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[映像基礎講座]Vol.01 「映像」の意味と創作意義~基礎知識編

#映像基礎講座

2020-08-18 掲載

「映像」について考えてみよう

「映像」とはなにか?今回は、その「映像」について考えてみたいと思う。「映像」は現場で学ぶことも多いが、見逃しがちな基本や基礎知識を改めてじっくりと映像に向き合ってみたい。多くの時間を映像制作に費やしてきた先達に紐解いていただいた。新しい発見や気づきがあれば幸いだ。

PRONEWS編集部

(以下、順次公開予定)

  • Vol.01 「映像」の意味と創作意義~基礎知識編
  • Vol.02 1本の映画ができるまで~プリプロダクション映画編
  • Vol.03 CMの存在意義と企画の重要性~プリプロダクションCM編
  • Vol.04 プロダクション編01 撮影部編
  • Vol.05 プロダクション編02 照明部編
  • Vol.06 プロダクション編03 録音部編
  • Vol.07 ポストプロダクション映画編
  • Vol.08 ポストプロダクションCM編
  • Vol.09 ニューノーマル時代の映像制作とは?

「映像」ってなんだろう?

txt:島村漱 構成:編集部

「『映像』とはなにか?」と聞かれたときあなたはどう答えるだろうか?

身近な映像というと「テレビ」「映画」「ビデオ」、若い人ならば「YouTube」「Vlog」などが挙げられるだろう。しかし、これらはみんな動く映像だ。では、動かないのは映像ではないのか?いや、「写真」も立派な映像である。

最初に述べた動く映像としては、最近はごく当たり前になってきたコンピュータグラフィック(CG)がある。それ以外には元々動かない物体をさも動いたかのように撮影したアニメーション(アニメ)動画があり、アニメーションには平面で描いて作られる平面アニメーションと、立体的な人形や物体などを動かして撮影する立体アニメ―ションがあるのはご存じだろう。これらが「映像」という括りではないかと思う。そういったことから、最も昔から映像として定着されているのは「写真」である。

映像を作る目的は?

ARRI 35II CBVと木の三脚

映像はなんのために、なぜ制作するのか?大切なことは作られた映像は「人」に観てもらうために作るのではないだろうか。そして、その映像を通じてなにかを感じてもらうことが大切で、制作者が感動を伝え、その感動が観る人に伝わること、あるいは楽しみを伝えたいと創作した作品が観る人にその意図がしっかり伝わることではないではないだろうか。そこに映像を作った意味があるのではないかと思う。制作者自身だけがわかるような映像は決して良くはないと筆者は思うが読者の皆様はいかがだろうか?

そのために映画を作る現場、テレビの現場、あるいは商品を良く理解し購入してもらうために制作される広告映像いわゆるテレビコマーシャル(TVCM)やWEBコマーシャル(WebCM)の映像、事件現場の様子をできる限り正確に伝えるニュース映像やドキュメンタリー映画、テレビドラマなど、その現場によって活躍する人たち、ワークフローは異なる。今回は映画とTVCMがどのように制作されているのかを簡単に記してみたいと思う。


なお、同記事内容はひとつの見解、解説となることを予めご了承いただきたい。

映画・映像での「制作」と「製作」

一般的な意味で「制作」は芸術作品(絵画・彫刻・工芸品など)などの創造性が求められるものを作るときに用いられる。また「製作」は機械器具など工業製品・精密機器などを作ることに対して「製作」という。

今回の映画・映像関連に限るとその使い分けは、アーティストあるいはクリエイター(演出・撮影・音楽関連など)たちは「制作」を使い、映画などでクリエイターの分類に入らないスタッフである経費関係・ビジネス関係(資金調達・マーケティング・宣伝・配給など)の方々は「製作」と分類している。映画業界においては慣例で「製作」が使用されている。

映画製作の三要素

まずこんな言葉を聞いたことがあるだろうか。

「1すじ、2.ぬけ、3.どうさ」

この3つは、昔から映画製作の現場で先輩から言い伝えられて来た、基礎中の基礎となる言葉だ。映画製作の3要素ともいえる。

「1.すじ」は、脚本(台本)がしっかり書けているか?いわゆる脚本は映画全体の設計図なのだから当然である。

「2.ぬけ」は、技術のことを表した言葉である。最近はビデオキャメラによる撮影が増えているのでやや理解しずらいかもしれない。これはフィルム撮影の現場でのやや抽象的な表現だが、意図的に狙った映像は別として、基本的にクリアな映像、狙いのしっかりした映像や音が撮れているか?といった意味だ。

