き続きSXSW Film部門について見ていこう。「SXSW2019」3月8日から17日まで行われた期間中、会場の内外で目立った動きをみせていたのがNetflix、Amazonら新興勢のプロモーション合戦。番組タイトルがそのまま会場を貸し切りリアルな空間を演出をしていた。それは映像業界の立ち位置の変化を見せつけるようであった。

Amazonプライム新作引っ提げ、ニール・ゲイマン来場

Amazonプライムの新作「グッドオーメンズ」のニール・ゲイマン氏らが来場

SXSWは音楽、フィルム、インタラクティブとジャンルの幅が広く、世界から注目を集めるBtoBイベントである。オースティン・コンベンションセンターを中心に街全体が会場になって、カンファレンスやトレードショー、展示、スクリーニング、ライブが至るところで行われているのが特徴のひとつ。多くのクリエイターやプロデューサー、投資家が集まるイベントだ。

街をぶらぶらと歩いているだけで、思わぬ発見を得ることができるのもSXSWの特徴のひとつ。注目されているものは単純明快に長い列が作られる。今年のSXSWでは、開催序盤に長蛇の列があったのはHBOが誇るヒットコンテンツ「ゲーム・オブ・スローンズ」のプロモーションイベントだった。

今年4月15日に同シリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ 最終章」が全世界同時放送されることもあって打ち出されたもの。ドラマのセットさながらの世界観を表現した館「BLEED FOR THE THRONE」が設置された。館の中はドラマに登場するキャラクターたちがずらり。参加者も登場人物のひとりになった気分で王国の儀式や村で過ごすことができる大掛かりなファン向けイベントだった。

大手スタジオのプロモーション展開はRed Riverストリートに集中し、コムキャストNBCユニバーサルやショウタイムなども大型の企業ハウスを構えていた。そんななか、ひと際目立っていたのがAmazonプライムビデオだった。英国SF作家ニール・ゲイマン原作の「グッド・オーメンズ」をAmazonプライムビデオのオリジナルとしてドラマ化、5月31日から配信を予定していることから、「グッド・オーメンズ」の巨大プロモーションを行っていた。同作にはベネディクト・カンバーバッチが悪魔役として出演されることも発表されている。

会場内外にシャトルバスやポスターなどありとあらゆる番組プロモーション合戦が繰り広げられる。映画祭なのに

SXSWには原作者のニール・ゲイマン本人が来場し、出演予定のジョン・ハム(「マッドメン」)やデイヴィット・テナント(「ドクター・フー」)らと共に同ハウスのオープニングに顔をみせた。話題つくりに長けたAmazonの力の入れようを感じられる場面であった。

ケビン・コスナー舞台挨拶に登壇、Netflixフィルム新作上映&PR

Netflixフィルム新作「ザテキサスレンジャーズ」のオーディエンスチョイス用の投票用紙

新興勢の存在感はNetflixフィルムのワールドプレミア上映にも象徴されていた。3月29日に配信予定のNetflixフィルムの新作映画「ザ・テキサス・レンジャーズ(邦題)」が3月10日にパラマント・シアターで行われ、大きく注目を集めた。

同作は銀行強盗ボニーとクライド逮捕に駆り出された2人の元テキサス・レンジャーが悪党を追い詰める史実に基づく犯罪ドラマ。主演のケビン・コスナーをはじめほぼキャスト陣が揃った舞台挨拶も行われ、ケビン・コスナーは「テキサスが舞台のこの作品をSXSWでワールドプレミア上映スクリーニングを行うことができ、大変光栄だ」などと語り、会場は歓声に包まれた。

同作のプロモーション展開もRed Riverストリート内で行われ、「ザ・テキサス・レンジャーズ」ハウスの前にはやはり長蛇の列が作られていた。映画の舞台である1930年代のアメリカ南西部を再現したハウスの室内ではライブショーなどが行われた。こうしたかたちで上映とプロモーションを同時に打ち出すことで印象づけていたのではないか。映画「ROMA」でNetflixは監督賞初のオスカーを今年手にすることができたところ。抜群のタイミングに、映画スタジオとして抜かりなく攻める。そんなNetflixの戦略も目の当たりにすることができた。

