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[AfterCOVID-19 映像業界サバイバル]Vol.01 ポスト・コロナ時代の映像業界を生き抜くために

2020-05-27 掲載

txt/構成:編集部

映像業界は今!?現状調査を踏まえた概論

空前の社会的危機となっている新型コロナウイルス拡大。河瀬直美監督の最新作を編集しているフランスの編集チーム関係者が若くして、この感染症で亡くなるなど、映像業界にも大きな影響と不安をもたらしている。ほぼ2か月続いた緊急事態宣言も5月26日に解除された。一旦収束へ向かうが油断は禁物だ。それ以上に映像を生業とする方々にとって問題は深刻だ。これから徐々にガイドラインが整備され、ロケや撮影なども徐々に復帰されると思うが、以前のようにはならないことは明白だ、今回はこの状況を分析し、今何が起こり、何が必要で、その後に何が訪れるのかを考えてみた。その第1回として、業界の動向から探ってみた。

(以下、順次公開予定)

映像・放送業界の現状:今何が起こっているのか?

映像業界全体の現状を取材してみた。

まず、テレビ業界だが、2月くらいからロケ回数が減っており、3月にほぼゼロに近付き、4月はキー局ではロケ禁止、地方局でもロケはほぼなくなっている。某在京ローカル局のプロデューサーによると、

朝夕の生放送は、何とかシフト制で放送を続けていますが、ロケはゴルフ場のような広い空間以外は禁止にしています。弊社ではまだ感染者が出ていないので、この体制を続ける予定ですが、もし局員などに感染者が出た場合には、今のままの放送はできないかもしれません。

ご存知の通り、在京キー局ではロケは基本的に中止、ドラマなどの撮影も延期になっている。当然のことながら、そういった番組やドラマの制作は協力企業と呼ばれる下請け企業が行っているが、軒並み、仕事がゼロになってしまった。

また、在京FMラジオキー局の執行取締役によれば、

我々局員はまだいいのですが、関連企業が気の毒です。政府は金を借りればいいという政策を打ち出していますが、借りたところで今後が読めないから返す当てがないと言っています。本当に困っています。

そうした制作会社の経営者は、

返すあてがないのに従業員の給料は払わなくてはないらない。局との雑談では、お金を借りて3年くらい繋いで、ダメなら倒産しようか、などと話をすることもありますよ。

前出の執行役員によれば、そうした制作会社やイベント会社は、痛手がないように会社を解散することを既に念頭に置き始めているとのこと。放送業界は職人集団なので、この危機を乗り越えられた企業に、後で(職人である)みんなが身を寄せてもいいのではないかという協調体制を作り始めているというのだ。

つまり、これまである意味でライバルであった同業者と、共に生き残ることを考え始めているという。ここには放送局の舵取りや牽引力も重要になっている。なんとも世知辛い話だが、倒産を前提とした経営を頭に置いているのだ。放送業界も、創業者は定年年齢を超えている。また、放送業界自体の先細りもあり、これまでの業種業態にピリオドが打たれ、大きな再編があるのではないかと思われてくる。

変わるクリエイターの立ち位置

個人クリエイターたちはどうしているだろうか。まず、テレビや映画のロケは、基本的には中止になっており、これまでレギュラー番組の撮影や録音で収入を得てきた個人クリエイターは、収入が断たれている。また、カメラマンの季節的な収入となっているブライダル、各種イベント、卒業式・入学式の撮影も軒並みなくなっている。

「2月から撮影がほとんどなくなり、2ヶ月間の収入は全部で5万円でした」(中堅カメラマン)

そうしたカメラマン、音声マン(録音部)、照明マンなどは、4月現在、外出自粛の意味も含めて自宅待機となっている。

「機材の整備をして時間を潰してきましたが、それももうやることがなくなってしまったので、人と会わずにできる撮影で作品集でも作ろうかと模索しています」(映像監督)

スタジオワークである編集やMAは、1月中に撮影を終えた作品の納品時期が4月くらいであり、何とか仕事が残っているようだ。それでも、今作っている作品を納品した後の見通しは立っていないという。

感染防止対策を万全にした撮影も試みられている。坂本龍一氏と本條秀慈郎氏(本條流現在三味線奏者)のコラボ演奏の撮影に参加した映像クリエーター・安田光氏は、

演者やスタッフが十分な距離を保ち、ケータリングなども感染予防の観点で準備された現場でした。その空間の作り方などがとても新鮮かつ斬新で、今までにはない空気感になっていました。表現者として、これは面白いと思いました。

と、今後の作品の作り方に大きな影響を与えられそうだと話す。

同じく、映像クリエーター桜風涼(はるかぜすずし)氏は、同業者が完全な休業状態にあることを逆手に取り、作品作りを始めている。

これまで予算やクライアントの思惑に縛られてきたので、そういった制約がない作品を作ろうと、クリエイターたちに声をかけています。今までは、そういった自主制作には忙しすぎて参加できなかったカメラマンや役者、音楽家などが、有り余った時間を何に使おうか皆困っていたので、全員手弁当でこれまでにないものを作ろうと盛り上がっています。

これまでは、他の仕事を断らないと参加できない状況だったプロの作家や表現者が、スケジュールに縛られずに本当の表現を模索する状況なのだという。だからこそ、新しい作品表現には皆、飢えており、手弁当で第一線のプロが集まれるのだ。

職人なのか表現者なのか

これまでのお金の流れは、今現在、完全にフリーズしている。そこにしがみついている状況では、生き残れないかもしれないと、多くの映像関係者は思っているのは確かだ。一方、表現者としてのクリエイターたちは、そんな状況でも「何かを作りたい」と葛藤している状況も見えた。

どちらにせよ生きていくための日銭は必要だ。その日銭が映像業界には皆無になっている今、食いつなぐには政府の支援などが必要だろう。その一方で、どのように新しい表現を模索するのかがポイントのように思える。

今回はあえて取り上げなかったが、「リモートワーク」が映像業界に様々な変革をもたらしている話も取材の中で出てきている。その辺りは次回以降、実態報告と分析を行っていきたい。

txt/構成:編集部
[AfterCOVID-19] Vol.02

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[ DATE : 2020-05-27 ]
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