「3.どうさ」は、キャメラの前で演技をする役者(俳優・演技者)がしっかりと台本に書かれた狙いや、監督の思う表情・演技をしているか否かに尽きる。

以上の三要素が揃っていればほぼ良い作品になっているはず、という昔からの言い伝えだ。もちろん決してこれだけではないことは皆様もよくご存じだと思う。

映画製作とCM制作の制作ワークフロー

1971年、上高地ロケで穂高を狙う様子

映画製作とCM制作の流れは完成作品の形や目的が大きく異なるが、制作過程では大きくは異なっていないことはご存じの方も多いだろう。

まず映画製作の流れだが、日本映画全盛期の5社(のちに6社)協定が存在した当時の「映画製作会社」(東宝・大映・松竹・新東宝・東映・日活)が製作していたころと、現在の「映画製作委員会」制による映画製作と形が変わってきているが、大きな変化はない。

大変省略的であるが、どんな過程を経ていくのかを以下に列記してみる。それぞれについての詳しい記述は次回以降で紹介予定だ。


■映画製作の流れ

はじめに、どんな映画を製作するのかという「企画」から始まる。撮影などの制作行動に入る前の前段階を「プリプロダクション」という。

プリプロダクション

(1)企画から脚本(シナリオ)
「テーマは」「伝えることは」「何を表現したいのか」これらが明確にされるべき点だ。そして誰に観てもらいたいか、つまりターゲットの年齢層や性別なども大きな要素の一つである。そして、どんな形で表現していくのか?これらをベースにしてストーリーの概略が考えられる。

それを基にシナリオハンティング(シナハン)が実施される。脚本執筆に入る前に想定された場所などに実際に行き、細かく調査をして脚本に織り込む材料を仕込んでいく作業だ。

(2)脚本(シナリオ)執筆
シナハンなどでの膨大な資料を基に「起承転結」を考え、脚本家、場合により監督自らが執筆する。したがってこの辺りではすでにプロデュサーなどは決まっている場合が多いかもしれない。シナリオはいきなり書き出されるのではなく、ストーリー→プロット→箱書き→シナリオ(詳細は別機会に)と、順を追って組み上げられる。いわば作品の設計図となるため、幾度となく書き直され、場合によっては初稿から10稿以上繰り返して作り上げられる。

(3)予算作成とスケジュール作成
企画内容により厳しい予算編成が製作サイドで行われる。作品封切りはおよそ早い時点で決められることも多く、制作サイドはこの期日に完成させねばならない。次項のスタッフィングやキャスティングなども考慮に入れてそれこそパズル回答のようなこともあるとかないとか。

(4)スタッフィングとキャスティング
この段階になるとかなり具体化されている。その作品に相応しい撮影担当のキャメラマンや、照明担当、美術担当等々、メインとなるスタッフが決まる。それに並んでキャストも決まっていく。

(5)ロケーションハンティング(ロケハン)
シナリオがほぼ完成してくると、仮に途中でいくつか修正がある場合でも、実際に撮影する場所を、監督や撮影キャメラマン含め、スタッフでロケハンが実施される。

  • 適切なキャメラ位置の確認
  • 許可・手続きの確認
  • 撮影期間に工事などがないか
  • 撮影場所の光の当たり具合=太陽の動き
  • ロケ地への移動手段や宿泊の有無
  • ロケセットならばその撮影に適切か否か
  • 照明機材の可否と規模・必要性

などがロケハンで確認される。ロケハン終了後、再度予算やスケジュールが修正・検討されるのだ。

ポストプロダクション

映画編集から上映プリントまで
撮影された素材は現場スタッフ全員の気持ちが詰まっている。大切に扱われて処理がなされる。撮影の順序は脚本通りには撮影されていない。編集ではそれをまず脚本通りに順次繋ぐ作業が行われる。カットによってはAのカットが先でBのカットを次にと順序通りではなく場合によりその順序を変えたりすることで、時間の差や感情の変化がよりわかるから変えてみようなどといった許せる範囲で時間をかけ、ギリギリまで切り込んでいくことで編集者は戦っている。