Amazon、Netflixに続いて、同じくオリジナルコンテンツを広げているYouTubeも劇場上映を期間中に実施した。上映したのは映画「ベスト・キッド」シリーズの続編として、YouTube有料版で大ヒットを飛ばすドラマ「コブラ会」のセカンドシーズン。ラマー・シアターでスペシャルイベントとしてパネル講演やパーティーも企画しながら、話題を呼んだ。これら新興勢のSXSWにおける仕掛けは、映像業界における立ち位置の変化を表すものでもある。この5年でオリジナルコンテンツを一挙に増やし、賞レースの常連にもなりつつあるなか、今や欠かせないスタジオのひとつになっていることを明らかにさせていた。

ミッドナイトにホラー12作品が上映されたアラモシアター

一方、SXSWのフィルム部門はインディペンド映画にもこれまで力を入れてきた。次世代のスター監督輩出にも余念がない。そんななか、これからの活躍が期待される監督陣の作品が上映される企画も人気が高い。深夜0時からスタートする「ミッド・ナイト・シアター」ではトレンドのホラー系が揃い、短編映画12作品が一挙上映された。「DEEP Tissue」(アメリカ)や「One Side of the BOX」(同)など異彩を放っていた作品も多く、上映後に行われた舞台挨拶も拍手が巻き起こっていた。

グローバル展開で勢力を増すNetflixやAmazonのオリジナルコンテンツ展開もまだ歴史は浅く、ここ5年で増えてきたところ。インディペンド映画を支持するSXSWではある意味、新興勢は上映やプロモーション展開がしやすい場所なのかもしれない。業界の権威で伝統を守り続ける映画祭とは真逆の民意が制するSXSWで、今後も新興勢が大きく仕掛けていく可能性は十分にありそうだ。オリジナルコンテンツ制作はもはやOTTサービス事業の必須分野。大手OTTから地域OTTまで幅広く参加し、作品を扱うイベントとして、今後も期待できる。

txt:萩原明子 構成:編集部
Vol.01 [SXSW2019] Vol.03

[ Category : , ]
[ DATE : 2019-03-28 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.05 Sony DMPC(Digital Media Production Center)オープニングイベントレポート

新しいDMPCは、LA東北部の山中のMedia Center Driveにある txt:手塚一佳 構成:編集部 Sony DMPCがオープニングイベントを開催! 5月30... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.02 アンジェニュー、好みの描画に合わせて鏡胴内のレンズや絞り羽根を交換できるプライムレンズ「Optimo Prime」を開発発表

txt・構成:編集部 「なぜプライムを発売しないのか?」お客様の要望から発売へ 業界標準のズームレンズとして親しまれているAngénieuxは、Cine Gear Ex... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.01 Cine Gear Expo 2019〜パナソニックがプレミアセミナーでシネマ向けLUMIX「S1H」開発を発表

txt・構成:編集部 映画業界の祭典~Cine Gear 2019開催! 今年も映画撮影機材の専門展示会「Cine Gear Expo」が米ハリウッドの中心、パラマウン... 続きを読む

[SXSW2019]Vol.09 これからの世界と自分を見据えるためのSXSWの歩き方

txt:曽我浩太郎(未来予報) 構成:編集部 SXSWの「未来が見える場所」からの脱皮 毎年SXSWインタラクティブイノベーションアワードでは「ブレイクアウトトレンド」とい... 続きを読む

[SXSW2019]Vol.08 映画でSXSWを勝ち抜くためには?勝利の掟を知る

SXSWは、世界でも注目されるべき映画祭のひとつ 世界に数多くある映画祭でもSXSW(以下:SXSW=映画祭)は異色だと言われている。もちろん作品ラインナップにも現れているが... 続きを読む