一方で音声は現場のセリフ同時録音あるいは状況により音声のみ別録り(オンリー録り)された素材などの処理も進められる。現場で録れない作られた音(SE)なども作られる。全体の作品に流れる音楽も作曲家により進められる。必要な場合ナレーションも録る。こうした様々な素材を最終的に台本通りに編集された映像と合わせてMAが行われ、映像やCGなどと併せてプリントされ完成原版となり、そこから上映素材DCPが作成される。最近の上映はDCP(Digital Cinema Package)によるデジタル上映が多く従来の35mmフィルム上映は少なくなった。


■CM制作の流れ

CM制作現場と映画製作現場の違いは細かいことを挙げると沢山ある。しかし、大まかな部分では撮影以降はほぼ同じようなワークフローとなっている。その違いの部分は以下に述べる部分であろう。

企画の時点でクライアント(スポンサー)からのオリエンテーションがあり、広告代理店からのプレゼンテーション、そしてプロダクションへといく流れだ。一商品の発売が決まりその商品のCMを製作するには、まずクライアントから各広告代理店に対して、商品の説明・購買ターゲット・出演依頼タレント・価格・発売期日などがオリエンテーションされる。それを持ち帰り企画作業に入る。企画は一定期日に各広告代理店からプレゼンテーションが行われる。大変な競合の結果で発注代理店が決まる。


そこからさらに制作プロダクションによる競合が行われ(演出サイドからの絵コンテ等の提出)、制作プロダクションが決まると現場の各スタッフが選出決定される。ここからいよいよプリプロダクションからプロダクションに入る。

プロダクション

撮影準備が整うと、いよいよ撮影スタート。現場は緊張モード。「クランク・イン」だ。撮影部はトライポッド(三脚)をどこに据え、どの位の高さでセッティングするか、被写体のサイズ、レンズは何を使うか、カメラワーク、その際に背景(バック)に写りこんではいけないものはないか、レンズの絞り(アイリス)、フォーカス(ピント)を確認したら「よ~いスタ~ト!!」現場に緊張感が走る。監督から「カット!!」の声がかかる。撮影部・録音部・照明部・美術部などすべての担当者から「OK!」の声がかかれば、「はい、次いこう!」となる。

撮影の間はそれぞれの部署では、

  • 制作部
  • 助監督(チーフ以下4~5名)
  • 撮影部(チーフ以下2~3名)
  • 照明部(規模により助手の人数変化)
  • 美術部(大道具・小道具・持道具・装飾などすべて区分け)
  • 美粧(ヘアー・メイク・衣装・スタイリストなど)
  • 録音部
  • 編集部

など、多くの人々が関わり作られる。現場が進行中はそれこそ戦場感があったり、其処此処で、カメラが止まったとたんに笑い声が聞こえたりと、悲喜交々である。

一定期間スケジュール通りに撮影が進めば、ラストカット撮影終了で「お疲れ様でした!!クランク・アップ」です!!当然それぞれの期日に撮影された映像や音はスタッフがチェックし、問題があれば適宜再撮影(リテイク)も行われる場合がある。

※この撮影期間に一部の実写ではないCG(二次元・三次元などのコンピューターグラフィックス映像)は専門業者に発注がかけられる
ポストプロダクション

CM完成原版とオンエアープリントの納品
完成したCMは従来、広告代理店から制作会社に発注され、各放送局やWeb関連会社にテープ納品されているのだが、ごく最近は広告代理店から発注された制作会社は納品原版を指定された素材搬入事業者に納品し、指定業者でデータ化されたデータが各放送局にオンライン方式で納品される方向に変わりつつある。


こうしてみると映画・CMの制作現場が簡単なように見えるが、なかなか一筋縄ではいかない困難な作業の連続であることは間違いない。その反面、完成した時の喜びは大きい。

次回からは、「プリプロダクション」「プロダクション」「ポストプロダクション」と、各役割の詳細をお伝えしていく。

島村 漱(しまむら そう)
1960年立命館大学経済学部卒、某広告代理店系映像制作会社 技術部撮影課に入社。1993年に同社を定年退職後、映像関連人材派遣会社大阪支社立上げをサポート後退社。1995年フリー撮影者となり、その傍ら映像系専門学校の講師を務める。2001年に宝塚大学(旧宝塚造形芸術大学)映画コース教授、2007年に立命館大学映像学部の立ち上げに協力後、撮影・照明技術担当の一員となり客員教授として授業担当、現在に至る。(協)日本映画撮影監督協会所属監事
写真は1964年助手時代のロケ中にて。機材は16mm ARRI STと木の三脚
txt:島村漱 構成:編集部
[映像基礎講座] Vol.02

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[ DATE : 2020-08-18 ]
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