[SXSW2019]Vol.07 データサイエンティストが見たSXSW2019の行方

txt:後藤真理絵(ヤフー株式会社) 構成:編集部 Ethical AIとは何か 2019年3月8日~3月13日まで、米国テキサス州オースティンで開催されたSXSW20... 続きを読む

[SXSW2019]Vol.06 SXSW2019セッション紹介。コンテンツ体験のデータ化と「想像力」

txt:佐々木淳 構成:編集部 リベラル・オピニオンと「エモーショナル」の喧騒 スタートアップ&イノベーション・ショーケースとしての隆盛も一段落し、2000を超すセッシ... 続きを読む

[SXSW2019]Vol.05 「Sony Wow Studio」三年目の施策。ソニーらしさ健在、賢者との対話に注目

txt:古賀心太郎(アマナビ airvision)&編集部 構成:編集部 SXSW Sony主催WOW Studioでドローン関連セクション 2019年3月8日から... 続きを読む

[SXSW2019]Vol.04 NHKが牽引する8Kの世界。そして聴覚、VRの可能性を探る展示に注目集まる

txt:岡本侑子(kiCk inc.) 構成:編集部 SXSW2019期間中、NHKエンタープライズはトレードショーで2つの展示を行い、NHKは、昨年に引き続き8Kシアターを... 続きを読む

特集記事

Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019 Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019
米国ハリウッドのパラマウントスタジオ内で開催された映画撮影機材の専門展示会「Cine Gear Expo」をレポート。
After Beat NAB SHOW 2019 After Beat NAB SHOW 2019
東京・秋葉原のUDXにて開催されたAfter NAB Show 2019をレポート。
NAB2019 NAB2019
米国ネバダ州ラスベガスにて開催される世界最大の放送機器展覧会「NAB2019」をレポート。
SXSW2019 SXSW2019
テキサス州オースティンで開催されたSXSW2019をレポート。
CP+2019 CP+2019
パシフィコ横浜にて開催されたカメラと写真の総合展示会「CP+2019」をレポート。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
いまだから知っておきたいフィルムの現状や伝統的な技術などを紹介する。
CES2019 CES2019
米国ラスベガスで開催された世界最大の国際家電見本市 CES2019をレポート。
PRONEWS AWARD 2018 PRONEWS AWARD 2018
2018年は映像業界にとってどんな年だったのだろうか。PRONEWS AWARDで部門ごとに振り返る。
10万円以下のジンバル選び 10万円以下のジンバル選び
一層注目が増している小型カメラジンバルをDJIやZHIYUN、FEIYU TECH、FILMPOWERの4社5機種に渡って比較紹介。
Inter BEE 2018 Inter BEE 2018
千葉幕張メッセにて開催される国際放送機器展“Inter BEE“をレポート。
InterBEE 2018の歩き方 InterBEE 2018の歩き方
今年もInterBEEの歩き方をジャンル別にピックアップし、6種類のコースを紹介。
新世紀シネマレンズ漂流:最新単焦点レンズ編 新世紀シネマレンズ漂流:もの作りの現場から
「新世紀シネマレンズ漂流:最新単焦点レンズ編」の続編。前回紹介することができなかったシネマレンズメーカーを取材。
Photokina2018 Photokina2018
ドイツ・ケルンメッセで開催されたスチルカメラの祭典 Photokina2018をレポート。
IBC2018 IBC2018
オランダ・アムステルダムで開催された欧州最大の映像・放送の展示会IBC2018をレポート。
映画「万引き家族」〜撮影部と撮影監督の眼差し 映画「万引き家族」〜撮影部と撮影監督の眼差し
「万引き家族」はいかにして生まれたのか?今回の特集ではその制作側を覗いてみる。

トップ > 特集 > [SXSW2019]Vol.02 SXSWでAmazon、Netflixら新興勢の巨大プロモ合戦〜VOD勢力図に動きあり